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015 白馬に乗った王子様ってワケにはいかねぇけどね

今回は短めです。

「こういうのしか残っておりませんので」


「まぁ、見るだけ見てみよう」


 部屋の奥からそんな声が聞こえました。お客様でしょうか。とはいえそんなこと私には関係ありません。

 しかしその声は段々と近づいてきて遂に私の前で止まりました。


 奴隷商人の横には先ほどの声の主と思われる少し背の高い何の変哲もない男性でした。目が合うと彼は私の見間違えでしょうが嬉しそうな表情を浮かべました。そして彼は私のことを真剣な眼差しで見てきました。


「この子は?」


「これはですね、商品じゃないんですよ。ついさっき森で拾われてきたんですがね、顔はいいんですが体の方が……」


「他のものと変わらないように見えるが?」


「外見上はそうなんですが内臓の有様が酷くてですね。ここまでくると治療費が莫大かかるのでとても商品になりそうもなくて。さらにダークエルフってこともあって現在処分待ちなんですよ」


 私のことをそのまま暫く見つめてきてそして……吹き出しました。


「お客様!?」


「ああ、すまない。大丈夫だ」


 奴隷商人が彼のことを気遣って言葉をかけています。しかし大丈夫でしょうか。


 なんというか、吹き出されたのは馬鹿にしたとかではなく、純粋に驚いたという印象を持ちました。


 少し不思議な人な気がしてきました。


「すまないが、その、この子の年はわかるか?」


「すみません、売り物にならないと思ったので何も調べておりません。みたところで18くらいかと」


「そうか、随分弱そうだが?」


「はい。特にこれといって使えそうな能力を持っているように見えませんので条件を満たすのは厳しいかと思いますが」


  暫く考え込んでまた嬉しそうな表情を見せて私の目を見て言い放ちました。


「買おう」


「はい?」


「いくらで買える?」


「この子をですか!?」


「そう言っている」


「いいんですか? 本当に」


「ただし高くは出さん」


「貰ってくれるなら無料で差し上げたいのも山々何ですが、規則上値段はつけなけはばいけませんので……銀貨5枚でどうでしょう? それでもこっちとしては処理代が浮くので儲けものです」


「わかった」


  私は驚きのあまり何の反応もできませんでした。


 まぁ、反応しようにも一年間過酷な生活を強いられて心も体もズタズタになってしまい、声を上げることも大変ですけどね。


 まだ限られた少しの人としか接してない私でもわかります。


 彼は考えた上でダークエルフを購入すると決めました。それは一般から外れた、異常な行動です。


 恐らくほとんどの人達は最初にあった男性4人組のような反応をするのが普通の筈なんです。


 それに、彼を見ても私に対して負の感情を抱いていないように見えます。


「では血を少し頂けますか?」


  血を垂らすところを見ながらその男性は少し嬉しそうな表情を浮かべました。やはり血を見るのが好きな野蛮な方なのでしょうか。


「これで完了です。またのご来店をお待ちしております」


「今度は高めのやつを買いにくるかもしれん」


「マツモト様には必ず割引させて頂きます。どうかご贔屓に」


「それは助かるな」


  なんにせよ今日から私のご主人様となる方です。挨拶をしなければと近づこうとするとうまく体のバランスを保てません。久しぶりに立ち上がったからでしょう。


「今日から俺はお前の主人だ。呼び方はエミでいいか?」


「……」


  彼がいつ何処で私の名前を知ったのでしょう。急に名前を呼ばれたことに驚いて少しの時間固まってしまいました。


 そしてその疑問を尋ねるべく声を出そうとしますが思うように声が出ません。


「声が出ないのか?」


 此処で嘘をついても無駄だと思い正直にコクリ、と首を縦に降ります。


「まずはエミの体の治療をしたいからついてきてくれるか?」


  治療とは回復魔法のことでしょうか。確か回復魔法が使えるのは小さい頃から魔法を習っている一部の貴族か神官か神官に教わった人の僅かしかいないはずです。私のご主人様もどこぞの貴族か様なのでしょうか。


 それともお金を払って治癒院にでも行くのでしょうか。それでも決して小さな額では払えないはずです。


 彼は何者なのか。そんな疑問が膨らみ、それと同時に少しの不安も持ちます。


「腹が減ってるだろう。俺の止まっている宿の飯はうまいんだ。まずは栄養を取ることから始めような」


  ただ、そんな彼の穏やかな声に私は無意識に手に力を入れていました。

次がエミsideラストになります。

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