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水鏡  作者: 古紫 汐桜
第四章
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悪夢の始まり②

すると友頼は、ガックリと膝から崩れ落ち

「お願いです。顔も知らぬ兄だが、私には見捨てられない。翡翠、兄上を……兄上を助けてはくれぬか?」

と呟いたのだ。

「友頼!」

初の叫びも虚しく

「若様、分かりました。必ず……必ず、若様の兄上様をお助け致します」

床に崩れ落ちた友頼の手を握り、翡翠は頷いた。

「伊蔵さん、私を怪我人のもとへ」

翡翠の声に

「翡翠様!」

初の咎める声が届いた。


翡翠が初に振り返ると

「知りませぬよ! きっと……あなたはこの行いを後悔なさる」

初は厳しくそう呟いた。

「きっと……助けなくても後悔します。

同じ後悔なら、助けて後悔したいです」

「翡翠、馬を出そう」

翡翠の言葉に、友頼がそう答えて足早に二人が家を飛び出して行くのを、初は黙って見送ることしか出来なかった。


「逃れられぬ運命──か」

シン─────っと静まり返った朝の空気が冷たい中、初はポツリと呟いた。


「神様も……酷い仕打ちをなさる」


初の声は風に溶け、どこか遠くへと消えていった。

この日の空は、やけに澄み渡っていた。

まるで、何も知らぬ神が笑っているかのように。


読んで下さり、ありがとうございます。

次回更新は明日の7時頃になります。

又、読んで下さると嬉しいです。

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