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GIANT KILLING 〜荷物持ちのファンタジア〜  作者: ふぐ実
第一章 貧民区のお嬢様
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chapter 45 保険があればいいのかな

ご愛読ありがとうございます

 〜 翌日 〜


 ミンフィーが白いドレスを着ている。卒業式のガチャの時に着ていた服だ。髪の毛を女性陣がしっかりと結い上げてくれたそうだ。耳には僕がプレゼントしたピアスが光っている。

 僕はシャバニさんとザリウスにビシッとした黒いズボンと真っ白なシャツを着せられた。


「ギルマスはどこから見ても一流のお嬢様だが……モッシュは気合いが足りないな」


 ボンっと背中を強く叩かれて気合いを入れられた。


「堂々としていればいい」


 馬車に乗ってシャングリラを出て、東の森に向かった。

 森に着くと入口にウサギが立っていた。


「共の者はここで待て。森に入れるのは招待された者のみ」


 ウサギが男の声で喋った。カラスも喋るし、ネコもオオカミも喋るので全く驚かなくなってきた。


 入口から森の奥へと小道が続いている。馬車は入れないので歩いてウサギの後を追う。

 

「奇妙な気分だわ。何か……歪みを感じる……」


 僕もなんだか気分が悪くなってきた。


「招待されていない者が入れば迷い、彷徨い、死ぬ」


 何かの魔法か? 外部からの侵入を防ぐ仕掛けか……

 5分程歩いた所に大きな木が1本だけ立っている広場があった。その木の根元に小さな小屋が建っている。白い土壁のしっかりとした造りで赤色の屋根が何だか可愛い。


 僕達を案内したウサギが止まった所に老人の男性が立っている。


「ほう? これはまた随分とお若い方達が見えたな」


「ご招待を受けて参りました。ミンフィーです。こちらはモッシュです」


「私は魔女様の弟子です。魔女様は中でお待ちですのでどうぞ」


 老人に案内されて家の中に入っていく。こんなお年寄りが弟子だって? 魔女はもっと年上って事かな……アナウンスの声は子供っぽかったけどね。

 

「魔女様、お連れしました」


「うむ! ご苦労! お前は話の補佐をしなさい」


 やっぱりあのアナウンスの声だ! 小さな可愛いらしい少女が緑色の鮮やかなローブを着て椅子に座っている。


「かしこまりました」


 老人は魔女のそばにソッと控えた。


「ギルド『レザムールズ』マスターのミンフィーです。お招きにより参上致しました」


 小さな魔女はコクリと頷いた。


「同じくサブリーダーのモッシュです。本日はお招き頂き有難うございます」


 また小さな魔女はコクリと頷いた。


「よく来たわ。まず我が『シャングリラ』のネズミ駆除に感謝するわね」


 小さな魔女が弟子の老人の方を見た。


「あのネズミの中に西の魔女の使い魔が紛れ込んでいたので手を焼いていたのです。あなた達のおかげで西の魔女はひとまず『シャングリラ』から撤退しました」


 僕達を監視していたのは西の魔女なのか……てっきり教会関係者かと思っていたよ。


「私はシャングリラ周辺のダンジョンの管理もしているの。

冒険者の育成も仕事の内よ」


 また小さな魔女は老人の方を見た。


「シャングリラの冒険者は他の都市に比べてかなり弱いので魔女様はお悩みです」


 そうなんだ……それは知らなかったな


「冒険者を鍛える為に名前付きモンスターをダンジョンに配置したのに倒せる者が居なかったのよ」


 またまた小さな魔女は老人の方を見た。もう弟子の老人が説明した方が早い気がしてきた。


「あなた達が『ノックバッカー』を倒したので、魔女様は急遽、あなた達が挑戦する直前に『そびえ立つ壁』の仕様変更をしました。更に強化した敵を倒せるか試したのです」


 あれは元々の仕様じゃないのか! 無茶するなよ!


「西の愚か者に対抗する事が急務なの。あなた達はクリア出来たのだけど報酬が変更前のままなのよ」


 またまた老人の方を見た。


「魔女様は必ず対価を支払います。あなた達が命を懸けて戦った分の正当な報酬を渡します」


 そう言って老人は封筒をミンフィーに、小さな袋を僕に渡した。


「その封筒には『魔王』への紹介状が入っているわ。袋の中にはダンジョンの鍵と説明書が入っているわ」


「紹介状を南の魔国の門番に渡せば魔王に面会出来ます」


「こら! まだ合図して無いわよ!」


 魔女様が立ち上がって弟子の老人をポコポコと叩いてる!


「ヒィーーー! すみません魔女様!」


 小さな少女が老人を怒っている。何だか変だ……


「お前のダンジョンがヘッポコだから冒険者もヘッポコなのよ! この者達を見なさい! 私のスペシャルギミックをクリアして生きているじゃないの!」


「魔女様は多分死んじゃうって仰っていましたよ……」


 魔女様……僕達を殺すつもりでアレを試しのか!


「オホホホ! 冗談よ! 弟子の修業の為にダンジョンを作らせていたのよ。でも70年経ってもSSランクの冒険者が『シャングリラ』からは生まれないのよ……」


 何だか必死に誤魔化しているけど……


 また老人に合図した。


「そろそろSSランクの冒険者を輩出しないと『シャングリラ』は消し飛ばされます」


「「ええ!?」」


 消し飛ばすって何? 全滅させられるって事?


「あなた達の活躍で町に活気が出てきたわ。今後もこの調子で頑張る様に……あと……」


 またまた老人の方を見た。


「魔女様はダンジョン運営のアドバイスが欲しいそうです。何でもっと名前付きモンスターに冒険者達は挑まないのか分からないのです。結構、報酬は豪華にしたはずですが」


 ミンフィーはちょっとだけ考えた。


「出現条件が分からなかったのが大きな一因です。出現条件と目玉の報酬を公開すれば挑戦する者も増えると思います」


 さすがミンフィーだね!


 僕もそれだったら挑戦してみたいよ!


 ミンフィーが僕を見て頷いた。ぼ、僕も何か言わないとダメなのか……


「し、死ぬのは嫌なので失敗しても生き返れるといいです」


 ミンフィーは驚いた顔をしている。


 そうだよね……かなり無理があるよね。


「うむ……いいわね。確か蘇生魔法を得た者が居たよね?」


 小さな魔女が老人の方を見た。


「はい。ギルド『フラッグシップ』のビショップです」


「都市管理者の名で特別クエストを発注するわ!」


「報酬はいかが致しましょう? あそこはあまり欲しい物がないかと……」


「そうよね……しょうがないわ。そこにもダンジョンの鍵を渡すわ」


 小さな魔女は一方的に話すだけであまりこちらの話を聞くつもりは無いらしい。話が済んだらすぐに老人に出口へと案内する様に指示した。


「あ、すみません。魔女様にお土産物をお持ちしたのに、渡しそびれてしまいました」


 弟子の老人にお土産物を渡してもらう事にした。


「魔女様は100年もこの森を出ていませんので、ちょっとだけ常識外れな部分があります。悪気は御座いませんのでお気を悪くなされないで下さい」


 え!? 魔女って何歳なんだろうね!


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