01 ついに国家規模
『駄犬⇒金狼』 第1巻、発売中です!
書籍化にあたり、大幅な加筆修正をさせていただきました!
プリムラやマザーのサービスシーンはもちろんのこと、プリムラがおじさまを好きになるキッカケとなった『初めての体験』が明らかに……!
また勇者ざまぁも新たに追加! あの勇者の最期が描かれています!
さらに全ての始まりとなった、ゴルドウルフの『初めての追放』がついに明らかに……!
若きゴルドウルフの姿は必見です!
そして、第1巻の最大の目玉となるのは、勇者の始祖である、ゴッドスマイルが『初めての登場』……!
世界最強勇者の姿を、ぜひその目でお確かめください!
まさに第1巻は『初めて』だらけ……!
目にしたあなたはきっと、『初めての衝撃』を感じていただけることでしょう!
そして読んでいただければWeb版がさらに楽しくなりますので、ぜひお手にとってみてください!
ゴルドウルフは、聖女プリムラの熱心なる勧めによって、冒険者たちの店『スラムドッグマート』を開店した。
そこは、ハールバリーという小国で、国内でも2番目に賑やかな領地であるルタンベスタ。
そして領内でもいちばん賑やかな街であるアントレアで、ひっそりと始まるはずであった。
しかし聖女の名門であるホーリードール家の力添えと、街のライバル店である『ゴージャスマート』を統括する支部長、ダイヤモンドリッチネルの失策により、『スラムドッグマートは』アントレアの街を手に入れる。
その流れに乗って、『スラムドッグマート』はアントレアを飛び出し近隣の街へと展開。
ルタンベスタの方面部長であるジェノサイドナックルの妨害を受けつつも、ルタンベスタまでもを制圧した。
となると勢いはもう止まらない。次は近隣のトルクルム領と、王都のハールバリー領。
それぞれの方面部長である、ジェノサイドファングとジェノサイドロアーを相手に……。
商戦などとという、生やさしい言葉では片付けられない激戦を繰り広げ、『スラムドッグマート』はついには両領地に根付いた。
そして……この国の『ゴージャスマート』の支配者であったジェノサイドダディを失墜させ……。
『スラムドッグマート』はハールバリー小国における、独占商店となったのだ……!
よってオーナーである、ゴルドウルフ・スラムドッグ……。
昇進っ……!
少し前までは、さえなかった灰かぶりのオッサンだったはずなのに、今や……!
サクセス通りを、驀進っ……!
……レッツ、ゴー! ゴー! ゴー!!
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●御神級(会長)
ゴッドスマイル
●準神級(社長)
ディン・ディン・ディンギル
ブタフトッタ
ノーワンリヴズ・フォーエバー
マリーブラッドHQ
●熾天級(副社長)
キティーガイサー
●智天級(大国本部長)
ライドボーイ・ロンギヌス
ライドボーイ・アメノサカホコ
ライドボーイ・トリシューラ
ライドボーイ・トリアイナ
●座天級(大国副部長)
●主天級(小国部長)
↑昇格:ゴルドウルフ
●力天級(小国副部長)
●能天級(方面部長)
●権天級(支部長)
ジャンジャンバリバリ
●大天級(店長)
●小天級(役職なし)
○堕天
ジェノサイドダディ、ジェノサイドファング、ジェノサイドナックル
ミッドナイトシャッフラー、ダイヤモンドリッチネル、クリムゾンティーガー
ライドボーイ・ランス、ジャベリン、スピア、オクスタン、ゼピュロス、ギザルム、ハルバード、パルチザン
名もなき戦勇者 165名
名もなき創勇者 60名
名もなき調勇者 113名
名もなき導勇者 164名
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……上記のリストは勇者の階級表であるが、ゴルドウルフは勇者の組織には所属していない。
あくまで、所属していた場合、オッサンはいまどのあたりの地位にいるのか、という目安に過ぎない。
ついに裸一貫から、小国本部長クラスにまで出世してしまったオッサン。
この地位にまで達してしまったら、勇者にとっては要注意人物。
オッサンはゴッドスマイルのお気に入りなので、勇者組織内では、もともと有名人であったのだが……。
ここにきて、飼い犬が手を噛んできたような衝撃を、勇者たちに与えていた。
さらに驚きであったのが、その舞台である。
ハールバリー小国のルタンベスタ領、アントレアの街といえば『ゴージャスマート』発祥の地。
最初の1号店が設立された、同店において非常に由緒ある土地である。
その店を立ち上げたのも、他ならぬオッサンだったりするのだが……。
この世界の常識としては、今や神同然に崇められている大勇者、ゴッドスマイルの偉業の第一歩だと思われている。
その偉業の足跡を上からかき消すように、別のオスのナワバリの証に小便を引っかけるかのように……。
ゴッドスマイルが行なってきた『ゴージャスマート』の展開と全く同じルートで……。
『ゴージャスマート』発祥の地から、『ゴージャスマート』を完全に駆逐してみせたのだ……!
これが、『飼い犬に手を噛まれる』と言わずして、何と言おうか……!?
しかも……しかもである。
飼い犬に手を噛まれた勇者たちは、いまだ知らない……。
それは、灰かぶりの飼い犬ではないことを……!
黄金の、魔狼っ……!!
そして……魔狼は『手』ごときで、満足するケモノではないことを……!
彼らはまだ、知らなかったのだ……!
満たされることを知らぬ、飢えきった銀色の瞳が見据えるは、『首筋』……!
そう……!
彼らはこう、形容すべきだったのだ……!
『飼い犬だと思っていたら伝説の魔狼で、毎日息の根を止められそうです』
と……!!
……しかし一部の勇者たちは、いまだ気付かない……。
噛まれたばかりの手……そこに、ほど近い者たち……。
隣国の『ゴージャスマート』を束ねる者たちであっても、絶対的な自信を持っていた。
次に噛まれるのは自分の番だ、とはつゆほども思わず……。
野良犬狩りのような気持ちで、『スラムドッグマート』の到来を待っていたのだ。
彼らは侵攻してきた『スラムドッグマート』を撃退できれば、ゴッドスマイルに大きくアピールできるチャンスだと思っていた。
撃退に成功すれば、今度は、聖地であるハールバリー小国の奪還を命じられるだろう。
そうすれば一国の本部長から、二国以上を束ねる副社長クラスへと、出世ができる……。
ハールバリーの近隣にある国の、本部長である調勇者たちはそう考えていた。
彼らは、オッサンを魔狼だと恐れるどころか……。
出世のためのボーナスキャラとしてしか、見ていなかったのだ……!
もちろんそれは、多いなる誤りなのであるが……。
とにもかくにも彼らの期待を、知らず知らずのうちに背負ったオッサンは……。
ついに、『スラムドッグマート』を国外へと輸出することを決意する。
その白羽の矢が立ったのは、なんと……!
近隣の国たちではなかった……!
野良犬が次のターゲットとして定めたのは……。
ハールバリーから南、海を挟んだ絶海の島……!
灰色の空の島っ……!!
野良犬への罠をたくさん仕掛け、手ぐすね引いて待ち構えている近隣の勇者たちは、まだ知らない……。
彼らが何の価値もないと思っていた、ただの孤島が……。
まさか背後から、野良犬が忍び寄ることができる……。
壁に空いた、抜け道の穴であることは……。
からっぽの罠を眺めながら、野良犬が捕まった姿を想像し、シシシシと空笑いしている彼らには……。
知る智恵も、なかったのだ……!
今回はアオリのみですが、次回から一気に話に入りますので、ご期待ください!