誘導尋問
お互い、探るように言葉を選びながら、
何度も同じやり取りが続く。
「本当に、この写真、
ダンナさんじゃありませんか?」
「何度も答えていますが、この写真を見る限りでは、夫なのか違うのかわかりません。
夫は、こんなに太っていません。」
「ですから、これは、カメラの関係で太め見えるだけで、服装とかよく見てください。
ダンナさんのものではありまさんか?」
「夫は、いつも同じような服装なので、そうだと言われればそうかな?という程度で、
夫の服だと断定などできません。」
「夫婦なのにわからないなんて、
おかしいですよ。」
「大きなお世話です。
それなら、あなたは、ご自分の奥さんの服装、
毎日チェックして、イチイチ覚えてますか?
昨日、今日の話でも曖昧なのに、
何月何日、夫は、この服装でしたなんて
覚えている訳ないでしょう、」
「持っているかどうかだけでいいんです。」
「ですから、特徴のある服装ならともかく、
こんなどこにでもあるような服装を見て、
夫の服ですなんてわかるわけないでしょう。」
あぁ、もう、ほんと、ウンザリする。
仮にホントにあの夫が、
コンビニ強盗をやっていたとしても、
これって決定的な証拠などないのでは?
アノヒト モシカシテ ダレカ カバッテル ?
「あなたの証言で、
全てがはっきりするんですよ。」
この刑事の言葉で確信した。
決定的な証拠はないらしい。
「ここで無理矢理、私に夫の服だと証言させて、あなた達の思い通りにしたいのかもしれませんが、私は、嘘は言えません。」
夫が、犯人だなんてホントにあり得ない。
あの優しい人が、そんな事できるわけない。
「ダンナさんをかばいたい気持ちもわかりますが、本当の事を話してください。」
「かばうもかばわないも、
わからないものはわからないってだけの話です。
何度も同じ事を言わせて、自分達が望む答えを言わせようとする誘導尋問ですか?
コレが警察のやり方ですか?」
怒鳴りたいのを堪えて、
出来る限り冷静に言ったつもりだったけれど、
刑事の表情が、あからさまに不快そうになった。
「。。。ダンナさんのためなんですよ。」
今度は、なだめようって事?
コノヒト バカ ナノ ?
「まだ、続けるんですか?
それとも、警察が望む答えを言わなければ、
私まで共犯だと
無理矢理罪を押し付けようとしてます?
夫も同じように脅したんですか?」
「。。。。。。」
アノヒト キ ガ ヨワイ カラ 。。。
ダイジョウブ ワタシ ハ マケナイ
ダイジョウブ だいじょうぶ 大丈夫




