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017 だから僕は〇ができない 〜シンクロ率計測不能〜

「まぁ、そんな感じです」


「急に軽いな?!」


 エミの過去について色々と話して貰ったが人体実験とか種族差別とか延命治療(数千年単位)とかまさにファンタジーって感じだ。正直言って「はいそうですか」と信じられるレベルではない。


「長湯になっちゃったし上がるか」


「そうですね」


 エミは俺の目の前でザバッと立ち上がる。


「っ馬鹿! 丸見えだっ!」


「ご主人様になら見られても平気です」


 湯船には入浴剤を入れているから安全だったが遮る物がなければ思わず見てしまうのは思春期の男としては必至。俺はそれでも涙を流し背を向ける。


 俺の息子はまだ見たいらしいがそこは勘弁してくれてマイサンよ。


「ご主人様?」


「さ、先に上がっててくれ!後五分ほど浸かってくから」


「そうですか? では失礼して」


 エミが出ていったのを確認してから俺は自分を沈める。これは義務だと言っても過言じゃない。


 風呂から上がると寄り添ってベッドに腰を下ろし、エミと話の続きをした。


「まさかそんなに壮大な人生だとは思わなかった。普通のダークエルフの寿命はどれくらいなんだ?」


「エルフ、ハイエルフと同じで1500年と言われています。ちなみにハイエルフはその倍です」


 ということは現時点でダークエルフの平均寿命を大幅に超えてしまっている。体へのダメージは相当大きなものになりそうだ。


「エミの脳には異常はないの? ほら、負荷的なさ」


「老婆さんは心配はないと言ってくれました」


「そうか、その老婆さんはその施設を潰そうとしてたのか? それとも·····」


 俺の聞きたいことを察したのかエミは頷き、再び続ける。


「ええ、施設の処分場で運良く生き残った者達を育てて、自立させるのを目的に活動していました。私のいた七年間には生存者はいませんでしたが」


「それは処分場の時点で死んでいたと?」


「はい」


 使うだけ使って用済みになったら捨てるって何様のつもりなんだあいつらは。


「老婆さんは初め施設の破壊を計画したのですが協力者も得られず決行するに至らなかったそうです」


「なぜ?」


 誰かひとりくらい協力しそうなもんだが、と疑問を口にすると。


「それだけダークエルフは蔑まれている存在なんですよ」


 俺は絶句した。


「······そんな! エミたちは何もしてないのに」


「ご主人様がそう思って下さるだけでも私は幸せ者です。それにあの施設だけを潰してもあまり意味は無いですし」


 確かに他にもあると考えれば、ひとつひとつ潰していったとしてどれだけの時間がかかるか。それに危険も増す。


「今の俺達には難しいな」


「ご主人様?」


 知らないうちに声に出していたようだ。


「いや、俺達が物凄く強くなって、仲間も増えて、安全が確保されれば、お前の同胞達を救ってやることも、施設を全てぶち壊してやることもできるかもなって思っただけだ」


「そこまで······ありがとうございます。本当に感謝の気持ちしかありません」


「まぁ、好きな人が悲しむ顔は見たくないしな」


 さっきまで泣かせていた癖にどの口がいうんだと自分にツッコミを入れつつ、ベッドに寝転ぶ。エミも隣に寄り添ってくる。


「ご主人様、聞いてもいいですか?」


「ああ、答えられる範囲ならな」


「初めて奴隷を購入しようとした時、一緒に冒険者をさせる目的とは別に、情報を得る目的もあったのでは?」


「よくわかったな、俺は一般常識が抜け落ちてることが多いから補おうと思ってたんだ」


「はい、私への接し方から始まり多くの不自然な点がありましたのでなんとなく······」


 流石は聡明なエミだ、というより俺がわかりやすいだけなのか?


「なるほどな。その辺の話はその内にするとして、もう一つの理由がある」


 エミが不思議そうな顔をしたので、焦らさずにその理由を放つ。


「いずれこの街を出る時に他の土地の情報とかも必要になるしな」


「ここに留まるつもりはないのですか?」


「今のとこは色々な所に行ってみたいと思ってる」


 それを聞くと声を弾ませるエミ。


「そうですか、私の夢も叶いそうです」


 そうか、確かエミの夢は世界中の未知を見に行くことだっけ?


