chapter 69 ダンジョンのルール
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アイリスがエルフの里から帰ってきた。ミンフィーがハウスの改築の事を伝えて要望を聞いていた。
全ての準備が整ったので明日出発する事にした。
まずは南の小都市を目指す。留守はホクトさんだけ。農場と店舗、ハウスの改築まで請け負ってくれた。ちょっと大変だと思うけど本人は全く問題無いと言っている。
「ではお気をつけて」
ミンフィーがディープに騎乗し、僕はサンデーに乗った。ミンフィーは移動速度が上がる新装備の「天馬の鞍」を使用している。
先頭はミンフィー、続いてザリウスが操る馬車、その後ろに僕の隊列で出発した。
途中で何度か休憩しながら夕方まで走った。予定の場所でキャンプをする。よくキャンプに使われる場所のようで商人達が複数組周りに居た。
どの商人も南に農産物を売りに行くようだ。
商人達からは少し離れた所にテントを設営した。男性用と女性用の大型テントを張った。
「ディープはかなり抑えて走っているからまだ余裕ね」
新装備はとても効果があるようだね。
「サンデーはちょっと歳上みたいだし、疲れたみたいだよ」
「明日はサンデーに乗るわね」
フェンが馬の手入れをしてくれている。足にポーションを塗ってあげているみたいだね。
「馬車は最高の乗り心地ですね。スキルを使いますよ」
栞さんがスキル「聖域」を発動させた。馬車とテントがスッポリとカプセルに収まっている。
「馬達が喜んでるわ。疲れが抜けていく感じね」
フェンが嬉しそうに馬を撫でている。夜の見張りはフェンとスノウでやってくれる事になっている。ずっと昼寝をしていてさっき起きたところだ。
「簡易ベットを作ったから使ってくれ」
シャバニさんの新作キャンプグッズの折りたたみ式のベットだ。食事の時はイスとしても使えるね。
簡単な食事をして、のんびりお茶を飲んだ。アイリスが竪琴を演奏してくれた。とっても心地良い。
「皆さん、本当にありがとうございました。里の防備が完全に整うと思います。魔女様のお弟子さんを上回る力の敵が攻めて来ない限りは安全なようです」
「アイリス、ミシェルがいるけど話をしていいの?」
ミンフィーが心配してアイリスに問いかける。
「はい。里を奪われたのは恥としか言いようがありませんが同じエルフのミシェルなら構いません」
「アイリス、すまないな……」
何故かザリウスが誤った。
「彼女に問い詰められてもあなたは絶対に言わなかったわ。里を救い、秘密も守る。同じエルフとして誇りに思うわ」
あ! やっぱり付き合っていたんだね!
「わ、私はそんな事情があるとは知らずに厳しく問い詰めてしまったわ……ごめんなさい」
ミシェルさんがザリウスに謝った。アイリスから事の経緯がミシェルに語られた。ミシェルさんはとても興味深そうに聞いている。
「モッシュさんもすみませんでした……」
「いいんですよ」
「モッシュさんはギルド長にも怯まずに話すのを拒否していました」
プライドの高いエルフ達が里を奪われたなんて絶対に言えない。
「ミシェルなら必要な情報だけを提供出来ると信じているわよ?」
ミンフィーがミシェルを真剣な眼差しで見つめた。
「はい。勿論です。ラミアはCランクのモンスターなので警戒が足りなかったのかもしれません」
軍で全てのモンスターを駆除出来るわけでは無い。Bランク以上のモンスターに絞って駆除をしているそうだ。
Cランク以下は冒険者にクエストとして駆除依頼が出される。
「あのラミアは特殊で戦いが始まったらすぐに酷い歌を歌います。その歌がスキルを盗む歌のようです」
「あれ? とても綺麗な歌声だったけど?」
「あれは私から盗んだ歌スキルですね」
あ! そうか……素の歌声は酷いのか……
「各地で起こっている異常気象の原因がそれだとしたら、ダンジョンを攻略する必要があるって事ですね。シャングリラだけが無事な理由が分かりました」
「ダンジョンはかなり出来上がっているでしょうね」
アイリスが心配そうにしている。僕達はホクトさんの占いとアイリスが必死で呪いに抵抗した事で、早期にダンジョンを発見してラミアを討伐する事が出来たけど……
恐らくラミアはダンジョンの最深部のボス的な役割だ。各地の重要な水源を汚染し続けているのだろう。
「ダンジョンはとても悪辣で攻略が進まないらしいです」
「当然ね。冒険者育成目的のダンジョンでは無いのだから」
なるほど……ちょっと疑問が浮かんだので聞いてみる。
「罠だらけでクリア出来ないダンジョンなのかな?」
「それは無いわ。クリア出来ないダンジョンは作れないのよ。仮にラミアがランクUPしてBランクになっても、Bランクの者ならクリアが可能よ」
ボスモンスターのランク以上のダンジョンは作れない。ダンジョンのランクに応じて設置出来る罠の数、質も上限がある。
『ダンジョンは一定のルールに基づいて作られている』
その上で冒険者を困らせるダンジョンを作る西の魔女はダンジョンマスターとして優れているのだろう。




