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水鏡  作者: 古紫 汐桜
第四章
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闇と光②

 あの後、翡翠は三郎太の家族に状況を伝え、それで終わるのだと思っていた。

しかし、それから義昭たちから三郎太がいじめられることはなくなったのだ。

不思議に思って聞いてみたが、翡翠は小さく笑って

「大人の悪知恵だから、ナイショ」

と言って、自分の口元に人差し指を当てた。


後から聞いた話では、若い女性や女の子たちに人気のあった友頼の妻である翡翠は、彼女たちの憧れの存在だった。

そんな翡翠に

『どうしたら、若様みたいな人を見つけられるの?』

と聞かれるので

「乱暴者とだけは、結婚してはダメよ。

いつか、自分にもやるから」

と、翡翠が答えたのだ。

義昭が三郎太をいじめているのを目にしていた女子が、三郎太をいじめようと近付くと

「ねぇ……あれ、自分より小さい子に意地悪しようとしてない?」

「やだっ! ないわね」

「ないわよね……」

と口々に言って、白い目を向けるようになったのだ。

その中に、義昭が好きな娘もいて

「人に優しく出来ない人って、いくら偉くても旦那様にしたくないわよね!」

の一言が効いたようだった。

翡翠が意図していたのかどうなのか……は、もう分からないが……。


「三郎太、やられたことを悔しく思うなら、身体を鍛えて負けない男になりなさい。

その感情を、やった人に向けるのではなく、己を律する事に使いなさい。

私はね、あなたには優しくて強い男の子になって欲しいの」


その時の言葉が……今の三郎太に、祈りのようにして届いた。


ハッと我に返ると、湖で泣いていた翠の姿が無い。

三郎太の胸に、嫌な予感が走る。

「翠を……止めなきゃ!」

三郎太は友頼の愛馬に走り寄ると、乗馬の準備をして飛び乗った。



頼む!

────間に合ってくれ!


逸る胸を押さえながら、三郎太は馬の腹を蹴った。

目指すは──頼政の屋敷。

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