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抵抗

神谷に止められ帰ることはできなかったが、真面目に勉強を始めてくれた。

わからないところを教えれば苦戦しながらもしっかりと解いている。

この意欲を最初から見せてくれていれば、と教えるたびに思ってしまう。

いや、意欲見せられてもそもそも予習してないせいで教える量が多いんだけど。


何なら意欲を見せられたせいで俺の勉強が進んでない。

勉強始めようとした途端これ。

最初のできなかったときは暇にしてできるようになったら教えるので忙しくするとか嫌がらせだよな。


そんなこんなで勉強を教えるのを続けているといつの間にか昼になっている。

ずっと勉強してても疲れるから丁度いい、食休みにするか。

そう思っていたのは俺だけではないらしく、神谷も伸びをして体をほぐしている。


「ん~、そろそろお昼にしよっか」


神谷も昼にするなら俺は帰るとするかな。

いちいち往復するのは面倒だけど。


二人して立ち上がり部屋を出る。

神谷はリビングの方に向かうみたいだ。

俺は玄関の方に向かう。


「ちょっと待って、どこ行こうとしてるの? リビング逆方向だよ?」


神谷と逆方向、つまり帰宅しようとしていると神谷に手首を掴まれて呼び止められる。

なんで呼び止められたのかわからん。

お昼にするって言ったよな?


「とりあえず離して」

「離さないよ。相馬くん、帰ろうとしてるんでしょ」

「そりゃ帰るだろ」


なんで帰っちゃダメなんだよ。

俺に昼飯食うなって言いたいわけ?

流石に自分の勉強してなくても神谷に教えるので頭使ってるからお腹空く。

それなのに食うなとかよくそんなひどいことが言えるな。


「なんで帰るの。帰らなくていいじゃん」

「いや、ご飯食いたいんだよ」

「だから、それを今から作るんでしょ」

「そう、そのために帰んなきゃだから離して」

「私が相馬くんの分も作るって言ってるのっ!」

「……は?」


え、なに、俺ここで食事することになってたの?

そんな話聞いてないんだけど。

食費浮くとしても嫌なんだけど。


いや、神谷の手料理は正直美味かったけど、だからといってここで、はい食べますとはならないんだよな。

そんな簡単に俺が屈すると思ってるのか。


俺は神谷の手を振りほどこうとするが離れない。

あれ? 思ったより力強くないですか?

振り解けないんだけど。


「リビングはあっちだよ」


俺が帰るために神谷の手を振りほどこうとしていると、神谷がリビングの方を指さしながら俺を引っ張ろうとする。

え、ちょ、なんでそんな余裕そうなんだよ。

こう見えて俺必死なんだけど。

仕方ない、力で抵抗できないなら言葉で抗議を唱えるしかない。


「俺、行きたいのはあっち。お前とは逆方向なの」


あっちと言ったが、一応力でも抵抗しているのでどっちに行きたいのか指さすことができなかった。

ほんとなんでこいつ男の俺より力強いんだよ。

足が速いとか体力あるとかは仕事に使うかもしれんから女優だからってことにしてたけど、力強いの関係なくない?

いるの? 最近の女優さんは力も強くないとダメになってんの?

最近って言っても前までも知らんけど。


「いいよ。じゃあ私もそっち行く。相馬くんがご飯作ってよ」


は? 帰らしてくれるじゃねーのかよ。

いや、帰らしてはくれるんだけどなんか素直帰れる感じじゃないんだよ。

なんで一緒にくるんですかね?

なんで一緒に食べる以外の選択肢準備してくれないんですかね?


俺は一人で帰りたいんだよ。

わかるかな? わかってくれないかな? わかってください。

だからその手を離してリビングの方に行ってください。

お互い一人で食事しようよ。


って考えててもいつも通り神谷には通じない。

何なら俺を連れて俺の家に行こうとしてるからね。

やめて、俺の意思尊重して。


抵抗をしてみるがやはり力では勝つことができない。

なんで? 俺ってそんなひ弱?

今まで誰とも比べたことなかったけど普通は女子に負けないよな?

俺がおかしいの? 神谷がおかしいの?


というか俺の家行っても二人分の食事準備できるかわかんないよ。

神谷が俺の家で食事することなんて考えてなかったからな。


神谷に必死の抵抗をしながらそのことを伝える。


「俺の家行ってもお前の食材ないぞ」

「なんで?」

「自分の分しか買ってないからな」


それぐらい言わなくてもわかれよ、と思うが無理矢理連行されても困るのでしっかりと伝える。

そのおかげでわかってくれたのか、神谷は俺を引っ張るのをやめた。

だったら手首掴むのもやめてほしい。

なんでずっと掴んでるんですかね?


「じゃあやっぱりここで食べるしかないね」


なぜそうなる。

家に俺一人分の食材ならちゃんとあるんだけど。

ここで食べなきゃいけないのはお前だけなんだけど。


「私が作ってあげるんだからその間ちゃんと待っててよ」

「嫌に決まってんだろ」

「手錠で繋いどけばいいか」

「おい、やめろ。つーか普通そんなもん持ってねぇよ」

「そりゃそうだよ。私も持ってないし」


こいつマジでふざけてるだろ。

全然冗談に聞こえないからな。

普段から演技されてるとほんとわかんねーからな。


俺を引っ張って神谷がリビングに連れてこうとする。

あっち行ったりそっち行ったり大変だな。

あ、神谷がじゃないぞ。連れられてる俺がだからな。


「なぁ、俺自分の家で食べたいんだけど」

「ここ、自分の家だと思っていいよ」

「いや、思わないからな」


何その嫁入りして一緒に暮らし始めたら言われるような言葉。

やめてくんない、俺とお前の将来にそんなことありえないんだけど。

そもそもそれ言うの親御さんだからな。


全然帰らしてくれないんだけど。

マジで俺ここで食べなきゃダメなわけ?

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[一言] この主人公まじうっとうしい、
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