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022 エロ同人誌みたいにっ!

ハートひとつ付けるとこんなにも――いえ、なんでもないです。

  宿に戻ると早速スキルレベルを上げるための特訓を開始する。


「いいねぇ、いいねぇ! 乗ってきたよっ! ああ、そうだ、そこだよっ! うっはぁ〜攻めるねぇ〜」


 部屋に嬉々とした女性の声が響く。


「あっ♡ ご主人様ぁ、ダメれすぅ♡ あぁ、幸せぇ! ご主人様にいっぱい触られてぇ♡ おかしくなっちゃうよぉぉ!」


「ふむふむ、ここが太ももだな。そしてこのまま登頂すればこの弾力、すべすべで吸い付くような肌、エミの感度から総合的判断でお尻と断定」


 俺が冷静な判断をすると、


「正解だよっ! いいねぇ! アタシ、テンション上がってきたわぁ。そう、そのまま次は鎖骨まで登るのよ。迷ってはダメ!」


 その声は更なる試練を与えてくる。


「わかりました。師匠!」


「っあぁ! ご主人様ぁ♡」


 冒頭から誤解される会話をしている俺たちだが、決していやらしい行為をしている訳ではない。あくまでも今後のたm――


「あぁ♡」


 今後のt――


「ひゃうぅっ♡」


 今後n――「らめえええええぇぇぇっ!!」


「おいエミ」


「はい、どうされましたご主人様?」


「お前わざと声出してるだろ?」


「はい、気持ちいいのは事実だし、楽しくなってきたので……」


「そうか」


 話を戻そう。これは色事(そういう事)ではなく、特訓の一貫だ。【自学自習】のスキルのお陰で他人に教えてもらわなくても独力でスキルの向上を目指せるようになったからだ。


 そして先程からの行為、決して色事などでは無いが、この瞬間誰かが扉を覗いたならば確実に誤解されるだろう。


 それは現在俺の行っている特訓が「目隠しをして裸のエミの体を撫で回すこと」の他ならないからだ。

 え? それはもう『逆目隠しプレイ』という名の立派な色事だって? 馬鹿言うな。これは空間魔法の特訓だ。


「じゃ、今日はここまでにしておこうかねぇ!」


「師匠! ありがとうございましたっ! 明日もよろしくお願いしますっ!」


「あいよー!」


 師匠と呼ばれた『もの』は俺のアイテムポーチに収納され、姿を消した。

 俺はベッドではぁはぁと荒い息をして倒れているエミに(ねぎら)いの言葉をかけた。


「いつもありがとな、エミ。落ち着いたら一緒に風呂入ろうな」


「はい、ご褒美に今晩も激しく抱いてくださいね」


「おうっ! 任せろ。そっちが毎日の本番(おめあて)であり俺のご褒美でもあるからな」


 会話だけ聞くと先程まで楽しんでいたのに夜も致すのかと呆れる者もいるだろうが、何度も言おう。さっきのは特訓だと。


 この誤解を解くためにはなんとなしに師匠と出会いを果たしてしまった夜まで遡らなければならない。



 ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎




「【年功序列】の報酬アイテムは不思議なラムネが最高額だが、俺的にはインスタントコーヒーとカップラーメンが最良かな」


「どうされました? ご主人様が嬉しそうです!」


「新しいアイテムの中に俺の故郷の食べ物があったんだ。今度エミも一緒に食べような」


「ご主人様の故郷の料理······ゴクリ」


 どうやらエミは相当期待しているらしい。


「まぁ、簡易食料だからそこまで美味しいかはわからんぞ。多分コーヒーはエミは飲めないだろうな」


 この【異世界】にはコーヒーという飲み物は残念ながら存在しない。おそらくこちら側の人間が飲んでも美味だと感じることはないだろう。


「でも挑戦はさせて下さい」


「そうだな。無理でも俺はコーヒー、エミは紅茶でティータイムと洒落こもうじゃないか!」


「てぃーたいむですか?」


 おっとティータイムも存在しないのか。


「ティータイムってのは簡単に言うと、お菓子を食べながらコーヒーとか紅茶の飲み物を片手に優雅にお話して時間(とき)を過ごすことだよ」


「やりますっ! ティータイムやりますっ! ご主人様とゆっくりお話······優雅に·······ふたりで······ふふふ」


 あちゃー、エミが向こうの世界に行ってしまった。


 特段することもないため、アイテムポーチで新しいアイテム欄を眺める。


 何か役に立ちそうなものはないか。


 エミとパーティを組んでからその恩恵として多くのアイテムを手にしたが、説明を読んでもよく分からないものが多い。


「にしても教本のシリーズ多いな。どれどれ、『異世界で最も易しい魔法教本』ねぇ」


 アイテムポーチの欄を眺めながら、ふと部屋の方に焦点を戻す。


 うーん。ちょっと散らかってきたな。

 机の上には普段使っている武器や防具が散乱しているし、ひらきっのクローゼットには服が無造作に詰め込まれている。


「片付けるか」


「分かりました! 片付けましょうか」


 いつの間にかこっちの世界に戻ってきたエミが元気よく返事をする。


 そしてここでお片付けタイム。そう言えば異世界に来る前から部屋は散らかってたな。


 エミも俺も、家事全般が大の苦手なのだ。


 あらかた散らばったものを整理して、さっきまで確認していた教本も部屋に置いておこうと引き出しを開くと――


「なんだこれ」


 引き出しには先客がいた。

 中には分厚く表紙は赤い辞書のようなものが入っている。


 その上には千切られた紙が乗っており、『俺には使い方が分からなかった。欲しい人がいれば持って行ってくれ』と書かれている。


「誰かの忘れ物でしょうか」


「俺にもわからないけど、多分前の人が置いていったんじゃないか? ほら紙に書いてあるし」


「本当ですね」


 後ろから背伸びして覗き込むようにエミが確認した。


 危険なものでは無さそうだが、警戒しようにも触らないことにはどうしようもない。

 とりあえず持ち上げてみる。タイトルは無さそうだ。


「うわ、結構分厚いし重いな」


「重そうですね。私が代わりにお持ちしますよ」


「いや、重いが助けがいるほど重いわけじゃない。取り敢えず見てみるか」


 辞書を開きふたりで覗き込むと······文字は書かれておらず白紙だった。


「え? 何も書いてないんだけど」


「この辞書は重いだけで役に立ちませんね」


「そうだな、重いだけだし捨てるか。代わりに俺の新しく貰った教本シリーズでも入れとくか」


 なんとも言えない微妙な空気になってしまった。俺はアイテムポーチにその辞書を収納しようとすると、


「重い重い重い重い重い重いうるさいんじゃあああああああああああああ!! アンタらレディに対して失礼やと思わんのかっ!!」


 何処からか女の怒涛が部屋に響き渡る。


「だ、誰だ?!」


「ご主人様、お下がり下さい。私の命にかえても守ってみせます!」


 俺とエミは警戒態勢に入りふたりで背を合わせ何処からか襲われても大丈夫な体制をとった。


「失礼な奴らだねっ! アタシはここだよ」


 声のする方を振り返ると、そこには宙に浮いてパタパタと羽ばたいている『赤い辞書』がいた。

新キャラと言っていいのかわからないのが出てきてしまいましたね。

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