表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/41

断てない想い〈クラウンside〉

本日1話目です。

 私は今、混乱している。


 あのパーティーの日の出来事を私はまだ受け入れられない。




 ルーザリアが罪を犯していた?


 嘘だ……。


 そんな事を信じろと言われても簡単には無理だ。




 母上には何度も掛け合ったが、彼女と面会は許可できないと言われた。


 フールとルーザリアが結託して、私を王太子の座から引きずり落とそうとしているなどあり得ない。


 なぜならルーザリアは王太子妃として私と共に、下町で貧困に喘ぐ人々により良い暮らしをと……それを実現したいと言っていた。


 そう言ったら、母上は鼻で(わら)った。




「あの娘の言葉を鵜呑(うの)みになどするから、苦労して婚約させたグレイシアに逃げられるのです」


「何をおっしゃるのですか? あれは私が婚約破棄したのであって、逃げられたのでも捨てられたのでもありません」



 大体、何だって私がルーザリアを(いじ)めていた女と結婚しなければならないのだ。


 あんなに可愛らしい女性に、平気で酷い仕打ちができるような冷血女など、本来なら投獄して鞭打つくらいはしても良いところだ。


 それをパール侯爵やフォックス公爵を離反(りはん)させないために、何も(とが)められないとは口惜(くちお)しい……。




「クラウン……。分かっていると思いますが、今回の事は(おおやけ)になりません」


「……はい」


「あなたとあの準男爵の娘が恋人のように振る舞っていたことも、あの場でグレイシアに婚約破棄を言い渡したことも──すべてが(おとり)捜査の一環であると発表されています」


「…………」




 母上は返事がない事が不服そうな、恨みがましい目でこちらを見てきた。




「それから。グレイシアとの婚約解消は、時期を見計らって公示(こうじ)しますから、それまでは口外しないようにね?」


「はい……」




 母上は重々しく頷いた。


 今日の所はこれ以上話しても無駄か……。




「最後に。あなたの新しい婚約者はもう既に選定済みです。今は訳あってどなたか明かせないけれど、そう遠くない内にヴィクターとグレイシアの婚約と共に発表します」


「は!? 新しい婚約者!? ヴィクターとグレイシアが婚約?」


「そうです。あなたはヴィクターに感謝しなくてはいけませんよ? この事以外にも、あの子に助けてもらう事がたくさんありますから……」


「それより、新しい婚約者とは……?」


「当たり前でしょう。まさかあの準男爵の娘風情を妃にできると思ったのですか?」


「いえ、あの、それは……」


「先日までなら、グレイシアが()()許すなら、あの子を公妾(こうしょう)にとも思ったのですが……それもあなたの無謀な(おこな)いで完全に選択肢から消えました」


「そんな……」


「それに調査の内容を見るに、どの道公妾(こうしょう)にもなれないくらいの品格だったようだけれど……」


「母上、それは言い過ぎでは?」




 思わず声を荒げてしまって(まず)いと思う。


 母上を怒らせ過ぎたと後悔した。




「とにかく! あの娘の事はもう忘れなさい」




 こうなったら交渉はもう無理だ。


 でも、素直に『はい』とは言えなかった。




「せめて、もう一度だけでも会わせてください」


「あの娘はあなたの他にも、懇意にしていた男性が複数いたのですよ? 証拠もあります。それでも信じられないのですか?」




 その調査書には目を通したが、やはり現実味が無く、私には受け入れられないものだった。


 覇気(はき)なく母上の向かいに腰掛け黙り込んでいると、母上は何やら急ぎの手紙に目を通していた。


 俯いたままチラリと見られ、何だろうと私は首を傾げる。




「……一度だけ。そう約束できますか?」


「え?」


「ここに、貴族議員の一人からルーザリアへの面会許可を求める手紙が来ています」


「誰ですか?」


「バスタード伯爵よ」


「バスタード伯爵……彼女からは聞いた事がない名前です」


「多分、彼女の父親の関係者でしょう」




 何となく腑に落ちないが、母上の言った一度だけの面会のほうが重要だ。




「それで?」


「彼の面会の立会人という立場でなら、彼女に会う事を許可します」


「本当ですか!?」


「ですが、伯爵の邪魔をしてはいけませんよ?」


「はい、感謝します母上」



 私はやっと、ルーザリアに会える事になった。

次話『面会人〈ルーザリアside〉』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