全てのものの起源と終わり
処刑の瞬間、私の魂は肉体を離れ、天へと舞い上がった。次に気づいた時、私は一羽のコンドルとなり、大空を羽ばたいていた。
大きな翼を広げると、アンデスの上昇気流に乗り、天へと舞い上がった。はるか下に広がるタワンティンスーユの地は、緑の絨毯のように小さく見えた。どれほど目を凝らしても、鬱蒼とした森の奥に人々の姿を見出すことはできなかった。
太陽神インティは彼方の空で輝き、大地を照らしていた。大陸を脊椎のように貫くアンデス山脈の向こうには乾いた砂漠が横たわり、さらにその先には果てしない太平洋の青が広がっていた。
高度を下げれば、黄金色のトウモロコシが段々畑に豊かに実り、我が民が細い山道をただただ足を引きずって歩く姿が見えた。切り立った岩肌を白銀の糸のように流れ落ちる滝の傍らには、鮮やかな紫色の野生の蘭が、誰にも知られることなく咲き誇っていた。
この広大な世界の雄大さに心を打たれる一方で、この大地に永遠に縛り付けられ、生きることを強いられた我が民のことを想うと、私の目からは涙がこぼれ落ちた。
私は無我夢中で飛び続けた。胸を焦がす使命感と深い後悔が、絶え間なく私を突き動かしていた。日々を過ごす中で、太陽と月はいつも私の傍らにあったが、私は空に向かって言葉にならない声で叫んだ。
「太陽の神インティよ……月の女神ママ・キリャよ。なぜ、この私は生きているのか!なぜ、生き続けねばならぬのだ!」
しかし、答える者はいなかった。「どうして答えてはくれぬのか……」
絶望に身を任せたまま、私は飛び続けた。冷たい風が翼を撫でる中、私はタワンティンスーユの民が直面する数え切れぬ苦難を目の当たりにした。
多くの男たちが鉱山での重労働に命を落とし、女たちは夫から無理やり引き離され、スペイン人たちの欲望の餌食となっていた。
また、ある時は両腕を切断された幼子の姿や、腹を裂かれた妊婦たちの無残な姿を見た。牢獄の外もまた地獄であったことを知った。スペイン人たちの目には、我々の民は人間とは映っていないようだった。
彼らは容赦なく、私の血族を一人残らず探し出し、根絶やしにしようとしていた。ピサロに対する私の切なる頼みが届くことはなかった。
幼い息子たちは、首を刎ねられ、あるいは体を切り裂かれて息絶えた。彼らの小さな体から流れる真紅の血を見ながら、スペイン人たちは敬虔に十字を切るのだった。
私は怒りに全身を震わせ、黒い翼で空に渦を巻きながら、さらに高く舞い上がった。雪を頂くサルカンタイ山を越え、神聖なるチチカカ湖の水面を低く飛んだ。太陽は地平に沈み、湖面は静かに漆黒に染まっていた。
私は湖の中心に浮かぶ太陽の島に降り立ち、古の神殿へと足を踏み入れた。チチカカ湖には、かつて創造神ビラコチャが太陽と月の神々を生み出したという伝説があった。神殿には人の気配はなく、ただ月明かりだけが冷たく部屋を照らしていた。
「ビラコチャよ……答えてくれ」
石の壁に囲まれた神殿には、私の叫びだけが虚しく響き渡り、返ってくるのは凍てつくような静寂だけだった。
すべてに意味がないと悟った今、私は何を支えに生き続ければよいのか。空を自由に飛ぶことができるというのに、私の魂は大地よりも重く沈んでいた。
月光に照らされた神殿の入り口から、一人の若い女性が静かに姿を現した。彼女は太陽の石の祭壇の前にひざまずき、震える声でスペイン人たちへの裁きを神に懇願していた。その顔には幾筋もの涙の跡が刻まれ、疲労に満ちた瞳は希望を求めるように遠い空を見つめていた。
「インティよ、どうか我が民をお守りください」
彼女の切実な祈りは、私の心を鋭い矢のように貫いた。
