表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

4、接触 

紅いドレスの女の所属する訪問マッサージ店を判明させた向坂たちは次の探りの手を入れる。実際に彼女を指名して客として接触しようとした。彼女はどんな女性なのか。

 赤いワンピースの彼女の情報が判明して数日は彼女は現れなかった。ただ出勤していてもサンライズの関係者が気づかなかっただけかもしれない。経営陣の3人は毎日10時ごろ社長室から駐車場を眺めるのが日課になっていた。すると数日後大きな動きがあった。

 午前10時前に社長室に集まった3人は経営戦略会議を始めようとしていたが、いつものように窓際に集まってコーヒーを手にして外を眺めていた。ここのところ姿を見せないあの赤いワンピースの女“小百合”が来るのを待っていた。小百合は本名だろうか。苗字は何と言うのだろうか。

いろいろ考えていると数日ぶりにあの白い軽自動車が現れた。北側の入口から入って来た車はゆっくりと端の方の空いているスペースに向かい、バックで白い枠線の中に停車した。パチンコ屋の入口からは遠いところなので、両サイドともに空いている。中の女は今日も赤いワンピースを着ているようだった。周りを見回してもいつもの青い車が来ていないので、社内でルームミラーを見ながら化粧を直しているようだった。

「いつもの青いSUV、遅いですね。もう5分くらい経ってますよ。」と井川が言うと

「店長も忙しいのかな。前のお客がなかなか終わってくれなかったとか。」と向坂が想像を膨らませた。車の中の”小百合“も少しずつ苛立って来たのか、ハンドルのもたれかかってフロントガラスに頭を近づけ周りをキョロキョロ見回している。しかし10分ほど過ぎたところでいつもの青いSUVが現れた。駐車場の端の白い軽自動車を見つけて近づくと、隣の白線の枠に車を停車した。いつもなら女性の方が車から降りて青いSUVの助手席にすぐに乗り込むところだが、今日は男の方が車から降りて白い軽自動車の運転席の女性の所に歩いて行った。運転席のウインドウを下げてしばらく話していたが、女は車から降りて2人が対面して話し始めた。すると突然男が女性の頬にビンタをくらわした。

 その様子を見ていた社長室の3人は息をのんでしまった。向坂と井川は話をしたこともないこの女性に神秘的な魅力を感じ、好意を寄せ始めていたのかもしれないが、突然の出来事に彼女を救いたいと感じた。ただ彼女はそのままおとこのSUVの助手席に乗り込んで出発してしまった。5階の社長室で様子を見ていた3人は駐車場から出て行く車を呆然と見送った。

「事件ですかね。見ていただけの私たちが警察に通報すると言うのも何か不自然のような気もします。ビンタされたあの女が被害届を出すことが自然ですね。」と桂川が冷静に分析した。向坂社長は顔色もなくびっくりしていたが

「何があったんだろうね。どうして店長に叱られなきゃいけなかったんだろうね。」と問いかけると井川副社長は

「何か客からクレームでも入ったんですかね。客が不愉快な思いをするような言動があったのかもしれないね。それとも事務所のルールを破ってあの女が、直接客と連絡を取ったのかもしれません。」と自分なりの予想を出した。そして井川は思い切って提案した。

「社長、私が一度、彼女に接触して、どんな人なのか探ってみたいんですけど。」

そう言われた向坂社長は心配して

「井川さん、行って探ってみることは個人の自由だけど、相手は不法行為も厭わない反社会的な連中かも知れません。私たちには関係ないことなので、気を付けてくださいよ。犯罪に巻き込まれないようにしてください。」と注意喚起した。桂川は

「どうやって近づくんですか。」と問いかけると

「正攻法で、客として彼女を指名してみるよ。」と答えてくれた。そして

「明日はお休みをいただきます。真昼間からマッサージ嬢を呼びます。」と宣言した。


 翌日、井川は朝から会社を休んだ。いろいろ考えたが福井駅前のホテルの部屋で彼女を呼び出すことにした。ネットでマハラジャのホームページを確認して彼女が出勤予定かどうかを確かめると、10時から17時まで出勤となっていた。井川は昼過ぎにホテルの部屋を予約し、アーリーチェックインで午後2時にホテルに入り、早速ホームページから”小百合“を指名して予約を入れると、午後2時30分に予約が取れた。

 部屋はシングルルームでベッドと椅子と机があるだけで、入口近くにトイレとユニットバスがついたビジネスホテルである。そこからはそわそわしながら部屋で彼女が来るのを待った。部屋番号は予約の時に入力しているので、迷う事はないはずだ。ここに来る途中のコンビニで購入したお茶を飲んで、窓にかかるカーテンをしっかりと閉めて外から見えないように点検した。彼女のプロフフィールが正しいならば、井川と同じ年齢のはずだ。

 しばらくすると呼び鈴がなった。のぞき窓を覗くと赤いワンピースの女性が立っていた。深呼吸をして気持ちを落ち着かせてドアを開けた。そこに現れた女性は鮮やかな真っ赤のワンピースを着た美しい女性だった。サングラスはしていなかったので、顔の表情もよくわかった。スタイルも良く細身の体だが胸元ははち切れそうだった。

「マハラジャの小百合ですが、予約を入れていただいた井川さんですか。」と聞いてきたので

「そうです。お待ちしていました。よろしくお願いいたします。」と言うと彼女は慣れた感じで肩に掛けていたトートバッグを椅子の脇に下ろし、バッグから大きなシートを取り出してベッドにかぶせた。

