表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/23

17、春色と静香の決意

.....。

鈴香と鈴の家に何故か知らないが春色ちゃんが泊まる事になった。

俺は驚きながらも、そこまで進展したんだな、と思う。

幼馴染の事を認めてくれているんだな、と。

そして衝撃だったのは。

記憶が.....無い事だった。


『でもこれは鈴鹿には内緒にしていてね』


そんな事も言われた。

俺はその言葉に唇を噛む。

そしてスマホを取り出して画面に向き合う。

すると自室のドアのノック音が聞こえた。

俺は、はい、と返事をする。


「お兄ちゃん」


「.....どうした。静香」


「.....今日の.....事.....有難う」


静香は涙を流しながら俺に縋って来る。

今日の事とはつまり春色ちゃんの事だろう。

俺は首を振りながら、大丈夫、と言い聞かせる。

丁度会ったのが俺達で良かった、とも。


「.....何だかその。色々あってから色々あるね」


「.....色々あってから色々?.....まあ確かにな」


そもそも俺が絶縁しなければこんな事にはならなかったと思う。

考えながら俺は過去の事を思い出す。

分岐点で間違っていたら.....何かもが崩れていただろうな、と思いながら。

そして静香の頭を撫でる。


「.....友達だもんな」


「.....そうだね。それに気付けなかった私だから.....」


「.....ああ」


そんな会話をしながら居ると。

写真が送られてきた。

それは.....鈴と鈴香と春色ちゃんの写真だ。


笑顔の春色ちゃんが映っている。

どうやら炭で顔に丸バツを書いて遊んでいる。

何かのゲームで、だ。


「あやすのが上手いなアイツ」


俺は考えながら笑みを浮かべる。

そして静香にも写真を見せる。

静香は笑みを浮かべて涙をポロポロ流した。

本当に良かった、と呟きながら、だ。

俺は、そうだな、と笑みを浮かべてみる。


「.....私が.....止めきらなかった。イジメを」


「お前が思い詰める事は何も無い。.....大丈夫だ」


「.....でもどうしたら止められるんだろう。イジメ」


「.....それはもう対話しかないな。.....相手側と先生と」


「.....だよね。.....じゃあお兄ちゃん。保護者として小学校に来て」


「.....へ?」


そんな無茶苦茶な。

俺は思いながら唖然とする。

すると静香は、だって血縁がお兄ちゃん以外居ないよ、と言ってくる。


良いのか俺は?未成年だぞ。

思いながらも、でもそれしかないか、と思う。

緊急事態だしな。


「春香お姉ちゃんにも頼りたい」


「.....そうだな。.....確かに。母親も呼ぶか」


「.....そうだね。.....それで良いと思う。.....そうしないと学校は動かないかも」


「担任の先生とかは?」


「.....まだ相談してない。.....怖いんだって」


「.....状況は一応掴んでいる可能性はあるな」


俺は考えながら、分かった。何が出来るか知らんが取り敢えず小学校に行こう、と言う。

すると静香は、有難う。お兄ちゃん、と言ってくる。

それから俺の顔を見る。

えへへ、と言いながら可愛らしく。


「.....元に戻ったね。お兄ちゃん」


「.....すまないな。時間が掛かった」


「それでこそお兄ちゃんだよ。.....今までは死んでいたんだね」


「.....そうだな」


いつだって正義深いお兄ちゃん。

誇りのお兄ちゃんだよ、と言ってくる静香。

俺は赤面しながら、褒めちぎるな、と言ってから。

そのまま明日が休みなので小学校に行く事にした。



「.....」


保護者だけでお願いします、という話になった。

そのまま俺達は外で待たされる。

今丁度、春香と春色ちゃんと保護者が話している。

何を話しているかは分からないが。


「.....有難うね。お兄ちゃん」


「.....何も出来んかったぞ」


「.....でも来てくれる事に意味があるよ。友達を助けたいから」


「.....まあ......そうだな」


そうしていると校長室のドアが開いた。

そして春香が出て来る。

春色ちゃんも保護者も、だ。


俺はその姿を見つつ。

春香に聞く。

どうだった?、と。


「うん。先ずはアンケートを取ってから事情を聞いてから.....色々するって」


「.....春色ちゃん。良かったな」


「.....有難う。雫お兄ちゃん」


「.....」


すると春香の母親の咲子さんが俺を見てきた。

そして深々と頭を下げてくる。

有難う御座いました、と言いながら。

俺は慌てる。


「いやちょっと待って俺は何もしてないですよ?!付き添いです!」


「いえ。.....それでも私は.....こんな事にも気が付かず.....」


言いながら咲子さんは涙を浮かべる。

するとその背中を春色ちゃんが押した。

俺は春香を見る。

春香は紅潮してこっちを見ていた。


「.....有難う。私のヒーロー」


「.....俺は何もしてないっての.....」


「.....君は私のヒーローだよ。何度も救ってくれた」


そしてそのまま俺達は校門から外に行ってから。

そのまま春香にそう言われる。

俺はポリポリと頬を掻く。

そして前を春色ちゃんと静香と咲子さんが歩いて行く中で。

俺の唇に唇を重ねてきた。


ファ!?


「.....お、お前!!!!?いきなり何すんだ!」


「.....君の事がやっぱり好きだなって証だよ」


「.....!」


咲子さんなどがこっちを、どうしたの?、的な感じで見てくる。

一瞬の隙でキスをした俺達。

真っ赤になる俺。

そして.....あまりの衝撃に俺はガチガチになった。

バレたらどうするつもりだったのだ!?


「.....お前な.....」


「大好きだよ。しずちゃん」


「.....」


こんのクソッタレが。

全く、と思いながら身体中の熱さで俺は唇を撫でる。

そしてまた赤面した。

全く.....くう!

そう思いながら、だ。

.....。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