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12、旗本を好きな男子

.....。

とんでもない事をしてしまった気がする。

俺は考えながら青ざめる。

そんな考えを浮かべていると4時限目終わりになり。

そして昼飯どきになった。


「先輩!お弁当作ってきました」


「.....え」


「.....え?って何ですか?もうちょっと喜んで下さいよー」


「い、いや。その」


鈴香にそんな事を言っていると。

春香が悲しげな顔でこっちを見ていた。

困ったな.....。

何がって言えばその。

こうやって弁当が重なるとは思わなかったのだろう。


「あ.....」


「.....」


すると鈴が切り出してきた。

今日は、譲るよ、と言いながら。

そして鈴香の肩に手を置く。

俺は?を浮かべてその姿を見る。


「鈴香。今日は戻ろうよ。譲ってあげよう。その代わりに今度色々とセッティングするから」


「.....うん。分かった。そうだね!」


「.....すまんな。お前ら」


「良いんです。先輩。.....今日は譲りますけど.....いつもは譲りませんからね」


それから笑顔で手を振りながら去って行く2人。

俺はその姿を見送ってから春香を見る。

春香はまだその.....ジト目をしていた。

何故に?、と思いながら見る。


「.....何と言うか屋上で何してたの」


「.....え.....な、何故それを知っている」


「.....屋上でしずちゃんを見たって人が居たから」


「.....」


冷や汗が出てきた。

そして、取り敢えずその話も含めて話したい、と言いながら歩き出す。

だがその間。

春香はジト目をやめなかった。



「屋上でね。.....しずちゃんと鈴さんを見たって言う人が居たから。それから屋上から降りて来なかったって話だから」


プンスカ言いながら屋上にて。

ご飯を食べる春香。

俺はその姿に、悪かった。マジに。それも事実だしな、と言う。

すると春香は俺の口におかずを突っ込んできた。

本当に悪いって思ってる?、と不安げな顔をしながら。


「.....いや。マジに」


「.....宜しい。.....まあでもとやかく言える立場じゃないけどね。私も」


「.....」


「.....だけどちょっと悔しいかな」


そんな言葉を聞きながら。

俺は唇を噛む。

すると、あ。そういえばご飯が付いてる、と俺の頬を見る。


俺は、ああおにぎりか、と触ろうとした。

のだがそのご飯を春香が食べる。

と言うのが.....はぁ!!!!?


「お弁当だからね」


「.....いや!?お前何してんの!?」


「こ、こんな事はしずちゃん以外しないよ!」


「当たり前だろ!」


「え!?当たり前なの!?」


「あ、いや!?とにかく!お前な!!!!!」


キスをされたって事で良いよな!?

俺は思いながら赤くなる。

そして頬を触る。

その様子に勝ち誇った様な顔をした春香。

それから、私だって負けられない、と言ってくる。


「.....いや。アイドルがこんな真似.....」


「アイドル活動は恋人を作っちゃいけないって事にはなってる。.....でも私は違うから」


「.....屁理屈だなお前.....」


「いや?規則で決まってないし」


「.....そ、そうか」


それにしても大胆だな!

俺は考えながら真っ赤になる。

春香は笑みを浮かべながら俺を見ていた。

そして、私がやった事は許されない行動に近かった、と切り出す。


「.....だけどその分。.....私は貴方にとって近いものになりたい。.....なりたいの」


「.....春香.....」


「愛している。貴方を」


「.....そ、そうか。しかしそんなはっきり言われるとクッソ恥ずかしい」


「私だって恥ずかしいんだから」


そんな感じで居ると。

屋上のドアが開いてから。

佐藤が顔を見せた。

お前ここに居たのか、と言ってくる。


「.....どうしたんだ?佐藤」


「うんにゃ。ちょっと息抜きと思って屋上来たらお前らが居た」


「.....そうか」


「.....聞いた噂だけど。アイドルなんだってな。.....飯島は」


「.....!.....ああ。内緒にしてくれ」


内緒ってか話さないよ。

俺はそう言う人間だしな。

と言いながらジュースの紙パックを飲む佐藤。

すると直球な質問が。

お前ら好き同士だったの?、と。


「ブハァ!」


「ああ。そうなのか。.....青春だな」


「.....ウルセェな.....」


「話しても良いか?実はお前らを見て影響されたんだけど俺も好きな奴が居てな」


「あ?誰だ?」


旗本が好きなんだわ、と言ってくる佐藤。

俺と春香は驚きながら目を丸くする。

しかし、と思ってしまった。

旗本は以前話していたが、と思う。

すると佐藤は、まあこの恋は叶わないけどな、と自嘲した。


「何ていうか。距離感があるんだ。旗本とは。.....だから叶わない恋さ」


「.....そんな事は無いだろ」


「.....?」


「.....俺としてはお似合いだと思う。お前の事は当初は恨んでいたけど。今となっては好青年だ。お前は」


「そう言ってくれるんだな。お前」


「でも旗本は.....振り向いてくれるまで相当時間が掛かる。それでも良いのか」


知ってる。

良いに決まっているさ。

俺は中身に惹かれたんだ、と言いながら空の彼方を見る。

その姿に春香が、佐藤くん、と言い出した。

何だ?、とそのまま振り返る佐藤。


「.....もし良かったら私.....旗本ちゃんとお友達だから.....取り持ってあげようか?」


「.....そいつは有難いな。.....でも無理にとは言わない。.....でもまあ頼むわ」


「.....うん」


あんだけ傷を負っている旗本だ。

決して恋はしないだろう。

だけどそれでも。

アイツも好かれるんだな、と思ってしまった。


何とも言えない恋だけど。

叶えば良いな、と思ってしまう。

そう願わずには居られなかった。

.....。

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