「お腹いっぱいになるまで連れてってやるよ」


「それは楽しみです」


「楽しみにしてろ」


 本当に嬉しそうだ。見てるこっちまで嬉しくなってしまう。


 ここでエミが、真剣な顔で進言してきた。


「この街を出る際にはもう1人奴隷を連れた方がいいと思います」


「ん?」


「私はご主人様の欲しかった情報の殆どを持っていません。私の常識は七年間で詰め込んだ偏った知識だけなので」


「なるほどな、次は高額な獣人を買う予定だったからちょうどよかった」


「高額······ですか?」


 エミが顔を顰めた――ような気がしただけだきっと。


「まぁ、前回奴隷には金を惜しんだらダメだって教わったことがあってな」


 見慣れた天井を見つめながら前回の失敗を反省する。金をかけるほど可愛い獣人を手に入れることができるからな。


「ご主人様もやはり獣人がお好きなのでしょうか」


「そりゃお前あのふさふさのケモミミをモフモフしながら毎晩過ごしたいと思うのは万国老若男女問わず全人類の夢と希望だろっ!」


 いかんいかん、つい熱く語ってしまった。


「昔から愛玩用として重宝されていますもんね」


「まぁ、あの魅力を昔の人も理解しているってことは少なくとも話の通じる相手だな。俺がタイムスリップしても向こうで上手くやってくことができる自身すら芽生えるぜっ!」


 やはりケモミミは至高。いや、可愛いは正義なのだっ!


「……ジー」


「およ?」


 どうしたんだろうか、エミがジト目でこっちを見ている。


「あの、エミさんや?」


「……ジー」


 口調を変えても変化なしどうしたんだ?!


「おーい! エミー?·····っは!まさか嫉妬?!」


「っ!」


 エミさん顔を真っ赤にして布団の中に立てこもりました。どうやら未知の後輩獣人奴隷に対して嫉妬している模様。ぐうかわですわぁ。


 俺は布団ごとエミを抱きしめると、「エミのことは大好きだから安心して」と囁いて電気を消した。


「おやすみ」


 声を掛けても返事がない。フォローはしたつもりだったけど······明日には機嫌も治ってるでしょ。そう思って夢の世界への扉を開······けない。


 エミが馬乗りで俺に抱きついてきたからだ。


「ご主人様!新しい奴隷には文句言いません。でもその代わり今日から毎晩、だ……うぅ」


「だ?」


「だ、抱いて下さいっ!!」


 エミの声が一瞬にして部屋に吸い込まれ、静寂が訪れる。


 部屋が暗くて表情が見えないけど声で分かる、これガチなやつやん。


「先に断っとくけどエミを奴隷にしたのは俺のスキルのため。利己的な考えで購入したんだよ?好意を抱いてくれるのは嬉しいけどそんな奴に抱かれるなんて……」


「そんなの当たり前ですっ! メリットのない奴隷を購入する人なんていません!」


「えぇ?! で、でもエミを助けたから刷り込み要素的なもので好きなんだって勘違いしてるかも……」


「さっき好きになる経緯も説明したじゃないですかっ! 別にそれでいいです」


 咄嗟に用意した退路は塞がれてしまった。となれば······。


「い、いいんすか? 俺一応男なんでこっから先は歯止め聞かないですけど?」


 シュルルッと衣擦れの音に思わず生唾を飲む。


「歯止めかけさせる気、ありませんから」


 暗闇に慣れてきた視界に映ったのは小悪魔のように艶めかしく魅力的に微笑むエミだった。据え膳食わぬは男の恥ともいうし······致し方ない。


 理性は吹っ飛び我慢できずに抱き寄せお世辞にも豊満とは言えない双丘を登り詰める。


「んぁっ、ご主人様······ごめんなさい。私大きさには自信がありません······」


 骨の髄まで響くそんな声を出されてはもっと聞きたくなってしまう。


 それに大きさなんて必要ない。なぜなら俺は――


「エミ、俺はヒンヌー教徒だから大丈夫だ」


「んっ、ぁ、ひ、ヒンヌー教?」


「俺は貧乳、もといちっぱいを愛しているのだっ!」


 高らかな宣言をした俺に、エミは嬉しそうに抱きついてくる。


「私は幸せ者です······」


 ロマンチックな場面になりそうと思ったか? そんな事言われても男は普通欲望を優先する。キザな言葉を返す余裕なんて今の俺にはない!


「俺もだー! ふがー!」


 1匹の野獣が世に放たれた。夜は、長い。


ムフフーな性活ー。ハッスルライフー。

すみませんでした。忘れてください。

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