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薬毒師  作者: 猫又


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9/18

小児性愛に効く薬毒 9

「さあさあ、うちは六時で閉店なんだ。もう帰ってもらおうか。親子げんかは家でしてくれ。そうだ、武士の情けだ。こいつをやるから、これを飲んで今夜はゆっくり眠るんだ」

 と店主が母親に一包みの薬包を渡した。

「お嬢ちゃん達ももうお帰り」

「はい」

 美優は素直に店の扉を開いて杏里と一緒に外へ出た。

 母親もブツブツ文句を言いながらもその後から出てきたが、美優を一睨みしてからさっさと歩いて行ってしまった。

「あ、ハナちゃんにお礼を言っていない……」

 美優はもう一度薬毒店の開き戸を開いた。

「あの……あれ?」

 店内には店主がいたがハナの姿はなかった。

 代わりに美優に薬毒をくれた老婆が立っていた。

「まだ何か?」

 老婆が咎める様な声で言った。

「あ、あの、ハナちゃんにお礼を……言いに来たんですが……」

「ああ、伝えておくよ」

 老婆は素っ気なくそう言い、扉の奥へ入って行ってしまった。

 美優は杏里の手を握ったままで、

「あの、ありがとうございました。二人で飲んだ薬のお金は必ず払います……」

 と店主へ言った。

「ああ、まあ、気にすんな。ハナの気まぐれだからな。お前さんたち未来は変えられそうかい?」

「夢にみたあの恐ろしい未来は絶対嫌ですから……」

「そうだな。がんばんなよ」

「あ、ありがとうございました! お邪魔しました!」

 大きく頭を下げてから杏里の手を引いて扉から外に出た。

「お姉ちゃん……」

「ん?」 

「お母さん、怒ってるよね?」

「怒っててもいいよ。もう怖くない。あの男さえ部屋にいなけりゃお母さんなんか怖くないよ。お姉ちゃんが杏里を守ってあげるからね」

 美優がそう言うと杏里は安心したように笑った。


 

美優と杏里を見送って扉の鍵を閉め、店内の灯りを消してからハヤテは奥の扉から屋内へ入った。ハナが夕餉の支度をしているのか、味噌のよい匂いが漂う。

「土産のお味噌で今夜は美味しい味噌汁が食べられるよ」

 と老婆の姿のハナが言った。

「ああ、里の方へ行かなきゃ手に入らないからなぁ、この味噌は」

 とハヤテが新聞を広げながら、台所の椅子に座った。

「にゃーお」

 と出汁を取った後の煮干し目当てで黒猫ドゥも顔を出す。

 ハナは煮干しをドゥの専用皿に入れてやってから、テーブルへおかずの皿や味噌汁の椀を置いた。

「お前、ガキに薬毒を売るなって言ってるだろ?」

 箸を持ってからハヤテがハナを睨んだ。

「いいじゃない、別に。クズは死んでめでたしめでたしだよ。ハヤテだって最後にあの母親に渡したの夢見の薬毒でしょ? どんな悲惨な未来が見えるのか、覗いてみたいわ」

 老婆の姿のハナがけっけっけと笑った。

「少しは懲りて真面目になればいいけどな。あの娘達の為に」

 とハヤテが言った。

「ならないと思うよ。ああいう女が次に考えるのは己の保身だよ。何の反省もないだろうしね」

 とハナがきつい口調で言った。

「やれやれ、嫌な世の中だ」

 とハヤテは肩をすくめた。


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