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29本目の剣  作者: 中村翔
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29本目の剣

すぐそこに大樹が見える


「次はあそこっすかー。」


女がけだるそうに言う


「・・・父上。」


子供がアーサー王の名をだす


「父上は絶対悪っす。我々にとっては・・・ですけどね。」


女が腕組みしながら言う


「・・・母上は?」


「母上も仕事中っす。・・・いいっすか?人前で母上の本当の名は口にしちゃだめっすよ。」


子供は頷いた。


足元には一振りの剣。


『この剣を抜けた者には報奨をとらす。抜けたものは城まで。』


女が困った顔で子供を見つめた。


「どうしましょう?城まで行きますか?」


行く必要は感じない。


「・・・」


子供が黙って後ろに行く


がさがさ。


女の子がこちらを見つめている


「どうしたんっすか?あっ」


女が気付くと女の子は走り去っていった


「誰っすかね?まさか・・・この国のお姫様?」


二人は顔を見合わせて引き攣った顔で笑った。


「まさかね・・・。」


女が呟くと城の方から兵士がやってきた


「おい!ここらで女の子を見なかったか!?」


(見たとは言いづらい・・・。)


「あっちにいった。」


女は目に手を当てて天を仰いだ


「ありがとう!では!」


「なんで教えちゃったんっすかー?」


女が不服そうに言う。


「そんなことより伝説を。」


彼女にとっては大事でも”彼女”にとっては些事なのだ


「モドリッド卿。どうするんっすか?」


「ん、適当にぶらつく。」


子供の言う通り適当にぶらついていた


どんっ!


「ひったくりよー!!」


「おっ」


女が丁度良くひったくりをつかまえた。


「報奨金とか出たりは・・・しないっすよね。」


兵士があらわれてひったくりを連れて行った


ヒソヒソ(さいきん物騒よね)


(そうそうなんでもお姫様が狙われてるとか)ヒソヒソ


「お姫様っすかー。まさかさっきのが・・・。」


「・・・それは違う。服装がドレスじゃなかった。お姫様ならドレスのはず。」


「ハハーン。侍女が仕事ほっぽって逃げ出したってことっすかね?」


「・・・とりあえず今日の宿屋はここにする。」


古びた宿を指さした


「いやー。文句はないっすけどね。路銀には糸目はなし。ってわけにはいかないっすからね。」


ちりんちりん。


ドアの上についたベルが鳴る


「いらっしゃい。一泊銅貨10枚だよ。」


店主の影からさっきの少女が見つめてきた


「あっ!さっきの」


「ひっ・・・!」


宿屋の親父さんが睨んできた


「お客さんなら構わないがこの娘を懸賞金に換えようってなら」


「いやいや!違うっす!さっきそこの大木で会ったんすよ!」


少女が頷いた。


「そうかい。そりゃあすまなかったな。」


「あの、どうして騎士に追い回されてたの?」


「モドリッド卿が・・・!!私以外に口を聞いた・・・!?」


「じつはな・・・王女様が、この娘のことを嫌いらしくてな。それで・・・」


「それで命を狙われてるってことっすね?」


「い、いや。命までは取らないだろうが、捕まったら何されるかわからないだろう?だから逃げてるんだよ。」


「なるほど・・・あっ!とりあえず一泊でお願いします。」


ホーホー。夜が更けてきた


ZZZ......Zzz......zzz。」


草木も眠る牛三つ時。


子供は城の外壁まで来ていた


『跳躍の魔眼』


子供が剣を突き立てると、城壁の上まで飛んだ。


見張りの兵が、


『ざしゅー』


無言で斬り伏せた


キィ―――......。


王女の部屋のドアを開けた


『すー......すー......。」


王女の上から馬乗りになり


『ぐさっ!』


「!!!!!ky」


一撃では仕留められなかったようで枕で口を塞いで刺し続けた


『ぐさっ!ぐさっ!ぐさっ...。』


王女だった物を窓から捨てて宿屋に戻った


ちゅんちゅん。


次の日の朝一番に剣に名をくれてやった


「パンシー」


木に


『この木に王女の魂と共に眠る』


と彫って宿屋へ戻った


「ドロシー!どうしたんだ!?ドロシー!」


宿屋の親父さんが猛るように吠えていた


(かわいそうにね・・・友達の王女が死んでしまって声が出なくなったんだってね・・・)


「モドリッド卿?」


「・・・行こう。」


29本目の剣。読了

Thi・30本目の剣を始めますよろしいですか?

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