面会人〈ルーザリアside〉
本日2話目です。
どうしよう。
私はこれからどうなるの?
王宮の客室とは思えない、明らかに罪人を軟禁する為の部屋に押し込められ、誰にも会わせてもらえないまま二晩たった。
食事は朝晩の二食のみ。
どう考えても普通じゃない。
フールはあの場で取り押さえられてどこかへ連れていかれたし、ほかにも私とフールに味方をしていた人が捕まったのを見た。
あの人たち、どうなったのかしら?
でも捕まったって事は、あの人たちがニワトリに毒を盛ったのかもしれないわ。
怪しいとは思ってたけど、やっぱりそうだったのね。
だけど私には関係ない。
だって私は何もしてないのだから。
本当のことを教えてもらったりすればバレた時に言い訳できないと思って、わざと聞かなかったのは大正解だった。
私がした事なんて、ちょっと大袈裟に言ったか、わざと言わなかった事があるくらい。
それだけなら大した罪には問えないはず……。
ここまで考えて、何か引っ掛かった。
何が気になるの?
あ!
フールたち!
まさかと思うけど、今度は私に罪を擦り付けたりしないわよね?
パーティーの時は相談も目配せも無いまま別れたから、もしかしてそんな事してたらどうしよう。
先に暗示掛けとけば良かったと思うが、この場合の後悔は役に立たない。
だってあの人たちが一度でも口に出したらそれでもう終わり、次の機会なんて来ないから。
何とかしてフールに会わないと……。
私は今後『どうすれば自由の身になれるのか』ずっとそんな事を考えて過ごしていたら、廊下をこちらに向かって歩く足音が聞こえてきた。
「クラウン様!」
「控えなさい。お前のような者がおいそれと声を掛けて良い方ではない」
部屋に入ってきたのはクラウン殿下と偉そうなおっさん貴族、そして二人の騎士。
騎士は戸口付近で見張ってる感じで、せっかく開いた扉から逃げ出す事もできそうにない。
偉そうな騎士が勿体ぶっておっさん貴族の事を紹介し出した。
「こちらはバスタード伯爵です。あなたの家の寄親をなさっている方です」
「寄親?」
そういえば……。
子爵や男爵など下位の貴族が困った時に相談に乗ってくれたり、助けてくれたりするのが寄親だってお父様が言ってたわ。
もしかしてこの人、お父様から頼まれて助けに来てくれたの?
「お父様が助けるように言ってくれたんですね? 私、何もしてないです。本当に知りません。助けて下さい!」
その人の足元に跪き、男性にウケの良い上目遣いで頼んでみる。
ついでに私に好印象を持ってくれるように頑張った。
なのに……。
「それはできない」
「なぜですか?」
「私は君が本当にやっていないのか? それとも罰が怖くて隠しているのか? それを確かめに来ただけだ」
「そんな……私、やってません」
「本当ならば、それを証明できるかね?」
「は、はい!」
瞬間私は笑顔になった。
すぐに彼らに付き添ってきたらしいクラウン様に向き直ってお願いする。
「クラウン様! 言ってください。私じゃないって!」
「ルーザリア!」
それまで一言も話さずただ聞いているだけだったクラウン様は、偉そうな騎士に目で合図した。
それが発言するっていう合図だったのか?
クラウン様は直ぐに私が無実だと証言してくれた。
「彼女は犯行が行われていた時、私と一緒だった。だからできる訳がないんだ」
これで疑いは晴れるはず……。
「それは本当ですか殿下?」
「本当だ」
「その時間は……公務中でしたか? それとも私的な時間ですか?」
「それはもちろん私的な……。あ……」
クラウン殿下の顔が青ざめた。
何か困る事があるのかしら?
次話『証言が欲しい〈ルーザリアside〉』




