chapter 40 ウォール オブ デス
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〜 ギルド『レザムールズ』ハウス 〜
ハウス周辺では工事が順調に進んでいる。
ゴーレムダンジョンの攻略も順調で、次の攻略時にボスに挑む事になっている。
ミンフィーは相変わらずネズミ駆除を熱心にやっていて、ご近所で『ネズミのお嬢様』と言われている。
没落お嬢様から『ネズミのお嬢様』に変わったらしい。
クエスト『廃墟の片付け』も積極的に消化しているので、更地が目立つようになってきた。
冒険者ギルド協会に骨の矢尻を納品に行くとミシェルさんが驚いていた。
「ミンフィーさんがあんなに地域活動に熱心な方だったとは思いませんでした」
何でも、周辺に住んでいる人達の家までネズミ駆除と消毒をして回っているらしい。
疫病が怖いからやっているみたいだと伝えると更に関心した様子だ。
「みんな嫌がる汚い仕事を率先してやられているなんて素晴らしい人だ。若いのに立派なお方だ!」
ギルド長までやって来て凄く感動している。
うーむ……そうなんだけど……どこか違うような……
最近はティアナとニャンタも連れて行くことが多い。ニャンタにネズミを探させて、ティアナが麻痺させたネズミをミンフィーが捕獲するらしい。
ニャンタにネズミには絶対に触るなとしつこく言っていた。食べるなんて論外らしい。
ニャンタは魔素入り苺を主食にしているので大丈夫だと思うけどね。最近は魔力を回復するミルクもあげているよ。
〜 ゴーレムダンジョン ボス攻略 〜
買ったばかりの鉄の盾をしっかり磨き上げた。小僧のミョルニルは前日にシャバニさんがリペアスキルで修繕してくれたので新品同様だ。綺麗な戦闘用の服を着る。
そして貰ったばかりの靴を履き、しっかりとベルトとヒモで足に固定する。汚れひとつ無く磨き上げている。
手にバトルグローブを装着する。
鏡に写る自分の姿を確認する。
髪もしっかり整えている。
リュックサックの中を確認した。余分な物は持たない。本当に必要な物だけを選んで入れてある。
もう一度、鏡に写る自分を見た。
ミンフィーもこうやって自分を確認していたんだ。
見た目だけの問題じゃない。
心は整っているか? 覚悟はあるか?
自分に問いかける
自分に足りていなかったことが少しだけ見えてきた
ゴーレムダンジョン最下層のボス部屋に突入した。
普通のゴーレムとは全然違う大きさの巨大な姿の名前付きモンスター『そびえ立つ壁』がそこに居た。
強化魔法は全て唱えられている。飲み物も飲んだ。
「みんな! いくよ!」
盾を体の前に出して一気に駆け寄って、『そびえ立つ壁』に初撃を加えた!
ゴン! ビリビリ……
凄い固い! 金属を叩いたみたいだ! 敵の反撃を警戒して盾を構え直す。
よく見るんだ!
パーティーのリーダーとして全体の把握は重要だ。
ミンフィーとフェン、スノウがゴーレムの横に着いた。
ゴーレムが大きな拳を振り回して襲いかかってくる。それを武器で受け流し、ガラ空きの胴に蹴りを入れた!
ミンフィーのローキックが炸裂してゴーレムが動きを止めたけど、さすがに膝はつかない。初撃の手応えで強固なのは分かっている!
ジャンプして頭部をぶっ叩いた! ゴン!
ゴーレムが飛び上がった僕を殴ろうとすると……
ガシャガシャ!
フェンのチェーンウィップが腕に巻き付いて攻撃を止めた。それを見て更に頭部をぶっ叩いた! ミンフィーのローキックも炸裂した。
一旦、距離を置いてヤツの動きを観察する。
頭部がほんの少し欠けているのを発見した……
あの欠けている部分だけを攻撃するぞ!
ミンフィーもゴーレムの右足の同じ部分だけにローキックを放っている。
「戦術このまま! 集中していこう!」
何度でもしつこく同じ部分をねらうと欠けている部分が大きくなってきた。
「ピンポンパンポーン! スペシャルギミック発動よ!」
まだゴーレムを倒していないのにアナウンスが流れてきた。 何だよスペシャルギミックって!
「3、2、1、ウォール オブ デス!!」
またアナウンスが流れた。ギミックが発動したらしい。
ボス部屋全体がビリビリ震えている……
ボス部屋の左右の壁が大きな音を立てて動き出した。部屋がドンドン狭くなっていく……
まさか…… このままでは壁に押し潰されてしまう!
どこかに逃げないと……
「入口の所にスペースがあるわ! そこへ避難して!」
後衛のティアナが大きな声で避難を呼びかけた。
「僕がコイツを引きつける! みんな逃げて!」
盾役まで一緒に逃げたら入口の狭いスペースにゴーレムまで来てしまう。
盾を構えて巨大ゴーレム『そびえ立つ壁』と正対する。みんなが避難するまで時間を稼げればいい!
ゴーレムの猛攻を何とか凌ぐ……受け流し、回避、盾で防御、今まで訓練してきた全てを出して耐える。ゴーレムの重い攻撃は盾で防御してもダメージを受けてしまう。
ゴン!
