chapter 38 予期せぬ来訪者に乗せられる
ご愛読ありがとうございます
〜 ギルド『レザムールズ』ハウス ロビー 〜
ハウスにお客さんが来た。冒険者らしからぬ貴族っぽい服を着ている。一応、帯剣していたけど玄関で僕に渡してきた。
まさか僕がエクスカリバーに触れるなんて!
ズッシリと重くて本当に凄そうだ!
鞘も綺麗な装飾が施されていて美しい……
僕のトンカチとは大違いだよ
「灼熱のトカゲを倒したよ。君達のおかげで出現条件がなんとなく分かったんだ。今日はそのお礼に来た」
お土産でフルーツの盛り合わせを持って来てくれた。
「あなたの『フラッグシップ』は名前付きを倒したなんて口外してないけどいいのかしら?」
「ここで話をしている分にはいいじゃないか」
ミンフィーが瓢箪から紅茶を出して、ティーカップに注いでオルフレッドさんに渡した。
「お、さすがにいい物を飲んでいるね! 美味しいよ」
今日のはブランデー入りじゃないみたいでホッとした。
「スカーレットの所が必死になってあちこちのDクラスダンジョンに挑戦しているみたいだよ」
「ほんと負けず嫌いね」
「出現条件は恐らくDクラス以下のパーティーで挑戦する事だと思うけど、ほとんどのパーティーがベテランの冒険者を加えてボス戦に挑むのが常識だからね」
「もし名前付きが出た時の事を考慮すれば当然ね。堅実さが売りの彼女には厳しい出現条件ね」
確かにそうだね。せっかく名前付きが運良く出現しても倒せないパーティーだったら退場するしかない。出現条件が彼の言う通りだとするとDランク以下のしっかりとした構成じゃないといけない。
そんなパーティーは僕達くらいだ
大体、BかCランクの冒険者を数名加えてパーティーを組む所ばかりなんだよね。その方が安全だからさ。
多少もらえる経験値が減っても命には代えられない。
「これからは自分のランク以下の人とパーティーを組む事にしたよ。ベテランから学ぶのも大事だからたまには組むけど、基本は同じランクの人だな」
「その頭の柔らかさを誰かさんに分けてあげて欲しいわ」
「スカーレットの良い所はとても堅実な所だから。彼女はあれでいいんだ」
さすがにここ小都市『シャングリラ』の筆頭冒険者ギルドのエースだよね。凄く良い人みたいだ。
しっかし、エクスカリバーいいなぁ〜
これで攻撃したら気持ちいいんだろうなぁ〜
「僕もノックバッカーと戦ってみたけど、中々の強敵だったよ。ヤツの攻撃を防ぐのは大変だよね? モッシュ君?」
「え!? あ、はい! こちらの攻撃も防がれました」
まさか僕に質問が来るとは思わなかったよ。
エクスカリバーが気になって、気になって。
「これからが楽しみになったよ。お互い頑張ろう」
そう言って席を立ったのでエクスカリバーをお返しした。
「これ重いだろ?」
「重いですね! ズッシリしていい感じですね!」
「じゃあ、皆さんお邪魔しました」
清々しい若者だなぁ〜 やっぱり勇者様は違うや。颯爽と扉を開けて玄関から出ていった。
なにをやってもカッコいい!
「はぁ、モッシュ。完全に嵌められたわね……」
「そうですよ。ノックバッカーを倒したの認めましたよ!」
ミンフィーから冷たい視線が飛んで来て、ティアナがプンプンしている……
「あ! そうか……」
「アイツは油断させるのが得意なのよ……いろいろ想定外になって来たわ……まさかここに来るとはね」
ミンフィーが眉間に指を当てて考え込んでいる。こんな姿見た事ない。
「ご、ごめんよ」
「モッシュのせいじゃないわ。予測出来なかった私の責任」
ノックバッカーを最初に倒したのがバレるとそんなに駄目なのかな? もう彼も倒したと言っていたし……僕達には分からなかった名前付きの出現条件まで教えてくれたし。
「あの人はそんな悪い事する人には思えないけど……」
「勿論よ。問題なのはあなたの事をライバル視した事よ」
「ぼ、僕を? まさかそんなわけ無いよ」
「彼まだランクEよ。今年の卒業生中、最速でDランクに上がったのは私とモッシュよ。次の発表で彼とスカーレットでしょうね」
嘘!? まだあの人達はEランクだったのか!
「ほとんどの卒業生がまだレベル5くらいだと思うわ」
「ここはみんなDランクになっちゃうよね」
もうみんなレベル8か9になっている。
「同学年の多くのプリースト見習いの中でレベル10になったのが3人だったのを考えれば2〜3ヶ月でレベル10は恐ろしい程早いです。1〜2ヶ月なんて化け物ですよ」
よく考えたら栞さんの言う通りだね。
「モッシュがノックバッカー戦で盾の役割を果たしたのを確認したかったのもあるわね」
「僕は何も言ってないよ?」
「ウチのメンバー構成で盾役が出来るのはモッシュだけよ」
「ミンフィーなら出来そうだけど……」
「ふぅ……どうしようかしら……さすがに困ったわ」
そんなに困る事ない気がするけど……
「まあ、なる様になるわね。考えてもしょうがないわ」
争うつもりもないし何をそんなに考えるのかな。目標に向かって頑張っていけばいいよ。
「明日は隣りの廃墟の取り壊しなのでみんなよろしくね」
ミンフィーは頭を切り替えたみたいだね。
「例の監視はどうなっているんだろう……まさか襲って来ないよね」
「建物の前に明日、取り壊すと表示してあるから大丈夫よ」
「結局、誰がウチを監視しているか分からなかったね」
教会が怪しいけど……
「見張っているのは間違い無いんだが、誰も出入りしていないんだ。魔法を使っているのかもな」
シャバニさんは何とか正体を探ろうとしていたらしい。でも、結局分からなかったらしい。




