051 イッタイアタマガァァァッ!!
遅くなりました。すみません。
昨晩は色々あったが、とりあえずしなければならないことがある。
いや。正確に表現するなら、しなければならなかったけど忘れていたことがある……だ。
その為に俺達は今日も朝からギルドへ来ていた。
いつもと違うのは、ミーシャもいるということだ。
「まさか忘れると思ってなかったな」
ド忘れとはまさにこのことだな。
「王都へ着いて諸々の確認をするため、すぐにクエストを受けてしまったのがいけなかったですね」
「まぁ、いいんじゃない? すぐにしなきゃ絶対駄目なことでもないんだし」
エミとアリスがフォローしてくる。
君たち優しいなぁ。
「なんか緊張するッス」
ミーシャは緊張してるらしい。
そう、俺達が忘れていたこととは――
「よし、ミーシャ。パーティー登録するぞ」
「はははははいッス!」
そう、仲間になったミーシャをパーティーに登録してなかったのである。
ミーシャを手に入れてすぐに王都へ出発してしまったから、してしまっていたように思ってたよ。
後、ミーシャ。どんだけ緊張してんだ。
「別にそんな緊張しなくても……」
「何かするってわけじゃないのよ」
「それは分かってるッスけど」
エミとアリスの言う通り。別に試験や何やを受ける必要はない。
ギルドでは、非戦闘員をパーティーに加える――つまり名前を置くだけの場合、特に原則としてしなければならない事はない。
まぁ、それを破ったら罰則はあったと思うけど。
もちろん戦闘員は、場合によって筆記試験や技術試験を受けなければならない。
これは当たり前だ。Dランクの人間がAランクのパーティーのクエストに混ざっても危険なだけだ。
これにも色々規則があって、ランクが一つ下だったら無条件でパーティーになれるとか色々だ。
今回に関しては、非戦闘員としてのミーシャなのでこれらの心配は何一つ無い。
「ほら、さっさと行くぞ」
「やっぱなんか怖くて嫌ッスぅ! ミーシャおうち帰るッスぅ!」
「わかったわかった。はーい行くぞぉ」
「待ってくださいッス! 心の準備が……」
嫌がるミーシャを引きずる形でパーティー登録をしに受付へと向かった。
◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎
「な、なんか疲れたッス」
「ミーシャが受付嬢に書いて貰えばいいのに、自分で書くとか言い出すからだろ……」
この世界の識字率は低い。その為、ギルドでは口頭で伝えて書類を書いてもらうこともできる。
正直紙に書くのとか面倒くさいし、とっても楽な方法なのである。
だがミーシャは自分で書くの一点張り。
「書いて貰えばいいじゃないか」と言うのだが、「嘘書かれるかも知れないッス。自分が一番信じられるッス」と意見を曲げる事はなかった。
確かにあの量の紙を書くのは大変だっただろう。
でもやっぱり、国が運営してるギルド組合は信頼してもいいと思うけどなぁ。
この考えも甘いのかな?
「お疲れ。今度美味しい魚買ってやるから」
「ほんとッスか⁈」
あ、チョロいぞ。
ていうか紙書いてしばらく経ったし、そろそろアレが始まるぞ。もう俺の中では三回目だというアレが。
っく! 来たぞ。
《 【年功序列】の条件「合計年齢」による報酬を受け取りました》
《 【年功序列】の条件「合計レベル」による報酬を受け取りました》
《 【年功序列】の条件「合計種族数」による報酬を受け取りました》
――あれ? これだけか?
