期待
女の子らしくはしゃいでる菜緒とティーネ。
だけどゲネスさんはなんだか不機嫌です。
「少し『五月蠅い』ですわ」
ずしっと菜緒の背中に腰を下ろすゲネス。
いつも穏やかな笑みを浮かべるゲネスだが、この時ばかりは瞳が冷ややかだった。
「うっくぅ……」
「おぎゅぅ」
短い悲鳴を上げる2人など気にせず、菜緒の背中の上で足を組み、片肘を太ももの上に乗せ、肘杖をつく。
そして元コタツをじっと見つめては、ため息を吐くのであった。
「うー、そんなに恋しいのかしら」
身動きできずにいる菜緒は首だけを捻じり、ゲネスの顔を見上げていた。その下からはもはや声などしない。
枕に顔を突っ伏してはいるが、菜緒の下でティーネの身体が上下に動くのだから、呼吸はしている。
生きている、という最低限の事しかわからないが。
「別に、それほどでもございませんわよ」
だが視線は元コタツから動く事がない。
ふっふと、やや呼吸が苦しくなってきた菜緒は短く息をもらしつつ、ティーネの後頭部に埋もれながら目線を上にあげ、何かを考えていた。
「……コタツ、戻してみようか」
突然楽になる呼吸。
背中が解放され、腕で身体を起こす菜緒が見たものは
ちょこんと布団のないコタツに座って、触角を跳ねあげているゲネスの姿であったとさ。
ちょっと短いけど更新。
後半へ続く!という事で。