chapter 54 感謝を込めて!
ご愛読ありがとうございます
〜 ギルド『レザムールズ』ハウス ロビー 〜
ミシェルさんの体験入会期間が終わった。
「いい経験になりました。これからの業務に活かせます」
「そうね。ところでレベルはいくつになったの?」
「あ! 確認していませんでした……」
毎日、ボロボロだったからね。結局、1週間ずっと泊まっていたしね。
「あ……大変な事に……」
「レベル10、ランクDになったわね?」
まあ、あれだけやればね!
「とても公表出来ません……間違いなく最速記録です」
「いいじゃない? 最優秀卒業生の凄さって事で」
「以前から少しずつレベル上げをしていた事にします」
ミンフィーは自慢すればいいのにと残念がっている。新しいダンジョンはレベルが上がりやすいのかもしれないね。
「次はDクラスのダンジョンに見直しが入るでしょうから、ウチはそれまでのんびりするわ」
「何かダンジョンの改善点があれば伝えておきますが?」
「未クリア者の応援をした人に報酬が無いと困った事になりそうね」
「確かに……チャンスを逃した人はずっとクリア出来ませんね。余程、いい人でなければ一緒に来てくれません」
ウチなら間違いなくクリアするのを手伝うけどね!
「ギルドの質も問われますね。寄せ集めの所は崩壊してしまう危険性があります」
何かを変えるといろんな所に影響が出るんだなぁ〜
僕達は少しずつ装備を整えながら、のんびりとしたペースで他のDクラスのダンジョンを攻略していた。
「名前付」の出現条件が公表された事で、ギルドによる攻略競争が発生していた。力のあるギルドは多くの「名前付」を討伐して名声を高めている。
特にSランクの「フラッグシップ」と「ダイアモンドスター」は各ランク毎に選抜チームを設け、積極的に挑戦しているそうだ。
僕達は十分な攻略情報を仕入れてから討伐した。
「ギルドの情報収集能力を高めろ」
シャバニさんからの指示でみんな情報を集める練習をしている。いざ、情報を集めてみると知らない事がこんなにあるのかと驚いた。
「知っていればダンジョンの攻略も安全に出来ますね」
「そうだ。情報は力だ。人、ダンジョン、ギルド、店、町、国、周辺国、知っていて得はあっても損はない」
僕はクエストを消化しながら出会った人達と話をする事にした。ミンフィーはギルドマスターの集まりに参加して情報を集めている。
1番情報収集が得意なのは吟遊詩人のアイリスだね。酒場で演奏したりして上手に情報を集めてくる。
アイリスが言うには……
「モッシュはD、Eランクの冒険者の中でちょっと話題になっていたみたいよ」
「へぇ〜 そうなんだ」
そんな事になってるなんて知らなかったよ。
「リュックサックを背負ったままで盾役をして、サポーターまでこなす凄腕ってね」
「なんだか嬉しいな」
「立場の低さに苦しんでいるサポーターは多いから。パーティーを組みたいって人も居たわよ」
「僕と?」
それは本当に意外だね。
「ほとんどがサポーターの人ね。戦うサポーターになりたいって人がいて、やり方を教えて欲しいんですって」
食事の時には集めた情報を交換するのが常になっていた。
「他の冒険者と交流を持つのも大事ね。アイリス、1、2名ならパーティーに招いてもいいわよ」
話を聞いていたミンフィーから許可が出たので、パーティー参加希望者が居れば受け入れる事にした。
でも、入会はお断りなんだってさ。
シャバニさんから情報に関する課題が出ていた。ギルドを運営していく上で重要なんだって。
なるべくウチのギルドの内情を漏らさないにする事。
『 情報を漏らさない 』
それと……
『 意図した情報を出す 』
「店の売り上げを上手く伸ばしてくれよ」
新しく露店に並べた皮製品の良さをアピールして欲しいんだってさ。
僕はリュックサックを背負っているから、アイテムはそこから出せばいいんだけど……
盾を持つ左手に小さなアームホルダーを装備する事になった。そこには錬金術で使う細い管に入ったポーション、毒消し薬、痺れ治療薬が収納されている。サッと取り出せるから便利だけどね。薬も管も全品が露店で売れているよ。
〜 新スライムダンジョン 〜
先日、実装されたばかりのスライムダンジョンに行く。
メンバーはアイリスと僕、サポーターとしてミンフィーだ。
更にアイリスが連れて来たEランクレベル3:サポーターの男性1名と女性1名が『前衛』として参加する。
「「よろしくお願いします!」」
今日の武器はシャバニさんに改造してもらったウォーハンマー改だよ。先端の鉄部分が大きなっていて、とても重量感のあるハンマーだ。ブン回すと超気持ちいい逸品だ!
小僧のミョルニルはギルドメンバーだけのパーティーでしか使わない事にした。
スライムの倒し方はもう分かっているから説明しながら戦っていく。アドバイスするのは僕の仕事。
戦闘が終わってから魔石とドロップ品を集めるのが今日のミンフィーの仕事。背中には僕の卒業記念リュックサックを背負っている。ミンフィーはパーティーから離れた位置で待機している。サポーターは経験値がもらえない距離まで離れないといけない。
「スキルが無くてもこんなに戦えるなんて……」
僕がボコボコとスライムを叩き潰しているのを見てビックリしているね。
「訓練すれば大丈夫だよ。僕は戦闘スキルなんて無い状態からここまで来たんだからさ」
「強くなるコツってあるの?」
女性が聞いてきた。コツは無いけど……
「僕は弱いから周りの人に感謝しながら戦っているよ。支えてもらった分、頑張ろうって」
僕が戦えるようにギルドのみんながサポートしてくれる。僕はとても1人では戦えない。
「下ばかり見ていた僕を『ある人』が必死に導いてくれたんだよ。僕はその人の為だったらどんなにキツくても頑張れるんだ」
何も知らない激弱な僕を熱心に指導してくれた!
『応援してくれる人がいるから僕は負けないよ』
報われなくてもいいんだよ。ただの自己満足なんだ……
僕は……前を向いて進んで行く! 絶対に諦めない!
自分の信じた道を ひたすらに