攻撃を盾で防いだけど腕が……痺れてしまった……
「キュア!!」
栞さんが回復魔法で治療してくれた。
「モッシュさん! もう逃げて!」
栞さんの声が聞こえたけどゴーレムの猛攻が凄まじくて、逃げ出すタイミングが無い……
しばらく耐えたら突然、ゴーレムが攻撃を止めて後ろへ走り出した。
よく見たら地面が光っている場所がある。ゴーレムはそこに向かって動いているようだ
僕は必死に入口まで走って行きみんなと合流した。ゴーレムの方を見ると光っている地面の上に立っている。
他にも地面が光っている場所がある……どうなるんだ?
部屋の壁が左右から迫る! 壁には窪んでいる部分が数ヶ所あり、ゴーレムが立っている場所は左右の壁が激突しても潰されてない感じがする……
「地面が光っている所は安全地帯なのか……」
ドン!
左右の壁が激突して目の前が壁になった。
「ピンポンパンポーン! スペシャルギミッククリア! おめでとうございます! 生きていればね」
ちゃんと生きているよ!
何かこのアナウンス、イラッとするな!
壁が左右に分かれていく。ゴーレムの姿が見えた。やっぱり何ともなっていない。光る地面は安全地帯なんだな。
「モッシュ! いくわよ!」
ミンフィーがゴーレムに向かって駆け出した。僕も遅れずについて行く。ゴーレムも動き出して間合いを詰めてくる。
同じ陣形でゴーレムを囲んで攻撃を繰り返す。
「ピンポンパンポーン! またまたスペシャルギミック発動しちゃうよ! 今度は超スペシャル! なななんと! 入口のスペースが無くなっちゃいまーす! きゃは!」
という事は光る地面の上にいないと潰れるって事か!
ゴーレムはさっさと光る地面の上に移動した。
「みんな! 光る地面の上に移動して!」
光っている地面はそんなに広くない。自分の近くの光る地面にみんな移動した。
「3! 2! 1! ウォール オブ デス!!」
アナウンスが聞こえた! 今度さっきより早く壁が動いている。
ドン!
また左右の壁が激突した! そして開いていく……
これを繰り返すギミックだな。ゴーレムを囲んで攻撃を再開すると、頭部と右足がかなり欠けてきていた。
もう少しだ!
「ピンポンパンポーン! 超スペシャルギミッククリアおめでとう! 生きている人いますか〜? なんと! 次は更にスペシャルなやつ! いっちゃうよ〜」
まだ何かあるのかよ!
「3! 2! 1! ウォール オブ デス!!」
今度光っている地面の面積がとても狭い! 2人くらいしか立てないよ! ゴーレムは急いで動き出し、光る地面の上に立った。そこだけは面積が広い!
近くの光る地面の上にすぐ立った! ミンフィーも僕と同じ所に立って、フェンとスノウが同じ所に立っている。みんな2人1組で光る地面に立っている。
「3! 2! 1! ウォール オブ デス!!」
ドン!
今度のは一瞬で左右の壁が激突した! ちょっとでも逃げ遅れたら潰されてしまう!
「だんだんとヤバくなってきているね」
ミンフィーをギュッと抱き寄せて壁の激突から守りながら話しかけた。
「次で決めるわ!」
ミンフィーの目を見て、コクっと僕は頷いた。
左右に壁が開いていく。
「勝負に出るよ! 一気に攻撃!!」
ゴーレムに駆け寄って全力で攻撃を繰り返す。大きく欠けた頭部だけを狙う! ミンフィーも右足だけを狙い続けている。フェンはゴーレムの片手の動きを封じながら、スノウと攻撃を重ねる。
「カウントダウン開始! 60!」
壁が少しずつ迫ってきているのに光る地面が無い!
「59! 58! 57!」
ミンフィーのローキックが炸裂してゴーレムの右足が崩れ落ちた! チャンスだ!
倒れたゴーレムの頭部を強撃した!
ボロッ……
ゴーレムの強固な装甲が崩れて中に光る何かが見えた!
「頭の中に何かある!」
「たぶんコアよ! それを壊せばコイツは止まるわ!」
ゴーレムが倒れながらも必死に暴れて抵抗している。
「30! 29! 28!」
シャバニさんが大弓を構えて狙いを定めている。
「任せろ」
狂ったように暴れるゴーレムの首にフェンのチェーンウィップが巻きついた!
倒れているゴーレムの横にミンフィーがいる。右足を高々と天井へ向かって上げ、一気に振り下ろした!
ドン!! ゴーレムの腹にかかと落としが炸裂した!
一瞬ゴーレムの動きが止まった……
ストン……
僕が崩したゴーレムの頭部に矢が突き刺さった!
バラバラと音を立ててボスゴーレム『そびえ立つ壁』が崩れていく……
「ピンポンパンポーン! おめでとうございます! そびえ立つ壁の討伐に成功しました!」
ボス部屋の奥にガチャルームに続く扉が現れた。
「倒されて悔しいので説明は省略します! 以上!」
おいおい……必死に倒したんだからちゃんとやってよ!




