餌、なのかなぁ?あれぇ?
ふぁぁ…
まだねむぅい…
何だか暖かいやら柔らかいやら、ほこほこした感覚につい「ぴきゅっ」と鳴く。
あ、巣穴じゃないから音出したら駄目だっ!と、慌てて周囲を見ると知らない場所。
あれぇ?
ここ、何処?
真っ白いほこほこした柔らかい地面??
同じく真っ白い天井…?
んー?
あ、わかった!私とうとう死んじゃったんだね?
それで、ええと、ここに来たのかな?
このフカフカ床は何だろ?触るとふわーってなるよ?
布地が敷き詰めてあるから床じゃないのかしら?
タオルじゃないみたいだし。
ふむむむむむ?
これが噂の『くっしょん』かしら?
柔らかいね。
ちょっと前に「くっしょんがある御部屋で一緒に暮らそう?だからテイムさせて?」って言われたけど、その人何か怪しかったから逃げたのよね…。
目付きが怖かったし。
鼻息が……
何か嫌、これ以上思い出したくないや。
ぷるぷると頭を振ると、長い自慢の耳まで振るえる。
それじゃ生きてるのかしら?
でもあの怪我だし、変な方向に曲がってたし…
流石に死んだよね。
あの牙のお兄さんに食べられたかな?ならいいかな?不快感は無いわ。くっしょんがある部屋にって言ってた変な冒険者は嫌だけど。
それじゃ、ここは何なのだろう?
死後の世界なのかしら?
でも誰も居ないのね?
真っ白…。
つまんないーっ
グリグリっとくっしょんに頭を擦り付け、溜め息を一つ。
左前脚をペロペロと舐めて、肉球を綺麗にして、前足で長い耳を掴んで簡単に毛繕い。左前が終わったら次は右。
やがて一息。
右見て、左見て、前見て、後ろ見て。
やっぱり私だけ。
目を閉じて、開けて。
再度誰も居ないのを確認して……
かみさま、居るかわからないけどお願いです。
私の代わりに弟を幸せにして下さい。
あと、私はついでで良いですから、次生まれ変われるなら人間にして下さい。
出来たら、あの……
旦那さんが欲しいです………
何故か脳裏に牙のお兄さんが浮かんじゃったけど、そ、それ位はいいよねっ!
なーんて恥ずかしいよ~ッ!って思っていたら…
「いいわよぅ~何なら即結婚する?する?」
ーーは?
何かスッゴク気楽に女神?女の人?が現れた!
ってか、誰っ?
「ふふ、可愛い!」
もふもふもふって感じ?に頭を撫でられたけど、「あら、怪我してる!よし、治しちゃう!」とか、気楽に言ってるけど???
あ、この女の人お酒臭い。
酔っ払ってるのかな?
顔が赤いよ~?
「んん、大丈夫、酔ってても女神ですから!蘇生効いてやっと起き上がれる様になって浮かれてるだけだから!」
「んじゃ、じゃんじゃんいっちゃおうねー!可愛い弟のお嫁さんにはサービスだぁあ!」
「ふっふっふ~ッ!これで我が弟は私に刃向かえぬ!」
何か、最後の姉としてどうなの?ってセリフ来たけど?
「いーのいーの!普段姉の私を放置してる我が弟がわっるーい!ってわけで、これ嵌めて」
渡されたのは銀色の腕輪。中央にウサギ模様と星のマーク。意味あるのかな?
「嵌めてあげるね♪」
カチリって音が響いたと思ったら………
め、目眩が……
「あらら?ウサギちゃんには強かったかしら?まあ大丈夫でしょ。それじゃ、怪我は治ってるから包帯外しておくね?」
ウチの弟に宜しくね、可愛いお嫁さん♪
等と言って、視界から女の人は消えていった………
餌、め、目眩がぁぁ~
□■□□■□
女神………
まあ、気にしないで下さい。本編ではこんな性格ではありませんので、た、多分………