chapter 43 夜空の星
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ギルドとしてクエスト「廃墟の片付け」を受けて消化しつつ、ミンフィーは着実に農地を確保していた。確保した農地をびっくりする様な勢いで新たに手に入れた装備を使って耕していく。
ギルド『レザムールズ』の畑を含めた敷地の広さはAクラスのギルドに匹敵する。冒険者ギルド協会の協力も得て、ギルドハウスの安全を守る為に必要な土地も購入出来た。
ボロい外観を除けばAクラスと同様の防備がある。店舗は完成したので室内訓練所の建設に移っている。
広くなった敷地では各自が好きな物を栽培していた。
ミンフィーもトマトや薬草の栽培を熱心に続けている。
市場の露店は品揃えが良くなっていた。栞さんが装備しているコートタイプの後衛装備がちょっと人気が出てきたそうだ。他にもいろんな服が売られている。
僕は相変わらず誰でも出来そうな簡単なクエストを地道に消化している。骨の矢尻の納品も続けているよ。
ダンジョンの攻略はゴーレムダンジョンばかり行く。鉱石を持ち帰るとシャバニさんが防具を作ってくれるからね。
試行錯誤しているみたいで売り物じゃないからとみんなにただでくれる。その代わりに使った感想や改善点を伝える。
僕も鉄の鎧を作ってもらった。肩の装甲の形や大きさを何度も作り直してもらった。
「もうちょっと上半身を鍛えた方がいい」
シャバニさんは見た目にもこだわるからね。鎧が似合う様な体を作れと言われてしまった。
ウチのギルドメンバーは何故かみんな贅沢をしない。かなりお金も貯まっているはずなのにね。
僕もお金がだいぶ貯まってきた。ミンフィーのお金も管理しているので一緒に服を買いに行って美味しいお店で食事をする事に使っている。
とは言ってもそんなに無駄使いはしないよ。
ミシェルさんからそろそろ他のクエストも受けてみた方がいいとアドバイスをもらったので、ちょっと変わったクエストを受けてみた。
近隣の都市に物資を運搬するクエストだ。他の都市に行った事が無かったし、ちょっと良い宿にタダで泊まれるので楽しそうかなっと思ったんだ。
荷馬車を護衛するだけの簡単なものだけど、モンスターが出たら退治しなければならない。
「護衛クエストね。分かったわ。私も受けてくるね」
ミンフィーも一緒に行ってくれる事になった。
他のギルドメンバーは個々に別のパーティーに参加している。
パーティーに入って欲しいと頼まれる事が多いそうだ。
『そびえ立つ壁』の事を聞きたいというのもあるし、実力も認められてきたみたい。
でも、ティアナとニャンタは他のパーティーには参加しないでギルドメンバーとだけ組むそうだ。
僕達が暮らす「エストアール王国」はとても治安の良い国と言われている。しかし、ゴラス帝国と停戦中とはいえ一触即発の状態だ。
各都市から前線のある北側の都市へ物資を送っている。今日はその物資を届ける商人達の護衛をする。
日程は3泊4日で2泊はテントだけど、1泊は大都市の宿に泊まれるんだ。
テントは自前の物を持って来ないといけなかったので購入しておいた。
「外で寝るなんて初めてよ」
「まぁお嬢様のやる事では無いよね」
「久しぶりにモッシュの口からお嬢様って聞いたわね」
テントは2人用なのでミンフィーと一緒に使う事にした。他の冒険者も護衛クエストに参加しているので、交代で夜の警護をした。
真夜中の星空をミンフィーと眺める。小都市から離れたから辺りは真っ暗だ。
「星ってあんなに沢山あるんだね」
「町の中だと明かりで星が見えなくなるのよ」
不思議だ……普段見えない星が町の外に出ると見える。
「知識としては知っていたけど、実際に見るのは初めてね」
「いい経験になったね」
大都市に到着した。結局、戦闘なんて無かったよ。
今日は自由行動なので宿に行き、部屋を確認してから買い物に出た。僕とミンフィーは同じギルドって事で同部屋だ。
冒険者全員で同部屋の時もあるらしく、今日は待遇が良い方みたい。勿論、男女で分けられる事なんて無い。
「大都市はさすがに発展しているね」
「店の品揃えが凄いわね。モンク用の武器もあるわ」
「何か買っていく?」
「要らないわ。その内、シャバニさんが作ってくれるし」
いろんな店を見ていくとアクセサリー屋があった。小都市「シャングリラ」では見ない様な素敵なアクセサリーが並べられている。
「ミンフィー、この星みたいにキラキラしたピアス、片方しか無いけど君に似合いそうだよ」
夜空の星を散りばめた様な素敵なピアスを見つけたのでミンフィーに勧めてみた。ピアスは大体が2個セットなのにこれは1個しかない。
「お客様、これは『星空のピアス』です。夜空の星をイメージして作りました」
「あなたが作った物なの?」
ローブを着た男性の店員だ。ちょっと不思議な雰囲気がする。辺りは賑やかなのにこの露店だけとても静かな気だ。
「はい……それだけが私の作った物です。お連れの方はとても良い目をされている様ですね」
値段を聞いたら結構高かった……でもいいや! 僕はそのピアスがとても気に入ったのでミンフィーにプレゼントした。
「お客様はどちらから?」
「僕達は南のシャングリラから来ました」
「シャングリラ……」
「どうかしたんですか?」
「ここの大都市には多くの旅人が来ます。シャングリラの方がこの店に来たのは初めてだったもので」
ふーん。大都市に遊びに来る人は結構いると思うけど。
「ミンフィー、せっかくだから美味しい物を食べようよ」
「それでしたらあそこの露店で売っているハンバーガーが美味しいですよ」
店員さんが指を指して露店の位置を教えてくれた。
「ありがとうございます」
店員さんにお礼を言って、ハンバーガーの売っている露店に向かった。
「モッシュ、ありがとね。大切にするわ」
「本当にこのピアスだけさっきの人が作ったのかな?」
「買わせる為の嘘でしょうね。でもいいじゃないの」
「うん。見た瞬間にコレだと思ったんだよね」
ハンバーガー屋さんは行列ができていたので本当に人気があるみたいだね。
「美味しいわね! 肉も野菜も素材がいいわ」
「これは並んでるのも納得の味だね」
ミンフィーはしっかり中身を確認しながら食べている。多分、真似して作るつもりなんだね。
「トマトの味だけは勝っているわね」
ミンフィーの育てたトマトはとても美味しいからね!




