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餌、混乱極まる

 何だかゴソゴソしてる音が聞こえて来るからそっちに視線を向けたら、お兄さんが空間から何か取り出して、足元に置いた。

 それ、なぁに?

 今だ包まれて居るタオルから鼻を出して匂いをクンクン嗅いでいたら、上から別のタオルを掛けられた。


 むむ?見えないよ!


 タオルから抜け出したくて、こっちも負けずにゴソゴソゴソゴソ。

 う?

 んう?


 このタオルやだー!

 手足の爪に引っ掛かって、抜けないよぉ!

 必死になって右足の爪に絡まって来たタオルを振り払いたくて、右足をブンブン降ってみると余計に絡まって来た。

 やだよーっこっちの足は怪我してるんだってばっ


 ブンブンブンッ


 タオルから糸まで出て来て、余計に絡まる。

 うぐぐぐぐっ

 い、痛い!

 細かな糸が怪我の上に絡まって縛り付けてくる。


 痛い

 痛いっ

 痛いよ~ッ!



「ピキュッ!」



 喉から変な鳴き声が出たら、犬歯のお兄さんが慌ててタオルを取り除いたけど、私その取り除かれたタオルから出てる糸が怪我してる脚に絡まって、空中に逆さまにブラーンッ


 思いっきり宙吊り状態。


 痛いよっ

 痛い~ッ!



「ぴっ」


「ピキャ」


「ピッ」



 何て鳴いたのか分からないけど、痛くて痛くてずっと泣いてたら、



「怪我してるのか?」



 犬歯のお兄さんがやっと喋った。

 けど、今の私にはどうでも良くて。



 どうしよう。

 私の脚悪化したゃったかな。

 もう走れないかな。

 ウサギなのに、走れなかったら本当にただの餌。

 肉食の獣の前に置かれたごはんでしかない。

 やだよぅ、折角弟の名前を知るって言う目標を持ったのに。


 逃げ出すのが私達ウサギの特技なのに、それさえも出来ないの?

 ぷるぷる震えて怯えて居るだけなの?


 確かに最初は竜を見て餌になる覚悟はしたけどさ…

 圧倒的過ぎて抵抗なんて出来なかったし…



 チラッと犬歯のお兄さんをみたら、お兄さん…?

 私を膝の上に乗せて、絡まった糸を指でほどいてた。

 ん?

 あれ、意外と不器用。

 ほどこうとした糸を引っ張って、逆に私の脚が締め付けられる。



「ピピィッ!」



 痛いよっ!って鳴いたら、



「ごめん!」



 って、一生懸命ほどいてる。


 あれ?

 えーと、あの~?



 私、竜さんの餌じゃなかったのかな?

 あれぇ?



 …と言うか、お兄さん。

 服着て下さい………

餌、服ッ!服ッ!

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