14話 共通の生き物を探す者達
とある兄弟の三男坊はひたすらに待ち続けていた。
兄達が家に来る事を。
そして、それを追ってくるアレがやってくることを。
そのためにわざわざ苦労してこの家を作ったのだ。
しかし、1日経ち、2日が経っても誰も来ない。
そのまま彼は待ち続けたが結局求める人達はやってこなかった。
ある兄弟の末っ子は柱時計の中に隠れていた。
部屋の中では惨劇が行われていた。
末っ子は母親が帰ってくるのをひたすらに待ち続けていた。
しかし、母は一向に帰ってこない。
部屋が静かになった為に末っ子は様子を見るために柱時計の中から姿を現した。
部屋の中には兄弟も母親もアレの姿も無かった。
末っ子は母親の鋏と糸を持って家族とアレを探しに外に出た。
少女は母親からのおつかいで祖母の家に向かっていた。
森を抜けてたどり着いた祖母の家。
しかし、そこには誰もいなかった。
祖母も祖母に化けたアレもいない。
途方にくれた少女は仕方なくアレを探しに出かける。
途中、本来の役割を果たせなくなった猟師に出会う。
彼は少女に自分の持つ猟銃を託した。
こうして少女は猟銃を手に持ち旅に出た。
少女は旅の中で鋏と糸を持つ子ヤギと出会う。
1人と1匹はお互いの身の上を話し合う。
するとお互いにアレを探していることが分かった。
「私たち、協力しあいましょう」
「一緒にアイツを探しましょう」
こうして1人と1匹で旅を再開することになった。
長い旅の途中でバラバラに吹き飛ばされた藁をみかける。
更に先に進むと同じようにバラバラになった木材を見かけた。
こうして長い道のりを旅して疲れ果てた時に彼女達は一軒の豪華な家を見かけた。
それは全てがレンガで出来ており、頑丈で壊れるという言葉とは無縁に思えた。
コンコン、ドアをノックする。
すると中から1匹の子豚が出てきた。
「兄さん達!やっと来てくれたんだね!」
子豚は喜び勇んで扉を開ける。
しかし、その人達が望んでいた人物では無いとすぐに気付く。
それでも久しぶりの客人が嬉しくて家に招いて話を聞いていると彼の顔は見る見るうちひ青くなっていった。
「きっと、そのバラバラになっていた藁と木材は兄達が住んでいた家だと思います。
・・・お願いです!
僕もアイツを探す旅に連れていってください!」
「もちろんよ。
私たちの目的は全員が一緒。
アイツを見つけ出して殺すこと」
「きっと、私たちの家族はアイツに何か関わりがあるに違いありません」
こうして少女は子ヤギに加えて子豚も仲間に加えて旅に出る。
探すのは黒くて毛むくじゃらのあの生き物。
祖母を奪われた少女。
母親と6人の兄弟を奪われた子ヤギ。
兄2人を奪われた子豚。
彼女達は長い旅の末に目的の生き物が出るという村にたどり着く。
彼女はまだ知らない。
この村で運命的な出会いをすることに。
猟銃を持つ名も無き金髪の少女。
彼女はこの村で初めて名前を得ることになる。
人々は彼女のことをこう呼ぶだろう。
『赤ずきん』と。




