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ポジティブ

あの後なぜか、ほんとになぜか俺は神谷の家で食べることになった。

俺は今、無理矢理リビングに連れられ神谷の監視下で食事ができるのを待っている。


リビングについて神谷が食事を作るために掴まれてた手首を離されてからは何度か逃げようとしたんだよ。

そのことごとくが失敗に終わった。

おかしい、俺はしっかりと神谷の隙をついて脱走を試みたはずなのに。

そもそもリビングの扉がキッチンの方が近いのがダメなんだよ。

こんなの逃げようとしたって神谷の側通るようなもんだ。止めに入るのが簡単だ。

まぁつまり捕まえられたので今はキッチンで神谷に見張られながら料理ができるのを待っている状況です。


「できたよ」


料理ができたようで見てみるとオムライスだった。

美味しそうではあるが、俺の監視という片手間で作って果たして美味しいのだろうか。

というかなんで当然のように二人前なんだろうか。

別に帰らせてくれてもいいんだけど。

というか帰りたい。帰らして。


「早く食べない?」


うん、わかる。はやく食べたい。

でもこれを食べたいんじゃなくて家に帰って食べたいんだよな。

え、ダメ? なんで? いや、帰らせろよ。


いくら願おうが帰らしてくれない。というかはっきり言っても帰らしてくれない。

従うしか選択肢がなく嫌々ダイニングテーブルに座る。


ほぅ、ダイニングテーブル中々いいな。

いつもローテーブルで床に座って食べてるからな。

こんなところで椅子の良さを感じることになるとは。

なるほど、広い家だとこういう利点があるのか。お金持ってるっていいね。


「いただきます」

「…………いただきます」


なんで食べるんだろうか、と不思議に思うことはそうそうないだろう。

いや、弁当もらったときも十分不思議だわ。

あんときなんで食べたの、俺。

そう考えると神谷からのものを食べるということがおかしいのだろう。


けれど二度あることは三度あるという。

また神谷の手料理を食べることになるのだろうか。

いや、いやいや、三度あっちゃダメなんだけど。

まだまだ俺と神谷が関わってるってことじゃん。

勘弁してくれ、こいつとの関係もこれっきりにしたいと思ってるのに。


今回は仕方なくオムライスを食べる。

仕方なくだからな。もう次はないと思えよ。


にしてもこのオムライス美味いな。

どうやって作ってんだ?

逃げることよりも作り方見る方すべきだったかもな。


「どう、おいしい?」


不安そうにしているがこいつの場合はどうせ演技だ。

喜ばせたくないので無視する。

ここで素直においしいって言ってみろ。どうせまた作るとか言うに決まってる。


「なるほど、感動で言葉も出ないと。そんなおいしいのかー」


無視して食べてるのに勝手に勘違いして喜びだす。

何こいつ、ポジティブ。

もしかしておいしくないって言ってても喜んでた?

それはただのドMだわ。


食べ終わったはいいけど、これどうしたらいいの?

俺皿洗うべき? 人んちで勝手にやっていいの?

勉強してた部屋に戻ってもいいのか?

ちゃんと教えてくれてないと困るんだけど。


はぁ、帰って食べた方がどう考えても気が楽だった。

勝手知ったる我が家に帰りたい。


「片付けしとくから先戻ってていいよ」


まぁそうなるよな。

でもお前が勉強しないと俺帰れないんだけど。

いや、泊まるわけじゃないから帰れはするんだけど、早く帰りたいんだよ。


とはいえ、主張しても無駄ということはなんとなくわかっているので、皿洗いくらいすぐ終わるだろうと考え一人で勉強部屋に戻る。


やっと自分の勉強ができる。

神谷の相手なんかしてて成績下げて一人暮らしできなくなるわけにはいかない。

しっかり勉強して上位を取っておかないと。


開始して数分で神谷が戻ってくる。

おい、待て。

なんで隣座ろうとしてんだ。

来るな。


反抗しても隣に座るのは決定らしく、当然のように隣に座ってくる。


座るだけなら問題ないとしても勉強道具広げたら邪魔だろ。

二人分並べるのでギリギリだ。


迷惑なので俺は移動しようとする。


「どこ行こうとしてるの?」


手を掴まれ引き止められる。

……またこれかよ。


「邪魔だから反対側行こうとしてるだけ」

「ダメ」

「いや、ダメって言われても邪魔なんだが」

「いいからここ教えて」


なんですぐわかんないとこできるんですかね?

まだ戻ってきてから勉強初めてなかったんですけど。


まだ解いてもないのに引き止めるために教わろうとしてるな。

その手には乗らんぞ。


「まず、自分で解け」

「やってみたけどわかんないの」


え、やってたの? いつの間に。

というか、わかんない問題多すぎない?

俺にも勉強させて。


「その問題は教科書のこのページ見たらわかる」

「ちゃんと教えて」


いや、勉強させて。

その問題くらいなら簡単だから一人でできるはずなんだよ。


「教えて」


やだよ、全部教えるなんて約束してないんだけど。

それにお前が勉強していいって言ったのになんでさせてくれないんだよ。


俺が無言で嫌がり続けると珍しく神谷が諦めてくれた。


「まぁまだ初日だからいいよ」


え、なに、初日って。ゴールデンウィークがってことだよな。

勉強教えるのがってことじゃないよな?

こんなこと後何日も続けるなんて嫌なんだけど。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ふたりともぶれないねえ [気になる点] オムライス美味しかったんならば感謝しないと男としてだめではないのかな?これ作者様の思うつぼかな? [一言] こうなりゃいじで読み続けてやる、そして感…
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