8、変わる世界への一歩
.....。
何というかそんな感じで治療を受けてから。
俺は2階に居たが1階に降りて来た。
勉強が終わったので、だ。
そして見ると。
スヤスヤと静香が眠りについていた。
「.....おやすみ」
言いながら俺は時間を見てから。
9時だというのに気が付いて。
そのまま静香の体に毛布を被せてから。
そして風呂に入ってから上がり.....日常を過ごす。
それから最後に仏壇に向いた。
「.....母さん。父さん。俺はどうにも.....何かあれなんだろうな。まだ我儘なクソガキだわ。俺」
手を合わせながらそう呟き。
亡き母親と父親を見る。
俺はその姿を見ながら写真を見た。
するとブーンとスマホが鳴る。
電話である。
「.....何だこの時刻に.....って鈴香?」
俺は?を浮かべながら電話に出る。
すると、先輩、と声がした。
俺は、おう。どうした、と返事をする。
そして仏壇のある部屋の襖を静かに閉めてから話す。
『今度.....ゴールデンウィークですよね』
「.....そういやそういうもんがあったな。.....4月が激闘だっただけに」
『はい。.....その節は申し訳なかったです。.....その。もし良かったらで構いません。.....何処かにお出かけしませんか。えっと妹さんと一緒に』
「.....ああ。別に構わない。結局を言って同じものをぐるぐるするだけだろうし」
『そうなんですね。.....うん。.....有難う御座います』
「.....鈴も喜ぶんじゃないか」
『お姉ちゃんは隣で聞いてます。.....喜んでます』
そら結構なこったな。
俺は思いながら苦笑しつつ。
そのまま居ると。
先輩、と声がしてきた。
そして、私ですね。先輩が居て良かったです、と言ってくる。
俺は?を浮かべてそのまま鈴香に、何だ?いきなり、と言ってくる。
『私、昔は自殺も視野に考えていました。実は』
「.....?.....どういう意味だ」
『.....お姉ちゃんも知ってますけど.....私は死にたかったんです。.....お父さんを亡くしてから。お母さんが死んでから』
「.....」
『.....その時に出会ったのが先輩でした。.....しかもお姉ちゃんも好きになりましたしね』
「.....そうか」
俺は呟きながら複雑な顔をする。
そして眉を顰める。
それから俺は、鈴香。お前自身は責めるなよ、と言う。
鈴香はその言葉に、心配してくれているんですね、と言ってくる。
「.....俺もそうだが。.....俺自身もそうだが.....みんな苦しいけど俺達は特殊だから。だから.....それなりに休みは必要だからな。特にお前の場合は.....」
『.....ですね。はい』
「俺自身は死にたいって思った事はないけど。.....でも俺はお前の苦しみは相当に分かる。.....だから俺はお前の.....ごめん。何と言えないけど。俺自身が.....冷たかったしな」
『先輩。それは当たり前の行動です。.....私が悪かったんですよ。全部。好きって気持ちを最初から伝えられれば良かったのに』
「.....人間ってのは不器用だな」
『そうですね.....』
そんな会話をしていると、あ。お姉ちゃんに変わりますね、と鈴香が言ってきた。
それから、ハロー、と声がする。
俺は、よお、と声を発する。
鈴は俺に向けて、今度楽しみだね、と言ってくる。
「そうだな。.....取り敢えずは楽しみだ」
『む?取り敢えずとな?私はずっと楽しみにしているのに』
「いや。不安要素がある」
『何だね?』
「お前の学力」
『.....テストかな?嫌な事を思い出させるねぇ』
いやだってそうだろ。
今度35点以下の赤点取ったらマジにお前アウトぞ。
留年も考えられる。
俺は考えながらジト目をする。
そして、お前勉強しているだろうな?見習えよそこは鈴香を、と言う。
すると鈴は、し、失礼だな!、と言ってくる。
『私だって勉強しているよ!』
「.....そうか?怪しいな。オイ。鈴香」
『はーい。.....まあその勉強してないでーす』
「お前マジふざけんなよ鈴!!!!!お前が赤点なら何処に行くかとかは中止な」
『ぎゃあああ!!!!!』
ぎゃあああ!!!!!じゃねぇ!!!!!マジな話だぞ!
俺は思いながら額に手を添える。
そして考える.....ああ。
そういやこういうのはアリか、と。
それから、鈴香、と話し掛けると。
『はい』
「そのアホに明日でも直ぐに勉強教える。取り敢えずは放課後に図書室集合。部活休みだろ確か」
『はーい。御免なさい。先輩。上手いこと教えれなくて』
「ソイツが悪いからな。俺としては。おい鈴。聞いているか」
『あ。お姉ちゃんトイレだそうです』
鈴ぅ!!!!!あの野郎!!!!!
俺は思いながら、トイレから戻って来たら捕まえてくれ、と説得する。
すると鈴香は、はい、と笑顔な感じで返事をした。
俺は盛大に溜息を.....何回めか分からないが吐きながら。
「ったくお前とはえらい違いだ」
と呟いた。
すると鈴香は、アハハ、と苦笑しながら。
でも、と呟く。
俺は?を浮かべる。
『今が一番幸せです。.....先輩』
「.....いきなりだな」
『いえ。いきなりじゃなくて。.....有難う。先輩』
「.....」
えへへ、とはにかむ声。
捻れまくっていた関係だが。
取り敢えずは修復されるのかな。
俺は考えながら.....満月の登っていく空を見る。
そして顎に手を添える。
そうなると.....後は春香だな、と思いながら。
.....。