chapter 77 スカウト
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〜 冒険者養成学校 卒業式 〜
今年も多くの人が見守る中で卒業式が行われている。やっぱり注目は幹部候補のガチャだね。今年は勇者が4人もいるよ! ちなみにモンクは1人もいないね!
一般コースのガチャが始まった。ミンフィーとリストを確認しながらガチャの様子を見守る。
「特に気になるスキルが出ないわ」
「よく分からないスキルが出たら要チェックだね」
僕の『飲み物』みたいなやつね。
「次はシーフのクルミさんです」
アナウンスに呼ばれてシーフの人がガチャマシーンの前に来た。オススメしない理由はすぐに分かったよ。
ホビット族なんだ……
しかもかなりポッチャリしているし……
ホビット族はとても小柄なので戦闘に不向きな種族だ。基本的に力が弱い。反面、敏捷性に優れているんだけど……あんなにポッチャリしていたらそれも期待出来ないね。
ホビット族の女性がガチャのボタンを押した。
ポン! ガチャガチャ……ポトン
スキル パクリ パクるのが上手くなる
ミンフィーと顔を見合わせた。パクる? 盗む事だよね?
よく分からないスキルだ。怪しい……
「モッシュ! 行くわよ!」
ミンフィーが立ち上がって駆け出していく。
「え!? はや!!」
もうさっきの女の子の前にいるよ! 慌てて僕も女の子の所に行った!
「モッシュ! 遅いわよ! さぁ早く!」
女の子は何事かと目を丸くして驚いているよ……
「う、うん。あの良ければ僕達のギルドに入りませんか?」
「い、いいんですか?」
「僕達はDランクのギルドで『レザムールズ』と言います。そちらの女性がリーダーのミンフィーで僕がサブリーダーのモッシュです」
「モッシュ! こんな所では駄目よ! さぁあなた! ウチのハウスにいらっしゃい。そこで話をしましょう」
そう言ってあっという間に女の子をハウスに連れて来てしまった。まだ他の人のガチャも見たかったのになぁ……
「凄い豪華なハウスですね! 外から見たらボロなのに変わってますね」
「ふふふ。外もそろそろ綺麗にしていいわね」
ハウスの中を案内していく。ウチの設備はSランクに匹敵する程いいからね!
「今は空き部屋が無いから私と同室なってしまうわ。だけどすぐに増築するからあなたは新しくて綺麗な部屋に住めるわよ。もし今日ウチに入ってくれるって決めたらあなたの要望も取り入れた部屋にするわ」
「き、今日決めればですか……」
急すぎるよね……そんなの困っちゃうよ……
ビシ!
ミンフィーが肘で突っついてきた。何か言えって事ね。
「あ、あのウチは食事も美味しいし、甘いデザートも食べれるよ。メンバーもいい人ばかりだからきっと気に入るよ」
「あ、甘いデザート! は、入ります! よろしくお願いします!」
クルミ シーフ レベル1 が加入した!
ふぅ〜 良かったよ……ミンフィーは1度決めたらとことんやるからね。早く入るって言ってくれて良かった。
ホクトさんを読んできて早速、ハウスの増築について話を始めた。
「ホビット族は背が低いので合った家具があると嬉しいです」
「承知しました。部屋の大きさだけは他の方と同じにさせて頂きますのでご了承を」
そうだね。部屋を小さくするのは難しい。もしウチを辞めた無駄になっちゃうからね。
ガチャを見に行っていた他のメンバー達も帰ってきた。クルミが加入した事を伝える。
「家具は今から準備しよう。簡単なクローゼットとベットだな。夕方までには仕上げる」
ザリウスが作ってくれるってさ。他の人達は歓迎会の準備をする事になった。
クルミがザリウスをキラキラした目で見つめている。
「イ、イケメンダークエルフさんですね! 素敵!」
クルミは住んでいるアパートを引き払って引っ越してくる事になった。ミンフィーばりの早さで駆け出して行った。
「み、見た目はポッチャリだけど動きは早いんだね」
「モッシュが彼女の教育係ね」
「シーフの事は全然分からないよ?」
「いいのよ。じっくりと育てましょう」
「メンバーの募集はどうするの?」
「そうね……やる気のある人、1名のみ募集に変えて」
今まではシーフ限定だったけどジョブの縛りは無くすって事ね。それなら誰か来てくれるかも。
「もう10名だから基本的には受け入れないわよ。余程の人じゃないとね」
ミンフィー、僕、栞さん、ティアナ、ニャンタ、フェン、アイリス、ザリウス、シャバニさん、そしてクルミ。
ホクトさんは事務員だし、スノウは冒険者カードが無い。
「シャバニさんを数え無ければもう1人受け入れるって感じね。あの人はサポートスタッフと考えた方が良さそうだわ」
強いけど戦う気はほとんど無いからね。付き合い程度しかダンジョンには来ないしね。
ウチは「そびえ立つ壁」を倒して注目を集めたけど、それ以来は目立つ行動をしていない。でも、個々の実力は着実に上がってきている。
盛大にクルミの歓迎会が開れた。シーフが加入したと知ったシャバニさんが張り切って料理を作ってくれたよ。
牛のサーロインステーキがメインでブイヤベースもある。シャバニさんが好きなスープ料理だよ。デザートはパンナコッタだった。最近はこういう味も慣れてきた。
海鮮食材はシャバニさんがエストゲートから仕入れてくる。ペガサスに乗ってチョコチョコ魔王の所に遊びに行っているみたいだ。
ペガサスは普通の馬に見えるけど、本当は羽があって高速で飛べるんだってさ。魔法で隠してあるみたい。
「クルミの教育は俺に任せてくれないか?」
「モッシュにしようと思っていたけど?」
「プロのシーフに仕上げてみせる」
「自信ありね……分かったわ。クルミの教育はシャバニさんに一任します」
大丈夫かな……クルミが心配だよって料理に夢中になって何も聞いてないよ!
「美味しいですね! ここに来て良かったです!!」
「ああ。そうだな。今日は沢山食べていい」
シャバニさんが悪そうな微笑みを浮かべた。




