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水鏡  作者: 古紫 汐桜
第五章
107/120

夢が壊れる音、本物の声が呼ぶ先へ

すみません。

一部のエピソードがエラーで更新されていなかったようです。

先ほど改めて更新いたしました。

遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。

目を覚ますと、時間は七時過ぎていた。

慌てて1階に降りると

「ママ~、おはよう」

子供たちが声を掛けてくれる。

冬夜が子供たちの面倒を見てくれていて、ホッと息を吐いた。

「じゃあ、俺は仕事に行くな」

冬夜の声に、遥は玄関まで見送る。

「あの……冬夜、ごめんなさい」

落ち込んで呟くと、冬夜は小さく笑い遥を抱き締めた。

「昨夜は珍しく遥が積極的だったから、無理させたからね。気にするな」

甘く耳元で囁かれ、頬にキスを落とした。

その言葉に真っ赤になると

「遥……愛してるよ」

そう囁かれてキスを交わした。


絵に書いた幸せ──

遥は朝食で珈琲を飲みながらそう思った。


その時、『ジジッ』とノイズ音が耳に届いた。


『俺、お前とは友達以上になるつもり無いから』

紛れもない冬夜の声だった。

「嫌っ!」

テーブルに珈琲が溢れ落ちた。

気付いたら、子供たちがいない。


『ジジッ……ジジッ……』

ラジオが電波を拾うような音が響く。


「嫌っ……、来ないで!」

遥は耳を塞ぐ。

「冬夜……、助けて……冬夜っ!」

泣きながらスマホで電話をかける。


『遥? どうした?』

「冬夜……助けて……冬夜!」

『分かった、すぐに帰る!』

電話が切れ、一定の電子音が響いた。

するとスマホから


『……い。……遥……せ……い』

懐かしい声が聞こえた。

スマホの電源を慌てて切った。

『遥先輩!』

切った筈のスマホから、その声が聞こえて来た。


『帰って来て下さい! 遥先輩!』

それはあまりにも悲しくて、切ない声だった。


「遥! 大丈夫か?」

「冬夜!」

冬夜の声に振り返る。

抱き締めてくれた腕の強さも、温もりも感じる。


──だけど……今、電話したのに……なぜ、冬夜はもう“ここ“にいるの?


『遥先輩』

温かい声が再び耳に届く。

『帰りましょう……遥先輩』

眩しい光が見え、そこから手が差し出されている。

その手を取ったら、この幸せが壊れる。


遥はゆっくりと冬夜の顔を見上げた。

「冬夜……私を愛してる?」

溢れる涙が頬を濡らす。

「愛してるよ、遥……」

抱き締められた腕は力強い。

遥は震える唇で告げた。

「翡翠よりも?」

すると、冬夜は首を傾げ

「翡翠? 誰だい?」

一気に景色が白黒に変わる。

ノイズが走り、昔、古いホラー映画で見た砂嵐になる。

「いやぁぁぁぁぁ~!」

泣き崩れたその瞬間

『遥先輩』

誰かが優しく抱き締めた。

『大丈夫です、僕が傍に着いています』

何故か安心する声が聞こえた。

『帰りましょう。“本物の“冬夜さんも待ってます』

涙でぐちゃぐちゃな顔を上げると、逆光を浴びて影だった姿が、ゆっくりと人の姿になる。


「幸太……」


その名前を呼んだ瞬間、遥を光が包んだ。


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