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嫌な予感
「だから、ダメだと言ったらダメだ!」
あれから、遥と冬夜はほとんど毎日のように言い争っていた。
あの写真の場所へ行きたい冬夜と、行かせたく無い遥。
遥には予感があった。
あの場所へ行ったら、冬夜がもう戻らないような気がしていた。
もう一人の自分が、その場所に冬夜が行く事を止めている。
あの日以来、遥の胸の中でずっと警戒音が鳴り響いている。
夢の中で、追い掛けても追い掛けても冬夜が遠ざかっていく。
でもそれは夢では無く、予知夢のような気がしている。
……決して手の届かない人だと、わかっている。
でも、せめて側に居る事くらいは許して欲しいと願うのはいけない事なのだろうか?
冬夜を失う恐怖と、この想いから逃げ出したい気持ちの狭間で揺れていた。
「だったら、3人で行ったらどうですか?」
言い争う二人に、幸太が笑顔で提案してきた。