そうだった、以前はエミやアリスで年齢とレベルが異常で、報酬は多いが死ぬほど長かった。
今回はミーシャだ。レベルも年齢も一番俺に近い。だから受け取る報酬は少ないけど短く済んだってことか。
はぁ、良かった。いつの間にやら、【年功序列】の発動の際に身構えるようになってしまっていた。
人目のある場所ではステータスを落ち着いて見ることもできないので、俺達は宿へとすぐに帰った。
どうせ今日はステータスやアイテムを確認するだけにしようと思っていたし、お休みにするか。
そう決めながら、ベッドに腰掛けながらステータスを確認する。
「ステータスオープン」
<名前> タケト=マツモト
<種族> 人族
<年齢> 17
< LV >79
<HP>90000/90000
<MP>600500/60500
<攻撃力>69500
<防御力>69500
<素早さ>69500
<命中率>69500
<会心率>69500
<魔攻力>69500
<精神力>7534000
装備:下着一式、私服一式、アイテムポーチ
所有金額:863894エン
スキル:【超解析】【鷹の目】【顕微鏡】【聖剣術Ⅱ】【体術Ⅱ】【隠蔽】【自由制御】【生活魔法Ⅲ】【回復魔法Ⅴ】【火魔法Ⅴ】【水魔法Ⅴ】【雷魔法Ⅴ】【風魔法Ⅴ】【土魔法Ⅴ】【聖魔法IV】【闇魔法IV】【虚魔法Ⅲ】【性魔法Ⅴ】【空間魔法Ⅴ】【古代魔法Ⅲ】【自学自習】【超頭脳】【暴飲暴食】【超生成】【無効化III】【咆哮】【優等生】【自在魔法】【錬金術Ⅳ】【切磋琢磨】【経験値効率上昇】【吸収】【使役】【確率向上】【勘向上】【受け身】【縮地】【危機察知】【加速】【減速】【超加速】
固有スキル:【年功序列】
簡易設定:【自動換金 ON】【簡易表示 OFF】
新しく増えたスキルは【超加速】のみか。
名前から分かりやすいな。もうどんなスキルか大体想像着く。
ならアイテムの方はどうか。
【アイテムポーチ】
数学の教科書、化学の教科書、物理の教科書、古典の教科書、筆箱(シャーペン、消しゴム、物差し、予備の消しゴム予備のシャーペン)、スマートフォン、電子辞書、水筒、弁当箱(空)、私服一式(女用)×2、私服一式(男用)×5、防具1式、賢者の石、不思議なラムネ×99、夢のデート券×99、異世界で最も易しい魔法教本、異世界で最も易しい料理教本、異世界で最も易しい図工教本、異世界で最も易しい栽培教本、異世界で最も易しい学問教本、民族衣装図鑑、忠誠の腕輪×99、カップラーメン×85、インスタントコーヒー×92、エルフの木彫、簡易トイレ×99、お風呂セット×99、マタタビ×99、シュラフ×99、歯ブラシ×99
マタタビって……ミーシャに使うしか使い道がないんだよなぁ。今度試してみよう。
シュラフってなんだ?
少し意識を向けて見る。
シュラフ:寝袋。
へぇ。へぇへぇへぇ。
個人的にはへぇボタンが欲しいくらいの知識だな。
後は歯ブラシ。
こっちの世界の歯ブラシは粗品が多くてうんざりしてたし、ラッキーだな。
…………前から気にしないようにしてたんだけどさ、今回だけは言わせて欲しい。
いや99個もいらないよっ!
多すぎるんだよっ!
はぁ、はぁ。
歯ブラシ×99ってなんだよ。なんかよくわかんなくなってきたぞ。
「ご主人様?」
俺がうんうん言っていたのか心配してくるエミ。
「これがパーティーに加わった時のあるじッスか。話には聞いていたッスけど、やばいッスね」
「でもマスターもスキルの影響を受けているだけだから、許してあげて」
「それはもちろんッス。変なあるじでも、ミーシャは尽くすッスよ」
やめて。辛辣な気持ちになっちゃうから!
「すまない。もう落ち着いた」
アリスとミーシャはスルーして、エミに返事する。
「そうですか。ステータスとアイテムの方はどうでした?」
「正直、ミーシャは俺のスキルと噛み合ってない部分が大きくてあまり報酬はなかった。ただ、これが普通なんだよな。エミとアリスが特殊だったから恩恵が大きかっただけで」
そう、別にミーシャが役に立たないとかではない。物事には噛み合いの良いもの悪いものがある。今回はたまたまミーシャが噛み合わなかっただけの話。
「そうですか。とにかくお疲れ様です」
スキルの影響での俺の体調をまだ心配しているのか、そんな言葉をかけてくる。
エミ。君はずっとできるヒロインだね。
今日はもうフリーにすると決めていたので、とりあえず昼食を済ませるとしよう。
「号外号外号外ぃ!」
唐突に、下から男の大きな声が聞こえてきた。
「号外なんて珍しいッスね」
そもそもこの世界にもその概念あるんだ。
「マスター、一応貰いに行きましょ?」
「ご主人様、私、気になります……」
「わかった。行ってみよう」
四人で宿の外へ受け取りに行く――が、人混みができていた。
「号外ってそんな人気なの?」
「皆んな刺激を求めてるってことッス。大体こうなるッス」
「ここはアタシの出番ね!」
そう言い残し、アリスは唐突に人混みに飛び込んでいった。
なるほど言うだけあって、小さな体を駆使して入り込んで行った。
「はいっ。おまたせ」
笑顔で号外を持ってきたアリスは、物凄いドヤ顔だった。そう言うところ可愛いのよこの子。
「えぇ、なになに」
その号外を四人で囲み広げて見ると――
『エルフと魔族が手を組んだ! 新しいダンジョン建設を共同で進めていた事を明らかに!』
なるほど。よく分からん。




