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詩*見つめて*

青のこと

作者: a i o

空を(ぬぐ)って青を盗んだ


空ではあんなに真っ直ぐでいたのに

僕の手のひらで青はさみしく揺れたから

僕は布団に潜り込んでそれをそっと抱きしめた


青はひんやりと冷たかった

どんなやりきれなさを染めたのか

こぽこぽと泣いているようだった

僕は伸びた爪が当たらないように

青をそっと撫でてみた


青は随分頼りなかった

いつも誰かの目に

自分を映しては覗き込んでいた

雲の影を嫌って僕の胸元に隠れたりもした

跳ね返すより仕舞い込むような色だと思ったから

僕は青をハンカチに染めて

それを大事に仕舞い込んだ


空から青が消え失せた

空には剥き出しの感情が混ぜこぜになって

荒々しく吠えていた

誰もが青が足りないと言った

青を返せと泣き叫んだ


僕は青を返したくなかった

青はちっとも真っ直ぐじゃないから

青はちっとも強くないから

誰もそれを許さないから


僕の手のひらで青はさみしく揺れた

それでも起きていく色だと笑って揺れた

愛しいつめたさに頬ずりすると

涙を(ぬぐ)って青は帰った

涙は青に染まって見えなくなったから

僕は泣いてなんかなかった

泣いてなんかなかった


見上げた青は伸びていった

見通せないぐらい伸びていった

僕は擦れたところを見つけると

指でなぞってそれを撫でた

指の腹についた滲んだ色で

僕はもうなにも塗り潰さなかった





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― 新着の感想 ―
[良い点] 青い色が鮮やかにそして哀愁ただよう描かれ方をされていました。よかったです。
2017/11/07 03:05 退会済み
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