058 僕たちは会話ができない
最後だけエミ視点です。
読みにくかったらすみません!
スマホに表示されているのは沢山の項目と、所々が抜けている出席番号だった。
「こんな事になっているとはな」
思わず声に出してしまう。
スマートフォンにはご丁寧に『ミッション詳細』『出席確認』とある。
出席番号は右下に小さく表示されているが『出席確認』をタップすると番号は大きくなる。
順に追っていくと――
1、2、3、6、8、11、12、15、16、18、19、23、29、31、32、34、35、38、40――これ一体何を表しているか。そんなものなんとなくで察しがついた。
俺が『出席確認』を表示したのを確認したのか、近藤さんが話を続ける。
「その出席番号は、こちらの世界に転移したクラスメートの生存状況を表しています」
「まぁそんな気はしてたよ……」
俺たちのクラスは40人ぴったり。
つまり現時点で21人が命を落としたという事。
半分以上も死んでしまったというのか。
「実感は湧かないと思いますが、紛れも無い事実です。転移したあとすぐに魔物に遭遇したり、盗賊に殺されたり……今ではクラスの過半数の人が亡くなってしまいました」
「確かに実感は無い……けどこれは知ることができてよかったよ。他のみんながどういう状況かもさっきまで知らなかったんだ」
「そう……そうですね」
どこか含みのある相槌を打つ近藤さんは、ため息を一つ何かを決心したかのように口を開く。
「ですが状況は松本君が考えているより深刻です」
「というと?」
「はい。実はこの22人の内の数人は同じクラスメイトに殺された、という可能性がある……いえ、あったのですがつい先日その可能性はほぼ濃厚であると判明しました」
ということは――いや、まさか。流石の奴らでも同級生を手にかけるとは思えない。
「北沢高陽君、信条正木君、堀内健人君、高梨優君、九条徹君は現在、クラスメイト数名の殺害の容疑により、私達『リタンズ』を含めた『リターンズ』に指名手配されています」
「……本当に殺したのか?」
あまりにも現実味が無いように思えるその言葉は、はいそうですかと信じることはできない。
それに『リターンズ』って。また新しい単語出てきたぞ。
「説明ばかりになってしまい申し訳無いのですが、まずは『リターンズ』について説明させて下さい」
迷わず首肯する。
「転移後、私達はこの世界で生き延びると共にクラスメイトを捜索していました。すると直ぐに見つけられることができました。簡単です皆王都へ集まっていたからです」
まぁ、なんとなく王都って集まりそうだしな。
それに人間の大陸で最も栄えているということはつまり最も情報が集まる場所だ。
皆の考えと行動力は一般の高校生から卓抜しすぎじゃないか?
「そこで私達は『リターンズ』を結成しました。目的は名前の通り地球に帰還する事です。そしてさらにこの組織を細分化しました。食料や金銭について扱う『経営部隊』、様々な任務を遂行する『行動部隊』。あ、これが私達『リタンズ』に当たります。最後にそれらを纏める『統括部隊』」
「なんかすげぇ」
「あまり理解できてないようですがまぁいいです」
なんかさらっと流されたのですが。
少し悲しいです。
「そもそもさ、地球に帰還するって言ってもどうやって帰るんだ?」
「あ、先に組織と北沢君達の話をさせて下さい」
順を追って説明するんだったな。
なんか水挿したみたいでごめんね。
「まず『リターンズ』の中心核である『統括部隊』ですが、リーダーは田中賢一君。彼からの連絡された事柄を遂行するのが私達の仕事です」
なるほど。かつて学級委員を務めており、勤勉な人柄である彼はリーダに相応しいだろう。
クラスメイトだった時は、その真面目すぎる性格が俺には合わず苦手意識は持っていたんだが。
「残念ながら連絡先の交換はその場であった人でないと出来ず、間接的には渡せないんです。ですから田中君から松本君に伝言があれば私が伝えましょう。彼は今別の大陸で調査をしている筈ですから。別に大した障害ではありませんよね?」
「そうだな。それでお願いするよ」
そういえばさっき近藤さんとは連絡先交換したんだったな。
他の三人は、多村さんの『別に舞美だけでいいじゃん』の一言によりとても交換できる雰囲気ではなかった為、断念した。
別にぃ、女の子の連絡先いっぱい持ってても困るだけだしぃ、全然全然全然気にして無いけどさ!
「はい。私からも田中君にお願いしておきますね。松本君が入れるように。恐らく大丈夫ですけど」
ん? 俺が入る?
「すまない、どういう意味?」
「ですから松本君も『リターンズ』に入れるように、リーダーにお願いしておきますねって言ったんです」
続けて「何をいまさら」と頬を膨らませながら不機嫌になる近藤さん。
「あー、気を悪くしたら悪いんだが……いや俺は別に組織に入りたいとか思ってないぞ?」
「え?」
「こっちでもぼっち貫くっての? 舞美がせっかく便宜を図ってあげてるのに……ほんと自分勝手な奴ね」
多村千佳のきげんがぐーんとさがった!!
効果はばつぐんだ!
「そ、そうでしたかてっきり仲間に入りたかったと思っていました。未知の世界で知り合いがいると言うのは安心感がありますから」
確かにそうかも知らんが、俺にとって安心できる友達なんていなかったからな。
それに――
「今は仲間もいるから俺は大丈夫だ。加えて俺は固有スキルも弱いし、足手まといになるだけだからさ」
「チッ」
多村千佳の顔が般若になった!!
効果はばつぐんだ!
「あぁ、やっぱそうなるかぁ」
申し訳なさそうにしている近藤さん、ガン飛ばしてくる多村さん、雰囲気に耐えかねてあわあわしてる赤原さんを見渡し水崎が溜息を吐く。
「松本さ。今日は引き上げてくんない? こんな空気じゃさ話にならんしさ」
「悪かったよ」
「久々に会ったし距離感もわかんねぇだろうし、日を改めるって事で。それに絶対知っておかないといけない事は舞美がちゃんと教えてくれるだろうし。な?」
「は、はい。勿論です」
「何から何までありがとな」
俺もわざとこんな空気にしてるわけじゃ無いんだが、配慮なくズケズケと言ってしまった部分がある。
近藤さん達には申し訳ない事をしたな。
「はい! 解散解散! 都合がついたらこっちから連絡するからまた来いよ松本」
そんな水崎さんの声で、なんとも言えない空気のまま近況報告会は幕を閉じたのだった。
◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎
「あるじ、誰探してるんスかねー? 見つかったんスかね?」
「知りません。ご主人様が私達に伝えなかったって言うことは必要がないと言う事です。気にしても仕方がありませんよ」
「マスターも気長に探すって言ってたし、そんなすぐには見つからないんじゃ無い?」
私達はご主人様に休暇を与えられ、三人で仲良く王都を観光している真っ最中です!
「でも以外ね。アタシてっきりエミはマスターの探し人が気になってると思ってたけど」
アリスがまた何か言っています。
こういう時まともに取り合うと面倒なので軽く流すのがポイントです。
「確かにそれは思ったッス!」
ミーシャはすぐ釣られるんですから。
「ご主人様を信じてますから」
「女の人を探してるかもね?」
ななななななんですってえぇぇえ??
そそそんなわけないです。
ご主人様の目には私達以外留まらないはずです!!
「顔に」
「出てるッスよ」
「嵌めましたねっ! こら、待ちなさいっ!」
「逃げるわよ(ッス)‼︎」
エミとミーシャにまんまと遊ばれてしまった私は、逃走する二人を追いかけます。
こんな時間も、悪くないなって感じながら。
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