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授業中に男爵令嬢のことを考える

 ――あの男爵令嬢は、意味の分からない単語を口にしている。

 ――こんなのありえない。『煌めき魔法学園』のヒロインなのに。

 ――とある男子生徒に対して「モブが話しかけないで」などと暴言を吐いていた。




 などということを聞かされた俺。




 モブ……? と不思議な気持ちになった。なんだろう、前世ではそういう単語を散々聞いたことはあったけれどこの世界で貴族として生きていたらそういう言い回しは聞かないしなぁ。

 それにしても貴族令嬢がそんなことを誰かに言うのもなかなかありえない。そういう風な態度をしていたと知られるだけでも、貴族としてこれから生きにくくなるだろう。





 貴族社会だと噂とか、すぐに広まる。そういう風評被害があれば結婚も大変になるし。

 ……それにしても転生者とか、攻略できなくなったとか言っていたから転生者なんだろうけれど。




 攻略…って聞くとゲームってことだよな? それにヒロインうんぬんと口にしているってことはそう言うゲームってこと? 前世の俺はやったことないけれど、乙女ゲームとかそういうものだろうか。

 そういう転生物って前世では数多くあったけれど……まさか本当にそんなことが起こっているのか?

 でもそういう世界に例えば転生したとしてもいつまでも現実が見えないなんてことがあるんだろうか。俺が余計なことをしたから、こんなことになったとか文句は言っていたし。




「ブラッドン、この問題を解いてみろ」




 昼休みが終わってから、授業を受けている。考え込んでいると当てられたので、立ち上がる。

 俺は立ち上がってから前に立ち、問題を解いていく。

 数学関係はこの世界は前世よりは発展していない。だから数学関係の問題は解きやすくていいなと思う。



 ただ山ほど学ぶことがあるからこそ、大変だけどな。俺は国王になるルクレステの側近としてこれから生きていく予定だし。正直、前世ではこんなに勉強をしてこなかったし、今世でこんな風に勉強をするとは思ってもなかったな。




 ルクレステに会わなかったら今の暮らしをすることはなかっただろう。

 というか、攻略するっていってるなら、ルクレステはそのゲームの中でまた違った姿を見せていたとかそんな感じ?




 俺は問題を解いて席に戻った後、またそんなことをつらつらと考える。教室内でルクレステの方を見れば……うん、何か別のことしているな。

 ルクレステは要領が良いし、頭がいいのだ。俺なんかよりもよっぽど頭の回転が速くて凄いなといつも思っている。今も別作業もしているけれど授業を聞いていないわけではないだろうしな。

 ……そうやってじっと見つめていると、ルクレステと目があった。満面の笑みを浮かべられる。




 うん、ルクレステは俺のことがかなり好きというか、本当に友人と思ってくれているのは普通に嬉しい。





 王太子という立場って、そういうゲームだとどうなんだろうか? というか前に言っていた『煌めき魔法学園』ってゲームのタイトルってこと? なんか、凄いあり得そう。




 ああいうゲームってイケメンが沢山出てくるイメージだけど、ルクレステ以外って誰だ?

 俺はそういうゲーム、正直言って前世でやったこと全然なくて、話を聞いたことがあるぐらいなので全く分からない。他にもそういう面子居るってこと?? 

 あれだけ俺に対して怒っていたってことは多分、俺は違うよな?




 全然分からないけれど、そういうことを調べさせるってなるともしかしたら空想の世界と現実をごっちゃまぜにしているかもしれないという説明しなきゃなんだよな。

 俺が前世の記憶があることはルクレステとかには伝えてあるけれども、軽く言ったぐらいなんだよな。

 ルクレステは「そうか」って簡単に受け入れて、正直そんなことはどうでも良さそうにしていた。本当に器が大きいというかなんというか、そういう感じがする。




 ルクレステとか親しい人たちはともかくとして他の人達にまで俺が前世の記憶があることって伝える必要はないと思ってたし。変な目で見られるのも嫌だし。

 とはいえ、必要ならそう言うことも説明しなければならないわけだけど。

 それにしてもあの男爵令嬢は説得すれば大人しくなるか? これだけやらかしているなら、そうならない気もする。

 そういうことも踏まえてこれからの対応は考えておかないと。



 というか、このまま処刑とかのルートに行きそうだけど、まぁ、学生だからもう少しは多めには見るだろう。



 ただ陛下たちからしてみると、この位の問題は学生間で解決してほしいものだろうし。こういう相手をどう上手く対処できるかも、試されている感はあるんだよな。

 俺もルクレステの側近として生きていくことになっているわけだし、そのあたりはちゃんと対応しきりたい。



 まぁ、ちょっとした失敗ぐらいでは側近になる道が外れることはおそらくないだろうけれど。それでも周りの期待は裏切りたくないし頑張るつもりだ。

 幾ら周りが俺にそれなりに甘かったとしても、その辺はちゃんとするつもりだし。




 一先ず放課後になったら本格的にどう動くか決めよう。


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