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自由人
夫の涙を見てからというもの、
夫の姿が見えなくなる度に、
極度の不安が襲うようになった。
あの日以来、
こっそりと夫と息子と様子を
伺うようになった私は、
その後も何度か
夫の涙らしきものを目にする。
『何を悲しんでいるのか? 』
あれから夫の涙らしきものは、
最初に見た時のように、
息子に何か言い聞かせている時ではなく、
むしろ、
息子が楽しげに笑っている時に、
多く見かけている。
『どうして息子の笑顔で泣くの?』
聞くに聞けない。
聞いたところで、
『哭いてる訳ないだろ。』って、
いつも通りに笑って答えるに決まってる。
不安は、どんどん大きくなるのに、
何故か尋ねてはいけない気がして、
不自然なくらいに明るく過ごす。
もともと自由人というか、
つかみどころのない夫
家庭人というより、
一人でいる方が夫らしい。
『誰かに使われるのは疲れた。』
あの言葉は、もしかすると、
この生活に疲れたっていう
意味だったのかもしれない。
もし、あなたが、
自由になりたいのなら。。。
私は、黙って見送った方がいいのかも。
だって、今、こんなに幸せだもの。




