055 武人、不憫な子っ!
宜しければ感想、ブックマーク等宜しくお願いしますっ!!
服を買ったり、北沢達を見かけたりと大忙しの休日を過ごした。
だが、今日もまた休日。
みんな大好き日曜日である。
折角の王都で初の記念すべき日曜日だ。
それぞれ自由に休日を楽しんでもらおうじゃ無いか。
まだ寝惚け眼の三人に、予定を伝える。
みんな喜ぶだろう。
「今日は日曜日だ。お小遣いを渡すからそれぞれ好きに遊んできていいよ」
しかし、想像とは違う反応が返ってくる。
「休日はご主人様と過ごしたいです……」
「一人ですることなんて思い付かないわよ」
「魚食べに行くッス」
「え?」
前言撤回。ミーシャは予想通りの反応だった。
女の子だから喜んで買い物に行くものだと思っていたのだが、少し安直だったか?
「ミーシャはそれでいいとして、エミとアリスは王都でやりたい事とかないのか?」
「ご主人様とご一緒できればそれでいいです」
「アタシもパッと思い付かないけど……適当に回ってみるくらいしかないわね」
エミはブレないな。
アリスももっとアクティブに動くイメージがあったけどな。
「アリス。気になるところが見つかれば遊んでみればいいんじゃないか?」
「ええ。そうするわ」
アリスは俺の提案を首肯する。
「エミも何でもしたい事すればいいんだぞ? 明日からまた五日間は忙しくなる。アクセサリーを見たりとか」
「そうですね。ですが進んで一人で行動するとご主人様にご迷惑が……」
少し悲しそうに言うエミを見て、自分の失言に気が付いた。
ダークエルフは一般的に良い印象がない。それに珍しい。
万が一の為に、アリスと俺で種族に関しての認識阻害の魔法やスキルを付与している。しかし、金目当てに人さらいに会うかもしれない。
エミはそのことを気にして、俺にも気を使ってくれていたのか。
「すまない、考えが足りていなかった」
「大丈夫ですよ。ご主人様が私にそのような点で気にされてないと理解してますし、それを実感できます。それに何より嬉しいですから」
本当に良い子だ。
どうしようかと悩んでいると、アリスが鼻を鳴らす。
「別にバラバラで行動しなくてもいいんじゃない? エミはアタシと行動すればいいでしょ。それにミーシャだけって言うのも少し不安だし」
確かにミーシャは戦闘力が低いし、事件に巻き込まれでもしたら危険だ。
この辺の考えがまだまだ甘いな。
これからはその辺にも注意しながら指示を出さないと。
「三人で行動すれば安全だな。エミとミーシャもそれでいいか?」
「はい」「らじゃーッス」
皆納得したようだし、解散にしよう――
「ご主人様は一緒に行動されないのですか?」
「あぁ。今日は少しやっておきたい事があってな。三人で楽しんできていいぞ」
エミに三人分のお小遣いを入れている袋を手渡す。
「やりたい事……ですか?」
「そうだ。ちょっくら人探しを、な」
すぐに見つかるとは思わないが、人の集まるところで情報収集から始める予定だ。
もちろん目標は、クラスメイト。
暴力的なやつ以外なら誰でもいいから一度会っておきたい。
そんな都合よく会えるとは思ってないけどな。
「誰を探すのよ?」
「ミーシャの為に魚屋さんの職人とかッスか?」
相変わらずだなミーシャよ。
まぁ誰って聞かれると答えに困るが――
「知り合い探し、かな?」
「「「……?」」」
三人とも頭上にハテナマークを浮かばせていた。
◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎
「とは言ったもののどこから探せばいいのやら」
クラスメイトを探す為に、三人と別行動を取っている俺は途方に暮れている真っ最中だ。
確か前にエミに聞いたことがある。異世界人には勇者として召喚される人間と、迷い人としてこの世界に迷い込む人間。
