32/64
恩人
夫の話では、
対向車線から向かってきた車の運転手は、
亡くなっていたらしい。
運転中に心筋梗塞で意識を失い、
その車が私たちの車に向かってきて、
夫は、咄嗟にその車を避けようとして、
道路脇の崖の方へ。。。
車は直ぐに落ちた訳ではなく、
崖の急な斜面を少し走り、
大木の手前でひっくり返ったらしい。
幸いにも、
その事故現場を見ていた男性がいたらしく、
落ちた私たちの車に直ぐに駆けつけ、
まずは、息子を救い出してくれたとの事。
夫も軽く気を失っていたみたいだけれど、
直ぐに気がついたみたい。
でも右腕に強い痛みがあって、
どうすることも出来ずにいたら、
助け出されたとの事。
「その男性、命の恩人だね。」
「ん。。。そうだな。」
何か云いたげな夫。
「何かあったの?」
「いや。。。なんか、
お前の事を知ってるみたいだよ。」
「?」
「だって、お前を見て名前呼んでたし。。。」
。。。まぁ、実家の近くだし、
知り合いだとしても不思議はない。
「誰だろ?名前は、聞いてないの?」
「教えてくれないんだよな。
まぁ、お前意識が戻ったかって、
昨日も電話がきてたらしいし、
そのうち会えるんじゃない?」
なぜかよそよそしい夫。
。。。さて、誰だろう?




