結ばれた二人
「友頼!
──お前を愛しているのだ」
ポツリと呟いた翡翠の言葉に、友頼は息を飲んだ。
「怖かった……。
この気持ちを知られたら、お前が私の前から消えてしまうのではないかと……。
でも、お前と同じ性別にはなりたくなかった」
声を詰まらせ、嗚咽をこぼす翡翠を前に、もう友頼は自分の気持ちに嘘がつけなくなってしまった。
目の前で泣き崩れていく翡翠の身体を、友頼はかき抱いた。
「翡翠……私だって……」
思わず吐き出した言葉に、友頼はハッと我に返って翡翠を引き剥がした。
「友頼……」
縋るように自分を見つめ、自分に愛を乞う翡翠を拒むことは、友頼にはできなかった。
「翡翠……」
ずっと愛し焦がれた相手が、自分を求めている。
強く抱き寄せ、どちらからともなく唇を重ねた。
初めて触れた翡翠の唇に酔いしれるように、ゆっくりと翡翠の身体を押し倒した。
翡翠の白く細い手が、そっと友頼の頬に触れる。
友頼は翡翠の手を掴み、翡翠のてのひらに唇を当てた。
「翡翠……愛しています……」
決して告げてはならない禁忌の言葉。
翡翠は目を見開き、漆黒の瞳から涙を溢れさせ
「夢じゃ……ない?」
そう呟いた。
「友頼がいなくなってから、毎晩、毎晩夢を見た。手を伸ばしても、友頼が捕まらない……」
涙を流し、空をつかもうと伸ばす翡翠の手を友頼は握り返した。
「夢じゃないです……。今、こうしてあなたの前に、私はいます」
溢れ出す涙が、頬を伝う。
たった一週間なのに、痩せたような気がする。
「痩せましたか?」
「友頼がいないと……食事も喉を通らぬ……」
翡翠の言葉に、友頼の胸が切なくきしむ。
もし、禁忌を犯すなら、友頼は翡翠に自分の話をしなければならないと思った。
「翡翠……、私はあなたに言わなければならないことが……」
そう口にした友頼の唇に、翡翠の細い指が触れた。
「今は……私だけを見て……感じて……」
囁かれた言葉に弾かれたように、友頼は翡翠の身体を強く抱き締めた。
友頼の指先が触れるたび、体の奥が燃えるようだった。
ずっと……触れたくても触れられない遠い人だった。
「翡翠……」
甘く掠れた声が名前を呼ぶだけで、自分の名前が愛おしく思える。
逞しい友頼の背中に回した手で、必死にしがみつき、燃えて灰になりそうな身体を繋ぎ止める。
重ねた手が……唇が……身体が……
ゆっくりと一つに溶け合っていく
それはまるで、失った半身を取り戻して一つになるようだと翡翠は思った。
この日、二人は遂に夫婦になった──。
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次回更新は明日の7時頃になります。
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