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テクノ・ライフ  作者: カリンカ
17/18

━バトル・ライフ━

街は鉄と火薬の臭いで充満している。

建物には大きな損傷はないものの、地面はあちこち大きく抉られていた。

そうやってできたクレーターの中に、女性の姿がふたつ…レイニーズとリーフだ。クレーターの縁には、大量のロボットが取り囲んでいる。

「はぁ、はぁ…て、敵の数が多い…どれだけいるの…?」

「大丈夫ですか、レイニーズさん!もう少しで援軍が来ます!それまで…」

「わかっています、ですが…あれだけの数を指揮しているあのロボット、いったい…?」

レイニーズの視線の先にいるのは、大きな翼の生えた人型のロボット。

「何だ何だぁ?俺の事が知りてぇってかぁ?そうだな…冥土の土産って奴か、まぁいいぜ。俺様はなぁ、エンペラー軍団幹部の特攻隊長!FEATHER(フェザー)様よ!あの世でしっかり覚えなっ!野郎ども、遊びは終わりだ!殺っちまえ!」

フェザーの指示とともに、ロボット全員が銃口を一斉に向ける。

「くっ…」

レイニーズは眼を閉じた。


━「機械魔術『巨壁錬成』!」


ガキィンッ!

「!?」

突如として分厚い鉄の壁が二人の四方を囲む。

「な…何だ!くそっ、援軍か?」

「…この魔法、まさか!」


「レインお姉ちゃーん!」

「メタリカ!無事だったのね…でも、どうして来たの!」

「い、家から街が爆発するのが見えて…いてもたってもいられなくて…それで…」

「まさか…一人で?」

「ううん、違うよ。ラウドと…」

「おお、随分と面白そうな事やってんじゃねぇか!俺も混ぜろ!」

「彼は…確か…」

「メタル姉さんを探すのに協力してくれた人だよ」

「そう…だったわね。ちゃんと見つけてくれた…」

「姉さん、今はその話をしてる場合じゃないよ」

「…そうね」

「お前ら!さっきから俺達を無視しやがって━…ん?あの男…」

フェザーはブラックに視線を向けた。

「何だ?お前…俺とやるつもりか?上等だ、いつでも来やがれ」

ブラックは構える。

「あの身体…あの力…間違いねぇ、アイツは…」

「さっきから何をブツブツ言ってやがる?来るなら来いっての」

「…野郎ども!退くぞ!」

「えっ?フェザー様…」

「見てわからねぇか?あの男…」

「!まさか…」

「いいか、俺達はアイツを生かしておく訳にはいかねぇ。今は退いて、エンペラー様に今後の事を図る」

「わ、わかりました!では…」

「おい、そこのお前!」

「何だよ?退くならさっさと失せろ!」

「お前は俺達が総力挙げてでも…殺す」

「…ほう?言ってくれる」

「お前は俺達にとって生きてちゃ困る存在なんでな…覚悟しとけよ!」

そう言い残すと、フェザーと大量のロボットは一斉に姿を消した。

「消えちまった…逃げ足の速ぇ奴だ。しかし…俺が生きてちゃ困る存在…ねぇ。よっぽどこの力が怖いと見える。だったら…この力で好き勝手暴れるしかねぇよなぁ?やったろうじゃねぇか!」

「ブラック!」

メタリカ達が声をかける。

「そっちは大丈夫か?結構やられてたみてぇだけど」

「うん…お姉ちゃん、ひどいケガしてて…これから警察の病院に行くんだって」

「そうか…ちょっと俺に診せてみろ」

「えっ?」

「前に…人を癒す力の使い方を教わったことがあってな、応急処置レベルだけどよ」

ブラックはレイニーズのもとへ向かう。

「大丈夫か?」

「かなりやられはしましたけど…あ、あの」

「なんだ?」

「妹を見つけてくれて…ありがとうございます」

「アイツを見つけたのは俺達じゃあない。シードとかいうロボットだよ」

「シードが…?」

「ああそうだ。感謝ならアイツにしてやりな。もっとも、今ここにはいないが」

「どこに?」

「お前の家だよ。俺の仲間がちょっと気絶しててな、見てもらってるんだ」

「そう…ですか。わかりました、後でお礼を言っておきます」

「そうしてやれ。あと…ちょっとじっとしててくれるか」

「?ええ…」

ブラックは胸の前で両掌を組み、目を閉じた。

「すううぅぅ…」

深く息を吸い込み、掌を解放する。

手の間には淡い光を放つ球体が現れ、その球体から指先まで半透明な、シャボンのようなものが伸びる。

ブラックはもう一度掌を強く打ち合わせ、レイニーズの方へ両手を伸ばした。

半透明なそれは、レイニーズの身体を包みこんだ。

「これは…?」

「まぁ、簡単な回復魔法みてぇなもんかな」

「確かに…身体が楽になるのを感じます」

「だろう?俺の力は何も人を傷つけるやつばっかじゃねぇんだ。限度はあるけどな」

「…ありがとうございます」

「いいんだよ。それよりあのロボット…俺を名指しで警告とはな」

「ブラックの何がそんなに嫌なんだろう、あいつら」

「あたしにはちょっとわかんないよ」

「…もしかして、100年前の…」

「あ?」

「いえ、貴方には以前お話しましたね?100年前にも同じような事があったという話…」

「ああ」

「どこまで貴方に話したかは忘れましたが…あの時戦ったのはひとりの転移者でした。そして、彼の身体は…」

「まさか」

「…紅く、染まっていました。血のように…」

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