「汚れないようにカバーを敷きますね。お客さん、ご指名をいただいて有難うございます。私は初めてですよね。どうやってお調べになられたんですか。」と聞くので

「ホームページを見ていたら指名できると書いてあったので、写真で選んだんだよ。」と言うと、彼女は笑顔で嬉しそうに

「有難うございます。あまり若くないですけど、一生懸命にマッサージさせていただきます。特にお疲れの場所とかありますか。」と今度はシートに上にタオルを敷きながらテキパキと聞いてきた。井川は彼女の作業する姿を見ながら、彼女の豊かな胸元とスカートから伸びたきれいな足に目を奪われていた。ただスカートは年齢相応にひざ丈だったので太ももがみえなかったのは残念だった。

「肩とか腰とかは凝ってるかな。」と半信半疑で答えた。

 大方の準備を終えた小百合さんはベッドの脇に立って

「準備が出来ましたのでこちらにうつ伏せに寝ていただきますが、こちらに着替えていただけますか。」と言ってサウナスーツのような衣服を手渡してきた。言われるままに着替えようとしたが、下着をどうするか迷ったので

「下着はどうするの?」と聞くと

「付けたままでいいですよ。」と答えてくれた。

着替えを終えると言われたようにベッドにうつ伏せの体勢を取った。

「それでは始めて行きます。それからお願いですが、健全なマッサージですので性的なサービスなどはございません。私たちの身体に触ったりされますと犯罪行為になりますのでご容赦ください。」と最初にくぎを刺してきた。そして赤いワンピースの腰の部分を絞っていた黒いベルトを外し、ワンピースを脱ぐと上下黒の半袖短パン状態になった。

 ベッドの上に横たわる井川の横に膝を立てた姿勢で座ると、腰のマッサージから始めた。少し痛いが全身に快感が走って行く。腰から今度は肩のマッサージで肩甲骨をはがしていく。普段、机での仕事ばかりで、特にモニターを見続けるコンピュータ仕事なので、肩が巻き肩になっている井川は痛みに顔をゆがめ、唸り声をあげているがやはり快感を感じていた。徐々にリフレッシュしてきたところで彼女が、井川の腰の上に馬乗りになってきた。本格的に腰に指圧を始めた。2人の距離も縮まってきたところで話しかけてみた。

「小百合さんはどこの生まれなんだい?」と問いかけると

「名古屋です。福井に来てもう5年です。」と吐露した。しかし身の上話を聞きたい井川は

「魅力的な体つきだけど、まだ独身なのかい。」と聞いてみた。すると小百合は

「あら、有難うございます。でも30過ぎて少し太ってきたみたいなんです。今は独身ですけど前に旦那もいました。子供もいますし今は離婚してシングルマザーです。」とさばさばと語ってくれた。

「母子家庭で生活は大変じゃないかい。」と心配そうな顔つきで聞いてみると彼女は

「生活は大変だけど、息子と2人でなんとか暮らしています。」

「なんとか」と言う言葉に井川は少し安堵した感じを受けた。


 今度は彼女が井川のことを聞いてきた。

「井川さんはどんなお仕事ですか?」と言うのでどこまで話そうか迷ったが

「小さな会社でドローンを作っているよ。」と答えた。

「こんな時間にマッサージを受けていられるのは社長さんですか。」と太ももをもみながら聞いてきた。

「社長ではないけど、管理職だから昼でも時間があるんだよ。」と答えた。

「お金持ちですね。これからもよろしくお願いします。」と言って太ももの付け根辺りを執拗にマッサージしてきた。

「昼に働いているけど、どんなお客さんが多いんだい?」と井川が聞くと

「お客さんのプライバシーはお話しするわけにいきませんが、昼の時間帯なので時間に余裕がある経営者の方が多いと思います。毎週指名してくれる社長さんが赤いワンピースが好みだって言うから、いつ指名されても大丈夫なように、この赤いワンピースを着ていることが多いんです。」と答えてくれた。

最後にあの事件について聞いてみた。

「マハラジャの店長は優しくしてくれるのかい。」と言うと小百合は一瞬表情を曇らせたが

「福井のみなさんは優しいです。店長も良くしてくれます。名古屋にいる頃よりもみんなに優しくされています。」と笑顔で答えてくれた。

 親密感が湧いてきたのか今度は彼女が井川の背中に胸を押し当ててきた。性的サービスはないと言っていたのに、やっぱりあるんだなと感じて井川は右手の手のひらを彼女の太ももにあてた。最初は手を払ったが2度目には拒否せず、彼の手のひらを受け入れ井川の手は太ももからさらにその先へ伸びていった。


 約1時間のマッサージを終えると井川は小百合にマッサージの料金を支払うために財布を取り出した。小百合は赤いワンピースを着て腰の黒いベルトを締めた。そして井川からお金を受け取るとお礼を言って財布にお金を納めた。ベットに敷いていたタオルやシートを手早くトートバックに片付けると最後に財布から名刺を差し出し

「井川さん、良かったらまた指名していただけると、頑張ってもっとサービスいたします。今後ともよろしくお願いします。」と挨拶して最後に小百合の方から抱き着いてきて軽くキスしてくれた。井川は突然のことで呆気にとられたが、悪い気はしなかったので

「またお願いしますね。」と次回の予約を入れることを約束した。



彼女のマッサージを受けた井川は彼女のことをどんな女性だと感じたのか。今後の展開はいかに。みなさんの感想やご意見をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