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16、鈴が常にハイテンションな理由

.....。

キスは出来なかった。

何というか鈴は、ふぇ!?、という感じで固まっていたから。

流石に恥ずかしかった様だ。

俺はその姿を見ながら、まあ無理はすんな、と言う。

何というか俺が言える立場じゃ無いけど。


「.....ねえ。キスってした事ある?」


「.....そ、そうだな。無いな。取り敢えずは」


嘘っぱち。

俺は思いながらボッと赤面する。

鈴香と内緒でキスをしたのを思い出した。

すると鈴は、そっか。した事あるんだね、と言う。

真逆の反応だった。


「.....でも仕方が無いよね。付き合っていたしね。女子と」


「.....まあ過去の話だけどな」


「.....ねえ。例えばだけど私がキスしてほしいって言ったらしてくれる?」


「.....出来ない事もないが俺は.....そんな積極的には強引な気がしてならない」


「そっか。優しいね」


笑顔を浮かべながら鈴はニコッとする。

そしてタピオカのドリンクを飲む。

美味しいねぇ、と言いながら。

俺はその姿に、そうだな、と笑みを浮かべる。


「.....でも何か胸がザワザワする。.....キスをしたって事を知ってから」


「.....あれは不意打ちだったからな.....すまん。嘘を吐いた」


「.....良いよ。.....だって知られたくなかったんでしょ?」


「そうだな.....」


本当に不意打ちだったからな。

俺は思い出して赤くなる。

すると鈴が、うん。隠したい事は誰だってあるよ、と言ってくる。

でもちょっとショックだけどね、とも言いながら。


「.....でも正直に言ってくれて有難う。最終的には」


「.....」


「私もまだまだイチャイチャが足りないね」


「.....いや。そんな事は無いけど」


そんな会話をしながら。

立ち上がる鈴。

俺はその姿を?を浮かべて見る。

力強く立ち上がった。


「.....うん。もう大丈夫だ」


「.....何がだ?」


「.....まだまだイチャイチャするよ。.....君と」


そして笑顔を浮かべる鈴。

俺はそんな姿に、そうか、と返事をした。

それからゴミ箱にタピオカドリンクのカップを捨ててから。

それじゃあ次は何処に行こうか、と言う鈴を見る。


「.....じゃあゲームセンターでも行ってみるか?」


「.....それは良いアイデアかもね。.....でもマイナーかな。.....ね。携帯ショップ行かない?」


「.....何の為に?」


「ケース買おう。お互いにお揃いの」


「.....ああ。そういう意味.....ってオイ!?」


だってそうでしょ。

イチャイチャするなら先ずはそれぐらいしないと、と言う。

そして歩いていると。


目の前の歩行者用の信号が赤になった。

そして.....目の前にフラッと春色ちゃんが現れる。

そのまま.....赤信号のままだが。

トラックに突っ込んで行く.....おい!?


「何やってんだアイツは!!!!!」


「え!?ちょっと待って!」


俺は飛び出して春色ちゃんをカバーする。

そして対向車線の歩道に飛び出した。

悲鳴が響き渡るが。

何とか春色ちゃんを守れた。

何やってんだこの馬鹿野郎!!!!!、とトラックの運転手から怒号が響き渡ったが。


「.....春色ちゃん。どうしたんだ?」


「.....死にたくなったんです。.....その。.....何というか貴方が来るなんて思ってなかったです」


春色ちゃんの目が死んでいる。

俺は眉を顰めながらその顔を見る。

すると鈴がやって来た。

大丈夫!?、と言いながら、だ。

俺は頷きながら立ち上がらせる。


「.....死にたくなったってのはイジメか」


「.....はい」


「.....すまないがアイツはどうした。春香は」


「.....お姉ちゃんに知られる事なく死にたかったです。だから何も知らせて無いです」


みるみる涙目になっていく春色ちゃん。

俺はその姿を見ながら悲しげな顔をする。

そして頭を撫でた。

何でこんな容姿なんでしょうか、と言う春色ちゃんの頭を。


「.....私だけ」


「.....」


「.....そんな事ないよ」


それを切り出したのは鈴だった。

そして屈む鈴。

俺は首を傾げながら鈴を見る。

すると鈴は、私ね。.....病気をした事があるの、と言ってくる。


「大病とかじゃ無いけど。.....インフルエンザ脳症って知ってる?」


「.....はい」


「.....記憶が.....無いんだ。私。.....小学校卒業から中学2年生ぐらいまでの」


「.....え?」


俺が、え、と言ってしまった。

何.....、と思いながら鈴を見る。

そして鈴は、何でこんなに明るいのか知ってる?私が、と俺と春色ちゃんを見る。

俺達は首を振った。


「.....それは明るくいこうと思ったからなんだよ。.....私は.....お父さんの居なくなった記憶が無くなった。だから遺産があるって知った時は泣きまくったけど.....それでもお父さんの為に明るくいこうって」


「.....お前.....」


「ちょうど重なったんだ。.....お父さんが消えた時と私の記憶が飛んだ時が」


「.....そうなんですか?」


「貴方はまだ恵まれているよ。春色ちゃん。.....だってご家族の事を忘れてないから。記憶がしっかりしている。.....よし。決めた」


何を決めたのか知らないが立ち上がってから。

俺に笑顔をニヤッと浮かべる鈴。

それから春色ちゃんの手を握ってから、うちに泊まっていって、と言う。

は?、と思いながら鈴を見た。


「こんな可愛い妹ちゃんと一対一でお話ししたいから。.....まあという事で幼馴染ちゃんに許可を取って♪」


「春香に許可を!?こんな強引な事が許される訳ないだろ!」


「何とかするのが雫でしょ。.....私は絶対に決めたから」


「.....お前なぁ.....」


そして春色ちゃんを抱き締める鈴。

春色ちゃんは涙を浮かべていた。

そうしてから泣き始める。

俺はその姿を見つつ。

何か.....感じるものがあるな、と思ってしまった。

.....。

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