chapter 32 激戦の決断
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〜 オークダンジョン 〜
今日はオークダンジョンのクリアを目指す。僕達ならすぐにでもクリア出来そうだったけど、事情があってしばらくクリアを保留にしていた。
ミシェルさんにオークダンジョンのガチャから出た事のあるスキルを調べてもらっていたんだ。
当たりのスキルをイメージしてガチャを引く事で、いいスキルを狙ってゲットするつもり。
新たに行けるようになったダンジョンの内、日帰りで行けるダンジョンの資料を揃えてくれた。
必ず狙い通りのスキルが習得出来るわけではないけど、最高に運良く習得するイメージで計画を立てた。
オークダンジョンで1番張り切っているのはテイマーのフェンだ。テイマーの間ではよく知られている話なんだそうだけど……
『名前付け』というテイムモンスターに名前を付けれるスキルがオークダンジョンから出た実績があるみたい。
スキルで名前を付けるとモンスターの奥に眠っているスキルを呼び覚ませる事が出来るらしい。
普通に名前を付けるのとは違う効果があるみたいだ。
今までウォーウルフに名前を付けなかったのはこのスキルを取ってから名前を付ける為なんだって。
名前を付けてないからかウォーウルフが中々、懐いてくれないらしく、ギルドハウスに入るように指示しても言う事を聞いてくれないみたいだ。だからウォーウルフはいつも庭にいる。
テイムモンスターはマスターの指示は絶対に聞くはずだけど、あまりに相性が悪いと指示を聞かないそうだ。
みんな事前にミシェルさんが作ってくれた資料に目を通して、欲しいスキルをイメージする訓練をしてきた。
僕が欲しいのは『アーマーブレイク』という敵の防御力を下げる効果のある攻撃するスキルだ!
力 +3とどちらかで迷ったんだけど、力アップは他のダンジョンでも出るけど『アーマーブレイク』はここで逃すとしばらくゲット出来ない。
フェンの3連撃みたいなカッコいいのがいいけど、ここでは出た実績が無いらしい。
オークダンジョンはほとんど全ての冒険者がクリアする人気のダンジョンだから、ガチャから何が出るかはほぼ判明している。
最短ルートで攻略していく。道も全部分かっているダンジョンなんて楽勝だよね。
ボスもちょっと強めのオークがいるだけだから楽勝!
っと思ったんだけど……
ボス部屋に入ったら馬鹿デカイオークが1匹いる!!
「確かちょっと強いオークが3匹いるだけなはず……」
ボス部屋に入ると倒すか倒されるまで基本的には出る事が出来ない。
ただ、制限時間になれば強制的に退場になるので、入口付近で戦わずに待っていれば脱出する事は可能だ。
「何でこんな時に……あれは名前付きモンスターです」
フェンが悔しそうに巨大オークを見ている。
ミンフィーに借りた教科書に書いてあったヤツか!
極々稀に出現する非常に凶悪なモンスターだ。今まで数え切れない程の冒険者を葬ってきた危険なヤツだ。
ヤツの名前は『狂ったノックバッカー』
巨大な両手斧と体の半分を覆うハーフプレートアーマーを装備している。
前衛に対して強烈な攻撃を繰り出して、弾き飛ばす攻撃をしてくる。
その攻撃を受けた者は数秒の間、行動不能になる。厄介なのはその攻撃が前衛の誰に向けられるの分からない事だ。
通常なら盾役がしっかりと敵の注意を引きつけるから、攻撃を受けるのは盾役だけど、『狂ったノックバッカー』の攻撃は全く誰を狙うのか分からないんだ。
睡眠魔法が効くので倒せなさそうな時は眠らせ続けて制限時間である1時間まで粘ればいい。そうすれば強制退場で脱出が可能だ。
注意しないといけないのは脱出したら『ガチャ』の権利を失ってしまう事だ。
再びこのダンジョンをクリアしてもガチャは引けない
「モッシュ、あなたがパーティーリーダーよ」
ミンフィーが僕を見てそう言った。
戦うかどうか決めるのは僕って事だ。
これも大事な経験だ。強くなる為には判断力も大事だ。
ウチのパーティーには睡眠魔法持ちのティアナ、ニャンタのコンビとザリウスの2人いる。危なくなっても敵を眠らせ続ける事が可能だ。
「僕達なら勝てる! フェンの為にも頑張ろう!」
作戦を練る時間は無い。必死に戦っても時間切れになってしまったという記録が数件報告されているのを教科書で見た。
「制限時間内に倒すのを意識して、確実に削っていくよ!」
僕は付与魔法と強化魔法を唱えた!
「いくよ!!」
『狂ったノックバッカー』に突撃した。ノックバッカーは両手斧で僕の渾身の一撃を受け止めた!
「ぐっ……」
そこにすかさずミンフィーが炎のローキックを放つ!
ミンフィーも付与:炎を使用している!
ミンフィーも最初から本気だ!!
ドン!!
ノックバッカーのスネにローキックが炸裂した。もの凄い衝撃音が鳴り響いて空気がビリビリ震えている!
でも、ノックバッカーは倒れない。
普通のオークならミンフィーのローキックを受けたら立っている事は不可能だ。
フェンが敵の背後に回って得意技のムチによる「3連撃」を繰り出した! そしてウォーウルフが首に噛みついた!
僕も全力でノックバッカーの頭を狙ってハンマーを振り下ろす!
ドン!!
ノックバッカーは僕の攻撃だけは両手斧で受けて防ぐ。
「ウォーーーー!」
ノックバッカーが雄叫びを上げて両手斧を振り回した!
前衛の誰かが吹っ飛ばされる……
飛ばされたのはミンフィーだ! ミンフィーは壁に激突して動けなくなっている。
「キュア!」
栞さんからすかさず回復魔法が飛ぶ!
ここが前衛の頑張り所だ! ノックバッカーをミンフィーや後衛の所へ行かせないようにしないと!
必死に攻撃を繰り出すけど、ノックバッカーは確実に僕の攻撃を防いでくる。
防がれてもいい! とにかく注意を引ければ!
僕の攻撃は防がれるけど、ノックバッカーの攻撃も僕が受け流すので効かない。
僕に集中すればフェンが空く!
フェンの3連撃とウォーウルフの噛みつきがノックバッカーの体力を奪う!
フェンも付与:氷を使用しているのでその分のダメージも入っているはずだ。
ノックバッカーの攻撃はとても遅いし、あまり強くない。
後衛陣から状態異常魔法を掛けられているからだ!
「持久戦だから魔力の残存量に注意だよ!」
後衛陣へ声をかける!
「毒の状態異常が入っているわ!」
毒が入っているなら徐々に体力は削れているはずだ。
ティアナ、ニャンタのコンビとザリウスは日頃からよく相談しているので、上手く交代しながら弱体魔法や状態異常魔法を切らさないように使用してくれる。
今はザリウスが休憩して水筒から魔力回復の水を飲んでいた。
アイリスは常に竪琴を奏でてパーティーにバフ(強化)を掛けている。
ミンフィーがノックバックから復帰して、またローキックを放った!
ズン!!
鈍い音がしてノックバッカーが苦悶の表情をしている。
「オリャーーー!」
渾身の振り下ろしで頭部を狙ったが……また受け止められた。
けど……構わない! ヤツは隙だらけだ!
フェンとウォーウルフの連携攻撃が決まり、再びミンフィーのローキックが炸裂した!
遂にノックバッカーが地面に膝をついた!
そしてミンフィーが足を天に向けて高々と上げた!!




