chapter 39 足元を固める重要な事だね
ご愛読ありがとうございます
〜 小都市 シャングリラ 通称貧民区 〜
早朝からクエスト『廃墟の片付け』を手順通りに実行していく。ギルドメンバー全員参加だ。
シャバニさん先頭で廃墟に入っていく……
「やはり変だ……何の痕跡も無い。プロでもここまでは無理だ」
廃墟の中には靴跡1つ無いし、ホコリだらけだ。ただネズミっぽい足跡は沢山あるけどね。
いろいろ探したけど何も見つからなかったので取り壊しを開始した。壊す人、荷馬車で運び人、廃材を燃やす人に分かれて作業をした。僕はミンフィーと壊す役だね。ギルド協会が貸してくれた大ハンマーでぶっ叩く!
「これ中々いい! 武器にも使えそうだよ!」
ミンフィーは道具を使わずに蹴りで破壊していく!
ネズミは当然、逃げたと思うので罠をいっぱい仕掛けておく。ギルドハウス内も仕掛けてあるし、庭にもトラップを設置したらしい。
壊し終わった更地にミンフィーが作った消毒薬を散布して終わりだね。クエストでは消毒までは求められていないけど自主的に行った。
「更地にすると結構広いね」
「明日は金策の為にゴーレムダンジョンに行くけど、明後日はまたクエストよ!」
ミンフィーはダンジョンよりクエスト優先になっちゃったみたいだね。
更地にした所では明日から店舗兼生産施設の建築が始まる事になっている。シャバニさんが書いたデザイン画を参考にした設計になるそうだ。
次の日、かなり早朝にミンフィーが起きたのが音で分かった。ウチのギルドで1番早起きなのは栞さんだけど、今日はミンフィーの方が早そう。
ミンフィーは昨日仕掛けおいた罠からネズミを回収して焼却したそうだ。トラップで死んでいたヤツも残さず回収して消毒薬を散布したらしい。
栞さんがハウスの扉と窓を開けて空気の入れ替えをしている。最近、栞さんが元気になってきた。早朝と夕方には教会でやっていた清掃をしてくれている。
教会から追い出された後はかなり塞いでいけど
少し回復してきたみたいで本当に良かった
みんなで一緒に清掃をやる時もあるけど、栞さんは絶対に毎日欠かさずに清掃をする。
清掃が終わる頃になるとシャバニさんかミンフィーが朝食を作り始める。
朝はパンと目玉焼きが多いけど、目玉焼きの焼き方にこだわりがあるらしい。
シャバニさんは両面しっかり焼き派でミンフィーは片面ちょい焼き派だ。ちなみに僕は片面しっかり焼き好き派だけど面倒なので内緒にしている。
みんな色々なので作った人の好みの焼き方で食べる事になっている。
〜 ゴーレムダンジョン 第1層 〜
不人気ダンジョンだけあって他のパーティーは居ないみたい。今日はシャバニさん以外はみんな参加している。
シャバニさんはダンジョンに全く興味が持てないみたいで必要な時だけ呼んでくれと言っている。
商売の方が軌道に乗ってきたらしく、生活費なんかは売り上げからしっかりと納めているんだってさ。
僕は鉄の盾とハーフプレートアーマーを新たに購入した。ゴーレムの攻撃は重くて破壊力があるので、今までの皮装備では危険だしね。
テイマーのフェンも皮のムチから鉄製のチェーンウィップに装備を変更していた。先端に小さな鉄球が付いているので中々の破壊力がありそうだよ。
フェンはようやくスノウがギルドハウスに入ってくれたので超ご機嫌だ。いつもベッドで一緒に寝ているらしく、モフモフして最高だと言っている。
ゴーレムは1体ずつしかポップしないので、僕が盾役として正面に立ち、ミンフィーが右サイド、フェンとスノウが左サイドから攻撃する事にした。
時折、スノウが敵の背後へ移動して攻撃をする。
ゴーレムは確かに防御力が高くて厄介な敵だけど動きがちょっと遅い。更に後衛から状態異常魔法を掛けられているので受け流しも回避も難しくない。
僕は強く効果的な攻撃をするように意識している。ミンフィーがローキックでゴーレムの体勢を崩してくれるので、頭部への強撃を狙う。フェンもムチでゴーレムの動きを妨害してくれる。
ゴーレムは難なく倒せるんだけど……
ドロップ品の鉱石がドンドンと僕が背負っているリュックサックに詰め込まれていく……かなり重いよ。
「モンクコースの2日目くらいのメニューよ」
どんなコースなんだよ! モンクコース恐るべし!
今日は第1層で連携を確認しながら戦った。みんなかなり強くなっているみたいだね。装備も徐々に良くなっているし
自信もついてきたよ。
〜 ギルドハウス ロビー 〜
シャバニさんがみんなの帰りをロビーで待っていた。ずっと取り組んでいた服が出来上がったそうだ。
ミンフィーにはチャイナドレス、フェンにはアオザイと呼ばれる民族衣装を参考にした服、ティアナとアイリスには綺麗なシャツとズボンだ。
栞さんには白いロングコートが渡された。ヒーラーはローブを着る事も多いけど、栞さんのコートはかなりタイトな感じでウエストの部分にちょっと太めのベルトがあってキュッと締まっている。
「なんかお洒落ですね」
「思った以上に似合うな。洗練された感じでいい」
「でも、全く白魔術師には見えませんよね」
「別に決まってないんだろ? 冒険者だってお洒落をしていい」
ザリウスには白い襟付きシャツと黒い皮のタイトなズボンが渡された。とてもワイルドな感じだね。
「本当はスーツを着て欲しいんだが、さすがに暑すぎるから無理だと判断した」
僕には服じゃなくて黒い靴を作ってくれた。
「いいか、靴はとても大事だ。戦闘時、日常時どちらでもだぞ。靴を見ればソイツがどんなヤツか分かるくらいだ」
今、使っているバトルシューズとは比べ物にならない程、しっかししている靴だ。柔らかい皮製だけど多少ツヤもある。特徴的なのはヒモとベルトの両方でガッチリと足を固定している事だ。足首のちょっと上まで皮で覆われている。
凄いフィット感だ……何だか更に戦えそうな気がする
「パーティーの要は栞だが、柱はお前だ。2人の装備を優先させてもらったが順番に合う物を作ってやる」
店舗兼生産設備の建物には炉も設置されるそうなので武器作りにも挑戦してくれるんだって。
この靴だけでも十分凄い!
もし全身の装備をシャバニさんが作ってくれたら……
ドロップ品の一部を素材としてシャバニさんに提供する事になった。これだけやってくれるんだから当然だね。