もしかすると、俺のように迷い人としてこの世界に来た奴と勇者として召喚された奴のどちらもいるかも知れないな。
まずは勇者と接触してみるか。
「失敗したな。勇者に関しての予備知識をエミたちに聞いておくんだった」
こちらの常識が無い俺からしたら、情報収集も一からしなければならない。
――まずは異世界人である勇者に接触することから始めるか。
「すみません、王都で勇者に会うには何処へ行けばいいですか?」
恥を捨てて目の前にいたおじさんに質問する。
「なんだい兄さん。田舎者かい?勇者様は今国の依頼で他の町へ行かれてるはずだよ」
そうか。初っ端から積んでしまったか。
おじさんはさらに続ける。
「別に王都にきたら勇者に会えるなんてわけじゃ無いんだ。そもそも王都に止まる事の方が少ない。兄さんみたいな田舎者はよくそう勘違いして来るからな。残念だろうが諦めてくれ」
「なら勇者に会ったことはありますか? どんな方たちだったか教えて欲しいんですが」
彼らの特徴を知っておきたい。
異世界人という確証も持っておきたいしな。
「あー、会ったっていうか前に王都で凱旋パレードした時に見たことはあるぜ。異世界人ってこともあって珍しい黒髪だった。お、ちょうど兄さんと同じだな」
「あははは。僕も生まれつき黒髪なんですよね」
「へぇ、珍しいな。勇者様みたいでかっこいいじゃ無いか。羨ましいぜ」
「あはははははは」
渇いた笑いになってしまう。俺も異世界人とバレた暁には、また面倒くさい事になりそうだ。
「まぁ、残念かもしれんが勇者様達と会うのは難しいだろうな。なんか探している理由とかあるのか?」
学友かもしれないんですぅ、なんて言えないしな。
なんかそれらしい言い訳ないかな。
「大した理由じゃないです。同じ黒髪の人を見てみたいって安直な考えですよ」
「そうか。兄さんも色々と大変だったんだな……」
え、何ですか急に。
何処か遠くの景色を見るような、暖かな目でこちらを見てくる。
「な、何か?」
「いや、その黒髪が原因でいじめられてたんじゃないかと思ってな。黒髪は国民の憧れでもある。それと同時に嫉妬もあるだろう。きっといいことばかりじゃ無いはずだ」
勘違いで哀れまれてるよ。不憫な子だな、俺っ!
「そ、そんなところです」
もうそれでいいよ。弁解するのも一苦労だしな。
「勇者様に会いたがってる理由はわかった。なら『リタンズ』に会いに行けばいい」
はてはて、知らない名前が出てきたぞ。
「その反応だと知らないんだな? 『リタンズ』ってのはパーティーの名前だ。それもランクSSの」
「SS⁈」
SSと言ったら上から三番目のクラスだ。そんな高いランクまで登り詰めたパーティー……一体どれほどの実力者なんだ?
「こっからが本題なんだけどよ。その『リタンズ』のメンバーは四人で全員が黒髪なんだ」
「そんなことが」
「そうなんだよ。それもそのはず、『リタンズ』のメンバーは全員、勇者様たちと同じ異世界人なんだぜ」
なんだと?! まさか情報を集め始めて1人目でこんな情報が手に入るなんて。
「何処に行けば会えるんですか⁈」
「おいおい必死だな。ギルドに紹介してもらいな。会いたいって理由で申請出しても通らないかもしれないから、何か適当に理由を付けて、な?」
「ありがとうございます! 早速行ってきます!」
早く会いに行こう。クラスメイトなら転移してからどうなったか、とにかく情報が欲しい。それに北沢達の言っていたことも気になる。
そうじゃなくても同じ異世界人だ色々と聞けることがあるかもしれない。
「自分を認めてやれるようになれよ! 達者でな、兄さん!」
「はい!」
色々と誤解されたままだが、そんなことはどうだっていい。
俺は久しぶりの全速力でギルドへと向かうのだった。
果たしてクラスメイトに会えるのか!?
次回は早めに投稿する予定ですのでよろしくお願いします。




