朝
Ama llulla. Ama suwa. Ama qella.
(嘘をつくな。盗むな。怠けるな。)
私は一抹の不安を胸に抱えながら目を覚ました。昨日からの断食によって、身も心も研ぎ澄まされていた。大地には霧が立ち込め、朝日が淡く反射していた。冷気が肌を刺し、鼓動を速めた。
昨日と同じように温泉に入り、身を清めると、ますます思考は明晰になった。湯に浸かり、体温が水温と一体になるにつれ、大地と融合するような感覚が広がった。私の手足の先にタワンティンスーユが広がっていた。
ふと顔を上げると、一羽のコンドルが悠然と空を舞っていた。羽ばたくことなく、空気の流れを捉え、大きならせんを描きながら町の上を旋回していた。その姿はまるで天の啓示のように思えた。おそらく、町の誰もがその雄大な飛翔を見上げ、何かを感じ取っていたことだと思った。
入浴を終えると、従者がスペイン人たちの使者が訪れたと告げた。昨日の会合は予定外のものだったため、改めて話をしたいと言った。
私はそれを承諾し、昨日と同じように広場で応対することにした。やがて、彼らは騎馬でこちらへとやってきた。数頭の馬には通訳として先住民が同乗しており、さらに全身を真っ黒な布で覆った者がいた。
朝日を浴びた彼らの銀色の防具は輝きを増し、神々しささえ帯びていた。それを見た兵士たちは、彼らがビラコチャではないかと疑うほどであった。馬たちは兵の隊列を恐れることなく悠然と進み、使者たちは包囲されているにもかかわらず、冷静な表情を崩さなかった。その胆力に私は密かに感嘆した。
使者の代表はエルナンド・デ・ソトと名乗った。昨晩も訪れた人物であった。そして、黒いカソックに身を包んだ男はビセンテ・デ・バルベルデと名乗り、自らを神の使いだと告げた。彼はスペイン人たちに連れられた神父だった。
「主君。昨日は急な訪問をお許しください。本日は、我々の司令官フランシスコ・ピサロとの会見をお願いしたく存じます。夕刻にお時間をいただきたく存じます」
「よかろう。お前たちがここまでの道程で払った労苦に免じ、その申し出を受け入れよう」
「ご寛大なご判断、感謝いたします」
通訳の先住民は恭しい口調で私に伝えたが、その目には怯えが宿っていた。色黒で華奢な体つきをしており、北方の赤道近くで生まれたことがうかがえた。おそらく、北征事業で征服された民の子孫であった。一方、スペイン人たちの白い肌は強い日差しに焼かれ赤くなっていた。皆、髭を蓄えており、その風貌にはどこか醜い所があった。
会合の最中、スペイン人たちが我々の土地で行った蛮行が脳裏をよぎった。しかし、私はそれを話題にはせず、午後の会見の内容次第で彼らの裁定を下すことを密かに決めた。
ピサロとの会見が決まると、バルベルデ神父が一歩前に出た。初老の男で、白髪と深い皺に覆われた顔を持ちながらも、その目には鋭い光が宿っていた。彼の佇まいからは、獰猛な性格を秘めた典型的なコンキスタドールの気質がにじみ出ていた。恭しく定型の挨拶を述べた後、背筋を正し、じっと私を見据えた。
次の瞬間、彼はゆっくりと口を開き、何か呪文のような言葉を唱え始めた。
通訳の先住民は、それを聞いて戸惑った表情を浮かべた。彼は私と神父を交互に見やりながら、その長い言葉をどう訳すべきか迷っているようだった。しばしの沈黙の後、彼はついに翻訳した言葉を私に伝えた。
「我々は神の意志と王の命令に従い、この土地に住む全ての者に対し、キリスト教の教義を広めるために来ました。私たちはあなたが太陽神への信仰を捨て、新たにキリスト教を信じることを求めています」
神父は胸のところに大きな箱のような物体を持っていた。私はそれが何であるか皆目見当もつかなかったが、当然それは聖書であった。
私はその時、通訳の言葉を信じた。だが、それは真実ではなかった。バルベルデ神父は、本当は次のように言っていたのだ。
「新世界において全ての非キリスト教徒は、神の教えを受け入れるべきであり、これを拒否する者があれば、我々はその者に対して神の名のもとで戦いを挑む」
しかし、私はスペイン語を解さず、キリスト教についても何一つ知らなかった。使者たちに何度か問いを投げかけたものの、納得のいく答えは返ってこなかった。結局、午後の会見を約束し、その場の会合は幕を閉じた。
バルベルデ神父は最後まで笑みひとつ見せず、険しい目つきで私を見据えていた。その視線に秘められた彼の真意を理解するのは、結局、あの悲劇の後になってからのことだった。
彼は、石を積み上げて築かれた神殿や、町中に設置された偶像崇拝の象徴である石像や装飾を見て、言い知れぬ敵意を募らせていたのだ。その瞬間、二つの神が対峙していた。そして、我々が彼らの神を否定する時、彼らは我々を悪魔と見なしたのである。
カハマルカの大地は何も知らず、ただ静かに風に吹かれていた。神はそこにあった。ただし、それは崇められるべき存在ではなく、剣を振るう者の口実として。