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光
「。。。あはははは。ゴメン。」
泣きながら謝る私の頭を、
夫は、何も言わずに優しく撫でた。
「。。。オレ、
お前の事、何も知らなかったんだな。」
「私が、話さなかっただけ。」
「。。。。。。」
車の中が、気味が悪いほど静かになった。
夫は、何も言わない。
私も、これ以上、話すのが辛かった。
しばらく
ぼんやりと車の外を眺めていたら、
実家の近くの見慣れた景色に変わってきて、
『よく、一人であるいたなぁ。』
と、実家にいた時の事を思い出していたとき、
「あっ! 危ないっ !」
目の前に、1台の乗用車が向かってきた。
この後の目の前の出来事は、
まるでスローモーションのようにゆっくりで、
まるで夢の中の出来事のよう。
対向車には、
ハンドルにうつ伏せになった
運転手が乗っていた。
『ドンッ』
と、鈍い音が車内に響く。
その瞬間、
私たちの乗った車は、
走っていた道路から外れ、
道路脇の崖へ向かっていた。
その後、
目の前に大きな木が見えて。。。
私の目の前に、白く眩しい光がみえた。
何が起きていたのか。。。
その時の私には、何もわからなかった。
ただ、
この時の白く眩しい光は、
前にも見たような気がした。
そう。。。
私の命を救ってくれた父が
目の前で血まみれになって倒れていた時。
その時にも見た光。




