約束
これは、隣同士に住む二人の少年少女の物語です。
お互いの好きな人を手伝うはずが、次第に心が動き始める。
2011年、東京で始まる、ささやかで暖かい恋の話。
第1話 約束
2011年4月1日 東京
誰もが、俺を避ける。
俺の名前は佐藤 山田。
目つきは悪く、体は大きく、いつでも喧嘩しそうな顔をしている。
だが本当は、ただ静かに過ごしたいだけだ。
そして、勇気が出ないだけだ。
図書委員の美咲さんに、話しかける勇気が。
彼女だけは、俺を怖がらない。
学校の門に着いた時、突然何かが俺の胸にぶつかった。
「いてっ! 大きいくせに!」
小さな女の子が地面に座り込んだ。
髪は跳ね、目は燃えるように輝き、拳を握りしめている。
長谷川 つむだ。
誰もが「小さな爆弾」と呼ぶ女の子。
「悪い」
「触るな!」 彼女は俺の手をはじいた。「全部落ちただろ!」
彼女は本を拾い集めた。
その時、一通の手紙が足元に落ちた。
「これ、健人くんへの手紙だろ?」
彼女の動きが止まった。
「なっ、何で知ってるの! 余計なこと言わないで!」
「俺だって、毎日図書室で美咲さんを見てる」 俺は静かに言った。「お前の気持ち、分かるよ」
彼女は真っ直ぐ俺を見つめた。
「誰もがお前を怖がってる。そんなんで、話しかけられるの?」
「誰もがお前を怖がってる。そんなんで、健人くんはお前の本当の姿を見てくれると思う?」
彼女は一歩前に踏み出した。
「一つ、約束をしよう」
「約束?」
「私はあなたを手伝う。あなたは私を手伝って。お互い、好きな人を落とすんだ」
俺は少しだけ、笑った。
「いいだろう」
二人の手が、固く握り合った。
「それにね」 彼女は少し得意げに言った。「私たち、隣同士なんだから」
この日、俺の毎日は、大きく変わった。
Kore wa, tonari doushi ni sumu futari no shounen shoujo no monogatari desu.
Otagai no suki na hito o tetsudau hazu ga, shidai ni kokoro ga ugoki hajimeru.
2011 nen, Toukyou de hajimaru, sasayaka de atatakai koi no hanashi.




