2話 俺と幼馴染と「親方、空からロリっ娘が!」
文章として、上手く表せているかとても心配ですが、この作品の趣旨を上手く伝えられたら良いと思っています。
一つ、王道ラブコメは『嘘』である
一つ、テンプレートは『失敗への道』である
一つ、学園ラブコメは『拒絶するべき』である
俺は、王道のラブコメ展開全てを否定し拒絶する。二度と過ちを繰り返さない為に――――
「ふぁぁ……クソネミ」
無事入学式やホームルームも終わり放課後。
俺は極力同級生を避けるように、人の居ない道を通りながら帰る。
王道ラブコメの基本は、大体、主人公が自己紹介でやらかしたり、幼馴染と隣の席になったり、たまたま美少女と出会ったりするが、幸いそんなことが起こることも無かった。
このまま家に帰り、部屋に篭ればミッションコンプリート……
「トール〜、ボク様の登場だよ〜」
と、思っていたが邪魔が入った。
トンッ、と俺の肩を叩きながら、顔を覗かせるコイツは幼馴染の九堂由紀。
サラサラとした黒髪ロング、豊かな胸、引き締まったウエスト。
一言で表すなら超絶美少女である。
家が隣ということもあり、昔からよく話す仲で、今でもこうして気楽に話せる数少ない女子だ。
数少ない女子なのだが……
「ねぇねぇ、何で今日ボクを置いていったのさぁ、おかげで遅刻しそうになったじゃないかぁ」
「っ!? 」
コイツは毎回、会う度にベタベタとボディータッチをしてくる、そして今もこうして腕を絡めようとしている。
嫌ではないが、王道展開に繋がる可能性があるので避けたいところ。
「……暑苦しい、引っ付くな」
「えー?何でさぁ、ボクがここまでしてあげてるのにー? 」
むにゅん、と柔らかい胸を腕に押し付けながら上目遣いで見上げる由紀。あざとい……。
「だぁ! 離れろ離れろ! 」
「そんな、どこぞの漫画家(スタンド使い)みたいに拒否しなくても! ていうかさぁ、なんでそんなにラブコメが嫌いなの? 」
強引に離れさせると頬を膨らませ、不満そうに問われてもな。
「ラブコメが嫌いなんじゃない、テンプレ、王道が嫌いなんだよ」
だからコイツからの告白も、断った。
『悪い、俺はお前と付き合えない。少なくとも……今は』
確かに由紀は可愛い。
スタイルもいいし、いい匂いだってする。
しかし、俺の心は許さない、美少女な幼馴染は王道である。
王道を嫌う俺は、こんな完璧な幼馴染とは付き合えない。だから、俺は断った。
嫌いではない、寧ろ好きだ。
だが、俺の『トラウマ』が気持ちの邪魔をする。
我ながら面倒である。
「変なこだわり持っちゃってさぁ、キミはいつからひねくれたのかね〜? 」
うりうり、と俺の頬に人差し指を当てからかう幼馴染。
本当に可愛いから困るのだ。
「うっせ……。あー、俺、寄るところあるから先に帰って欲しい。妹と母さんにも伝えといてよ」
「ふむ?分かったよ、出来るだけ早く帰ってくるんだよ〜? 」
「お前は俺の保護者か!ほら、行った行った」
にひひ、と笑う幼馴染に軽く手を振りながら背を向け、俺は人の居ない公園へと向かう。
幼い頃、よく遊んでいた公園だ。
ブランコ、滑り台、シーソー、砂場、シンプルだが子供の頃の俺には楽園のように見えた。
「懐かしいな……、よく由紀と遊びに来てたっけか……。あぁ、あと転校したアイツとも」
天空の城ごっこもしてたっけか、あの滑り台に立って「親方! そらから女の子が! 」ってな。
思い出に浸っていると空が暗くなる。
雲が夕焼けに差し掛かったのか、それとも夕焼けが沈んだのか。
「ぎにゃあああああ!! 」
「ん? 」
ふと上から声が聞こえ上空を見上げる。
「どいてどいてどいてぇぇぇ!! 」
「おごふ!!」
(親方……! 空から、女の子が……! )
突然落ちてきた美少女(?)の下敷きになり、俺はそのまま倒れ込む。
「いったぁ……妹は何を考えているのじゃ……私を天界から突き落とすなど……」
「もごっ……」
「む?」
「……(ピクピク)」
苦しい……パンツが……顔が……尻がっ……息が出来ない。クソ……何がどうなって……ヤバイ、意識が……
「おっと、すま……オヌ……大丈……かえ? ……おい? しっかりせい! 」
朦朧とする意識の中、ぼんやりと視界に映った小さな子供に、殴られているような気がした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次回もお楽しみに