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水鏡  作者: 古紫 汐桜
第四章
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再会~三郎太と友頼~

 その人は、懐かしい場所で空を見上げていた。


「若様!」

翡翠と暮らしていた家に、友頼の姿があった。

縁側に座り、まるで心ここにあらず……という姿で空を見上げていた。

そんな友頼が、三郎太の声を聞いてゆっくりと三郎太の顔を見た。


「三郎太……?」

驚いたように目を見開いた後、ゆっくりと友頼が笑顔を浮かべた。

三郎太は友頼に走りより、両手を広げる友頼に抱きついた。

「三郎太か?……大きくなったな」

「若様……戻りました」

笑顔で答えた三郎太に、友頼の顔が曇った。

「頼久は……?」

「もう、大丈夫です。

立派に成長なされておりますよ」

友頼は三郎太の言葉に、小さく微笑み

「そうか……立派に育っているか……」

と呟いた。


少し痩せた友頼は、どこか儚げだった。

ここに居るのに、心はどこか遠くにいるようだった。


「友頼……また、飯残して……」

二人の再会を邪魔しないようにと思ったのか、席を外していた翠が怒った顔で現れた。

「すまないな……翠」

力なく笑う友頼の姿に、三郎太は悲しくなった。

「お前が俺を生み出したんだ。きちんと長生きして、責任取れ!」

そう言って怒る翠に、友頼は小さく笑い

「そうだな……」

とだけ答えた。

そんな友頼に、三郎太は両頬を音を立てて挟むと

「なにを弱気になっているんですか! 三人で生活するんでしょう! しっかりして下さいよ!」

と叫んだ。

三郎太の行動に目を見開いて固まる友頼に、翠も頷き

「まさかお前……、俺とこのチビだけにする気じゃねぇよな?」

と続けた。


「ちょっと! 翠さん、チビは失礼じゃないですか?」

「チビにチビって言って何が悪い!」

「うわぁ! チビって言った方がチビなんだからな!」

「どんな屁理屈だよ!」

二人の言い争いを唖然と見ていた友頼は、突然吹き出して笑いだした。


「何なんだよ、お前たち。

緊張感、無いなぁ~」

友頼は笑いながら


まだ笑える───

もう少しだけ、頑張ってみよう


と思えた。


 三人での暮らしは、三郎太と翠の言い争いを友頼が諌めるという騒がしい毎日だった。

それでも、いつだって三人で笑いが絶えなかった。

男三人、こんな生活も悪くないと思っていた矢先、悲劇は起こった───。


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