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水鏡  作者: 古紫 汐桜
第五章
94/120

歪む心、揺らぐ絆

幸太があちこち探し回っても、遥が見付からない。

気持ちだけが焦る中、幸太は偶然、翡翠に遭遇してしまう。


三郎太のことは夢で見ていたが、前世の記憶を持たない幸太にとって、翡翠は“鬼”そのものだった。

「あの、じき日が暮れます。鬼が力を増しますので、帰宅された方が良いと思いますよ」

幸太からは、翡翠の言葉は親切ごかしにしか受け取れなかった。

夢で見た通りの絶世の美女だ。

男の庇護欲をさそう容姿が鼻につく。


「……だから、なに? あんたが攫った遥先輩を返してよ」

目を据わらせ呟くと、翡翠は悲しそうに俯いた。

「話はそれだけ? だったら僕、急ぎますので」

と一歩前に踏み出した幸太の前に、両手を広げて翡翠がとおせんぼするように道を塞いだ。


「ダメです! 遥さんは私が何とかします。

だから、あなたは屋敷に戻って下さい」

と言われてしまう。

幸太は遥が心配で、気が狂いそうだった。


もしも、遥になにかあったら──


そう思うだけで、そこまで追い込んだ全てを憎みたくなった。


……ふと、幸太は気が付いた。


この感情さえも、鬼がおこしているのではないのか? と……。


(感情に流されちゃ……ダメだ)


幸太は必死に気持ちを落ち着かせようと深呼吸していると


「遥さんは、私が必ず助け出します」

と言い出した翡翠の言葉に、幸太の沸点が一気に上がった。


「そもそも全部、あんたのせいじゃないか!」

幸太は叫んでいた。

「あんたさえ現れなければ……、遥先輩は苦しまなかった!」

感情が……溢れ出して止まらない。


「あんたさえいなければ、僕たちはこんな目に遭わなかった。全部、全部、あんたのせいだ!」


叫んだ後、ハッとした。

違う……、そんな事が言いたかったんじゃない。

そんな幸太に、翡翠が泣き顔のような笑顔を浮かべていた。


「ごめんね、三郎太……」


その瞳は、幸太じゃない人を見ている瞳をしていた。



「違う! 僕は……僕は……薄井幸太だ!」

「止めろ!」


幸太の声を遮るように、対峙する翡翠との間に冬夜が割って入る。

その時、そこだけがきりとられたかのように時間が止まった。


「……なんで、冬夜さんが?」

「謝ろうと思って追い掛けて来たんだよ。

だけどな、彼女を傷付けるなら話は別だ!」

初めて見た、冬夜の怒った顔に幸太は笑い出した。


「なんだよ……。なんで……なんで……、ずっと一緒に居た僕たちより、その人を選ぶんですか!」

幸太の叫びに、冬夜は幸太を真っ直ぐ見て

「じゃあ、聞く。お前は、俺が遥に、今、お前が彼女に取った同じ態度をしても怒らないのか!」

冬夜の言葉に、幸太は何も言えなくなってしまう。


「わかりました。もう、僕たちは別々に行動しましょう」

「……わかった」


二人の会話に、翡翠は慌てて

「ダメです! 今、あなたたちが分離したら、それこそ翠の思うつぼです」

必死に止めに入った。

ふと幸太に伸ばした翡翠の手を、幸太は払い退けると

「僕に、気安く触らないで下さい。僕は、遥先輩を苦しめるあなたも、……冬夜さんも大嫌いです!」

幸太はそう言い残し、その場を走り去った。


おはようございます。

昨日は、朝と昼の更新が出来ず、夜も遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。

今日は無事に更新できました。


まだ本調子ではないため、ご挨拶が短くなってしまいすみません。

次の更新は 12時 を予定しております。

読んでいただけましたら嬉しいです。

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