彼女はすでに天然痘の流行で両親を失っていた。兄弟たちも銀鉱山での過酷な労働に駆り出され、一人、また一人と命を落としていったという。それでもなお、彼女は答えの返ってこない神々に向かって祈り続けていた。
私は胸を締めつけるような自責の念に苛まれた。王としての責務を果たせなかった絶望が、翼の重みとなってのしかかるようだった。王として民を守れなかった無力さ。生き延びる意味さえ見出せない空虚さ。なぜ自分だけがコンドルとなって生かされているのか。神々は本当に存在しないのか。
その夜、私は再び空へと舞い上がった。後悔を抱えながら空を舞い、それから数百年もの時を過ごした。永遠とも思える歳月の中で、私はタワンティンスーユの人々の苦難をただひたすらに見守り続けた。
文字を持たなかった我が民の豊かな文化と誇り高き歴史は、時と共に大地の下へと埋もれていった。男たちは鉱山や農場での過酷な労役に追われ、女たちはスペイン人の子を宿す宿命を背負わされた。
私がピサロたちによって処刑されたことは、長い侵略の歴史の序章に過ぎなかった。数十年間戦いは続き、タワンティンスーユの勇敢な人々は幾度となく抵抗したが、すべては血の海に沈み、敗北に終わった。
私の腹心であったキスキスやルミニャウイたちも戦いで命を落とした。最後の皇帝トゥパク・アマルが最後の砦としたビルカバンバの町も、やがて密林の奥深くに消え去った。
大地は変わり、人々も変わったが、弾圧だけは途切れることなく続いていた。先住民は常に社会の最底辺に置かれ、混血によって複雑な階級が生まれた。南米大陸生まれの白人クリオーリョ、先住民と白人の混血メスティーソ、黒人奴隷と白人の混血ムラート、そして常に蔑まれる純粋な先住民インディオがいた。
何百年もの時が過ぎる中で、私は次第に人間たちの言葉を理解するようになっていった。かつて私が生きた時代とは異なる言葉も多かったが、彼らが語る歴史や政治の話には、どこか馴染みのある響きがあった。
ある日、私は偶然、大学の中庭に舞い降りた。古びた楡の枝に止まり、何気なく周囲を眺めていると、ふと講義の声が耳に入ってきた。最初はただの人間のざわめきとして聞き流していたが、彼らの話す内容に次第に引き込まれていった。
そして、ある一節が私の心を鋭く貫いた。
「戦争とは政治の延長である」
その言葉を聞いた瞬間、私は動揺した。
戦争が政治の延長? では、タワンティンスーユが滅んだのは、戦争そのものではなく、もっと深い理由があったというのか?
私は長い間、敗北を運命として受け入れるしかなかった。怒り、悲しみ、絶望がすべての答えだった。しかし、この言葉は私に問いを突きつけた。
「なぜ我々は敗れたのか。なぜスペインに支配されることとなったのか」
その問いが頭から離れなかった。私は知らなければならないと思った。戦いに敗れた理由を、滅びた理由を。
その日以来、私は大学の講義を繰り返し聞くようになった。戦争について語られるたびに、歴史について語られるたびに、私は少しずつ敗北の意味を考え始めた。
ある日、「孫子の兵法」を知った。そこには戦の理が記されていた。またある日、「銃・病原菌・鉄」という書物に出会った。なぜヨーロッパの力が強大になったのか、その理由が示されていた。さらに、「国家はなぜ衰退するのか」という書物から、支配の構造が生まれる理由を知った。
私は初めて、敗北を感情ではなく理論として理解しようとしていた。敗北の理由を知ることが、苦しみから解放される道だったのだ。
私はその大学の木に何年も、何年も留まり続けた。やがて人々は、私のコンドルの姿をこの学び舎のシンボルとして敬うようになった。かつての王は今、知恵を求める若者たちを静かに見守るコンドルとなり、新たな使命を見出し始めていた。




