━ハウス・ライフ━
メタリカは跳ねるように走り、家のインターフォンを押す。
━ピンポーン。
「(…誰だい?レイン姉さんなら出掛けてるよ。あいにく、今は忙しくてさ)」
インターフォンから気だるげな少女の声がする。
「あたしだよ、メタリカ!」
「(…えっ?メタル姉さん?本当に?)」
ドアが開き、中からひとりの少女が姿を見せた。
「メタル姉さん!」
少女はメタリカの姿を見るなり、メタリカに飛びついた。
「わわっ!大袈裟だよ、ラウド! …ただいま。心配かけたみたいでゴメンね。でももう大丈夫だから…」
「よかった…メタル姉さん…よかった」
少女はメタリカの胸の中で涙を流した。だが、直後に"そこ"にいるのは自分とメタリカだけではないと気付いたらしく、慌ててメタリカに回していた手を放し、恥ずかしそうに顔を赤く染める。
「…んんっ、んっ」
少女はわざとらしく咳き込んだ。よほど恥ずかしかったらしい。
「…そ、それで、この人は?説明してくれないかな」
「おっけー!こっちのお兄ちゃんは…」
「ブラックだ。んで、俺の背中でくたばってるのがブライトだ」
「それに、シードがついてくれてるんだよ」
「久しぶりだな、お前は全然遊びに来ないから忘れるところだったぞ。冗談だがな」
「それはさぁ…ボクがインドア派だって分かっててからかってるよね。まぁいいけど…それより、みんなが姉さんを探してくれたのかい?」
「見つけたのはシードだ。3日だったか、それくらい前に倒れてるのを保護したんだとさ」
「3日前…っていうともう姿を消した当日じゃないか。何があったんだい?」
「魔法の薬に使う材料を探しに行ってたんだけど…不注意で崖から落っこちちゃってさ」
メタリカは頭を掻きながら説明した。
「…なんにせよ無事でよかったよ。えぇと、ブラック?だっけ。君たちはどうして?」
「お前の姉貴に頼まれたんでな」
「レイン姉さんに?」
「ああ。んでいきなり襲ってきたシードに訳を話したらすでに保護してるってんでな」
「襲われた?シードに? …あぁ、なるほど。彼女、部外者は厳禁だから」
「ひでぇ目に遭ったよ」
「すまないが、あれが私の仕事なのでな」
「あーハイハイ、わかってるって。それより、ベッドかなんか貸してくんねぇかな。コイツを休ませてやりてぇんだ」
「別にいいけど、どうして気を失ってるのさ?」
「メタリカの魔法はどうやらシゲキが強すぎたみてぇでな」
「なるほどね。ブラックは大丈夫だったのかい?」
「あんなんでやられてたら俺は今頃この世にいねぇよ」
「そ、そう…とりあえず入ってよ。ベッド貸すからさ」
「おう、助かる」
「シードもついでだから上がってってよ」
「ああ、邪魔させてもらう」
ブラック達は少女に促されるまま、家へと上がり込んだ。